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第三章
第四十一話 魔物de調理
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食堂の厨房は、とても広い反面、やはり見たこともないような調理器具と食材が並べてあった。
そしてその中では一人の女性が、魔物の肉をテキパキと捌いている。
「アイリス嬢、紹介するよ。この食堂を切り盛りしている女将で、おれの妻でもあるアンジーだ」
アンジーと呼ばれた女性は小麦色の肌に長い栗色の髪を三つ編みにしていた。
背もギルド長と変わらないくらい高く、スラっとしていて筋肉がしっかり付いている。
白いエプロンを付けていても、戦士だと分かる。
おお、女戦士さん。
筋肉が、すごいわ。すごくカッコイイ。
「初めまして、アンジーさん。アイリスです。今日はよろしくお願いします! 筋肉すごいですね。すごくカッコイイ。思わず見とれてしまいましたよー」
「あははは。確かに、変わってる」
「えええ!?」
「ああ、もちろんいい意味でよ。こちらこそ、よろしくね。侯爵家のお嬢様だって聞いていたから構えていたんだけど、アイリスちゃんでいいかしら?」
「ええ、もちろんです。私、そんなに料理は得意というわけではないので、いろいろ教えていただけると助かります」
「おれはあいつらがこれ以上うるさくならないように抑えておくから。悪いが、ちゃちゃっと作ってくれ」
そう言うと、ギルド長が冒険者たちの元へ戻って行った。
確かに。今にも宴会が~という雰囲気だったもんなぁ。
ただちゃっちゃと、というほど簡単にいくのか。
厨房に置かれた肉のサイズを見ると、少し考えてしまうけど。
肉肉しいという表現があっているのかは微妙だけど、そう言いたくなるような巨大な肉の塊だ。
ただその見た目とは反して、匂いはそれほどキツくはなかった。
『リン、このお肉食べれると思う?』
『もちろん大丈夫だリン。食べれるリンょ。精霊が言うんだから間違いなしリン』
『精霊っていうのは、鑑定みたいなスキルもあるの?』
『んー。スキルっていうか、見て危ないものを察知する力があるリン』
『へー。精霊ってやっぱりすごいのね』
『てへん。そうなんだリン』
精霊ってやっぱり、神様の遣いって感じなのかしらね。
もう少し、私に特殊な力でもあればリンも活躍できたかもしれないんだけど。
でも私にとっては、リンに力があろうとなかろうと、側にいてくれるだけで十分。
さてさて。楽しみにしているのに、待たせてしまうのもかわいそうね。
簡単にできるものから順番に出していく方がいいわね。
「ん-。まずは簡単にアヒージョからかな」
私の掛け声に、ルカもアンジーさんもぽかんとしている。
そうか、アヒージョなんで料理こっちにはないんだっけ。
元々、大して料理を作る派ではないから本当に簡単なモノしか作れないのよね。
若干……いや、かなり不審がられてるけど気にしないことにする。
「アヒージョ?」
「アイリスお嬢様、それはどこの国の料理なんですか」
「えっとねぇ、ん-っと。そう、本で読んだのよ。気にせず、ちゃちゃっと作っちゃいましょう。フライパンに、家から持ってきた油と唐辛子を入れて弱火にかけます。火の使い方が分からないので、お願いしていいですか?」
「え、ええ」
言われることにかなり疑問を持ちながらも、アンジーさんは素直に動いてくれる。
今集まっている冒険者たちの人数も考えて、フライパン三つ分で調理を始めた。
オリーブ油のような油が温まる前に、肉と野菜の下ごしらに取り掛かる。
今日の料理用に野菜なども取り揃えてもらっていたので、私はその中からキノコたちを取り出す。
「ルカ、これを一口サイズに切って欲しいの」
「はい、分かりました」
「肉はどれがいいかな? この中で、臭みが多少あってもあまり硬くないお肉ってあります?」
「それなら、コカトリスの肉がいいわ。これよ」
何種類かある肉の塊から、コカトリスの肉を受け取る。
ほんのりピンク色の肉は、確かに鶏肉に近い。
唐揚げにしても美味しいだろうけど、片栗粉らしきものは見たことがない。
あとで焼くように半分とっておいて残りはアヒージョにしてしまおう。
鶏肉のアヒージョが向こうにあったかどうかは、知らないけど。
まぁ、食べれないことはないでしょう。
「コカトリスの肉も、一口サイズに全部切ってしまいましょう。けっこうたくさんあるので、切るの手伝ってもらってもいいですか?」
