無限に続く裏切りへの答え

美杉日和。(旧美杉。)

文字の大きさ
1 / 2

001

しおりを挟む
「友理、君のしてきた数々の事は分かっているんだぞ」


 親族一同の集まった大広間に、彼の声が響き渡る。

 このシーンを見るのは、もう何度目だろう。

 おかしなこの現象は、夢なのかなんなのか。

 いつの頃からか、私はカウントをするのを辞めてしまった。


「信也……私は……」

「君の言い訳など聞きたくもない」


 信也はそう言いながら、隣にいた愛理の肩を引き寄せる。

 私と信也は親たちが決めた、婚約相手。

 家同士の繋がりとはいえ、それでも私は彼を愛していた。

 彼とお見合いで引き合わされた時に、一目惚れをしたのが始まりだ。


「どうしてなの? 私はただ……信也のことが好きだっただけのに」

「好きだっただけだと? ふざけるな。皆、知っているんだぞ! 君が愛理に嫉妬をし、今までしてきた数々の嫌がらせ。今までは目をつむってきたが、今回はもう見逃すことは出来ない」


 そう。今回も同じなのね。

 言い訳をしたとしても、事実を変えたとしても結果ココに結び付く。

 そうここは無限ループの檻の中。

 何度繰り返しても、私が悪いとされてしまう。

 ある意味悪役なのね。


「私は何もしていないわ!! 何かの間違いよ!」

「間違いだと!? ふざけるな。君が差し出したモノを食べたせいで、愛理は死にかけたのだぞ」

「信也……」


 大きな瞳に涙をいっぱい貯め、愛理が信也にしなだれかかる。

 私は何もしていない。

 初めこそ嫌がらせをしていたが、この無限ループに気づいてからは一度だってしていないのに。

 それでも変わらない未来。

 私が何をしたというのだろう。

 むしろ、被害者は私なのに……。


「君は僕と愛理との恋仲に嫉妬し、彼女を殺そうとした。最低だな」


 元とはいえ、二年近く共に過ごした婚約者への言葉。

 そこには一切の情すら、私には感じられない。


「私の言葉は信じないのね……」


 彼には、私に対する愛情は一ミリもなかったのだろうか。

 いじめてもいじめなくても、無関心でも、仲良くしていても……。

 決して変えることのできなかった未来。

 もう疲れてしまった。

 いつまでも終わらないこの無限ループに。

 あなたたちは知らないでしょう?

 私がこの後、親戚一同からどんな仕打ちを受けるか。

 誰も信じられなくなり、一人寂しく死んでいくか。

 たとえこれが、永遠に続く夢だとしても。

 私の苦しみなど一ミリも知らずに、あなたたちはただ幸せに生きていく。

 浮気をされていたのは私なのに。


「事実は事実だ! 何を信じることがある。君には失望した」

「何度も言ってるけど、私は何もしてないわ! ちゃんと、調べもしないのに私を悪者にするの?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

王国の女王即位を巡るレイラとカンナの双子王女姉妹バトル

ヒロワークス
ファンタジー
豊かな大国アピル国の国王は、自らの跡継ぎに悩んでいた。長男がおらず、2人の双子姉妹しかいないからだ。 しかも、その双子姉妹レイラとカンナは、2人とも王妃の美貌を引き継ぎ、学問にも武術にも優れている。 甲乙つけがたい実力を持つ2人に、国王は、相談してどちらが女王になるか決めるよう命じる。 2人の相談は決裂し、体を使った激しいバトルで決着を図ろうとするのだった。

逆転した王女姉妹の復讐

碧井 汐桜香
ファンタジー
悪い噂の流れる第四王女と、 明るく美しく、使用人にまで優しい第五王女。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

とある令嬢の断罪劇

古堂 素央
ファンタジー
本当に裁かれるべきだったのは誰? 時を超え、役どころを変え、それぞれの因果は巡りゆく。 とある令嬢の断罪にまつわる、嘘と真実の物語。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

処理中です...