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000 会えない婚約者
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「ああ、いよいよね」
「ええ。やっとですね、アマリリス様!」
「ふふふ。嬉しいわ」
私と侍女は、鏡越しにお互い頷きあった。
そしてもう一度、自分の恰好を確認する。
今日のためにずっと頑張ってきたのだもの。
絹のように艶やかな金色の髪はハーフアップにされ、翡翠色の瞳に合わせたドレスは細やかな金の花の刺繍が髪色に合わせている。
うん。自分で見ても可愛いわ。
肌もこの日のために磨きをかけているから、しっとりもち肌。
化粧も侍女たちが朝から頑張ってくれたから、こんなに完璧だもの。
今日初めてお会いする私の婚約者である王太子殿下も、これならきっと気に入ってくれるはずよ。
「長かったですね。アマリリス様が王妃候補としてこの王宮におみえになられて、もう六年ですものね」
「ええ。やっと王太子殿下……ヒューズ様にお会いできるのね」
「今日のためにとても頑張られましたものね」
「ええ。本当に……」
婚約者になったにも関わらず、なぜかお会いすることが出来なかった王太子殿下のヒューズ様。
未だに姿絵でしか、私はそのお顔も知らない。
いつもお会いする日になると事故が起きたり、病気になってしまったりと、驚くほどに邪魔が入ってしまった。
そんな日々がもう六年。
普通ではありえないコトだと思う。
しかし殿下もまた、王になるため教育で忙しかったと聞くし。
仕方がないと言われれば、それまでなのかもしれないけど。
私はずっとお会いできる日を楽しみにしていた。
もちろんヒューズ様も私と同じ気持ちだと、思っている。
何のためにお妃教育をしているのか不安に思うこともあったけど。
そんな感情も今日でおしまい。
やっと報われるのだから。
「さぁ、行きましょう、アマリリス様」
「ええそうね。ヒューズ殿下をお待たせしたらいけないものね」
そうでなくとも、トラブル続きだったし。
もし時間を空けてしまえば、また何が起こるかもわからない。
「さすがに今日は大丈夫ですよ」
「でも、もしもってことがあるじゃないの」
「今日は国王陛下もお見えになる夜会ですから、さすがに問題など起こるはずもないですわ」
「そうね……。きっとそうだと、私も思うわ」
私は心を踊らせながら、やや足早に王宮で与えられた部屋をあとにした。
この後起こることなど、この時はつゆとも知らずに。
「ええ。やっとですね、アマリリス様!」
「ふふふ。嬉しいわ」
私と侍女は、鏡越しにお互い頷きあった。
そしてもう一度、自分の恰好を確認する。
今日のためにずっと頑張ってきたのだもの。
絹のように艶やかな金色の髪はハーフアップにされ、翡翠色の瞳に合わせたドレスは細やかな金の花の刺繍が髪色に合わせている。
うん。自分で見ても可愛いわ。
肌もこの日のために磨きをかけているから、しっとりもち肌。
化粧も侍女たちが朝から頑張ってくれたから、こんなに完璧だもの。
今日初めてお会いする私の婚約者である王太子殿下も、これならきっと気に入ってくれるはずよ。
「長かったですね。アマリリス様が王妃候補としてこの王宮におみえになられて、もう六年ですものね」
「ええ。やっと王太子殿下……ヒューズ様にお会いできるのね」
「今日のためにとても頑張られましたものね」
「ええ。本当に……」
婚約者になったにも関わらず、なぜかお会いすることが出来なかった王太子殿下のヒューズ様。
未だに姿絵でしか、私はそのお顔も知らない。
いつもお会いする日になると事故が起きたり、病気になってしまったりと、驚くほどに邪魔が入ってしまった。
そんな日々がもう六年。
普通ではありえないコトだと思う。
しかし殿下もまた、王になるため教育で忙しかったと聞くし。
仕方がないと言われれば、それまでなのかもしれないけど。
私はずっとお会いできる日を楽しみにしていた。
もちろんヒューズ様も私と同じ気持ちだと、思っている。
何のためにお妃教育をしているのか不安に思うこともあったけど。
そんな感情も今日でおしまい。
やっと報われるのだから。
「さぁ、行きましょう、アマリリス様」
「ええそうね。ヒューズ殿下をお待たせしたらいけないものね」
そうでなくとも、トラブル続きだったし。
もし時間を空けてしまえば、また何が起こるかもわからない。
「さすがに今日は大丈夫ですよ」
「でも、もしもってことがあるじゃないの」
「今日は国王陛下もお見えになる夜会ですから、さすがに問題など起こるはずもないですわ」
「そうね……。きっとそうだと、私も思うわ」
私は心を踊らせながら、やや足早に王宮で与えられた部屋をあとにした。
この後起こることなど、この時はつゆとも知らずに。
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