「もちろんよ」
私の胴体くらいありそうな肉を手分けして切り分けていく。
それだけでもかなりの量だった。
そしてその中では一人の女性が、魔物の肉をテキパキと捌いている。
「アイリス嬢、紹介するよ。この食堂を切り盛りしている女将で、おれの妻でもあるアンジーだ」
アンジーと呼ばれた女性は小麦色の肌に長い栗色の髪を三つ編みにしていた。
背もギルド長と変わらないくらい高く、スラっとしていて筋肉がしっかり付いている。
白いエプロンを付けていても、戦士だと分かる。
おお、女戦士さん。
筋肉が、すごいわ。すごくカッコイイ。
「初めまして、アンジーさん。アイリスです。今日はよろしくお願いします! 筋肉すごいですね。すごくカッコイイ。思わず見とれてしまいましたよー」
「あははは。確かに、変わってる」
「えええ!?」
「ああ、もちろんいい意味でよ。こちらこそ、よろしくね。侯爵家のお嬢様だって聞いていたから構えていたんだけど、アイリスちゃんでいいかしら?」
「ええ、もちろんです。私、そんなに料理は得意というわけではないので、いろいろ教えていただけると助かります」
「おれはあいつらがこれ以上うるさくならないように抑えておくから。悪いが、ちゃちゃっと作ってくれ」
そう言うと、ギルド長が冒険者たちの元へ戻って行った。
確かに。今にも宴会が~という雰囲気だったもんなぁ。
ただちゃっちゃと、というほど簡単にいくのか。
厨房に置かれた肉のサイズを見ると、少し考えてしまうけど。
肉肉しいという表現があっているのかは微妙だけど、そう言いたくなるような巨大な肉の塊だ。
ただその見た目とは反して、匂いはそれほどキツくはなかった。
『リン、このお肉食べれると思う?』
『もちろん大丈夫だリン。食べれるリンょ。精霊が言うんだから間違いなしリン』
『精霊っていうのは、鑑定みたいなスキルもあるの?』
『んー。スキルっていうか、見て危ないものを察知する力があるリン』
『へー。精霊ってやっぱりすごいのね』
『てへん。そうなんだリン』
精霊ってやっぱり、神様の遣いって感じなのかしらね。
もう少し、私に特殊な力でもあればリンも活躍できたかもしれないんだけど。
でも私にとっては、リンに力があろうとなかろうと、側にいてくれるだけで十分。
さてさて。楽しみにしているのに、待たせてしまうのもかわいそうね。
簡単にできるものから順番に出していく方がいいわね。
「ん-。まずは簡単にアヒージョからかな」
私の掛け声に、ルカもアンジーさんもぽかんとしている。
そうか、アヒージョなんで料理こっちにはないんだっけ。
元々、大して料理を作る派ではないから本当に簡単なモノしか作れないのよね。
若干……いや、かなり不審がられてるけど気にしないことにする。
「アヒージョ?」
「アイリスお嬢様、それはどこの国の料理なんですか」
「えっとねぇ、ん-っと。そう、本で読んだのよ。気にせず、ちゃちゃっと作っちゃいましょう。フライパンに、家から持ってきた油と唐辛子を入れて弱火にかけます。火の使い方が分からないので、お願いしていいですか?」
「え、ええ」
言われることにかなり疑問を持ちながらも、アンジーさんは素直に動いてくれる。
今集まっている冒険者たちの人数も考えて、フライパン三つ分で調理を始めた。
オリーブ油のような油が温まる前に、肉と野菜の下ごしらに取り掛かる。
今日の料理用に野菜なども取り揃えてもらっていたので、私はその中からキノコたちを取り出す。
「ルカ、これを一口サイズに切って欲しいの」
「はい、分かりました」
「肉はどれがいいかな? この中で、臭みが多少あってもあまり硬くないお肉ってあります?」
「それなら、コカトリスの肉がいいわ。これよ」
何種類かある肉の塊から、コカトリスの肉を受け取る。
ほんのりピンク色の肉は、確かに鶏肉に近い。
唐揚げにしても美味しいだろうけど、片栗粉らしきものは見たことがない。
あとで焼くように半分とっておいて残りはアヒージョにしてしまおう。
鶏肉のアヒージョが向こうにあったかどうかは、知らないけど。
まぁ、食べれないことはないでしょう。
「コカトリスの肉も、一口サイズに全部切ってしまいましょう。けっこうたくさんあるので、切るの手伝ってもらってもいいですか?」
「もちろんよ」
私の胴体くらいありそうな肉を手分けして切り分けていく。
それだけでもかなりの量だった。
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