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014 あくまでこちらが被害者です
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「殿下、今日こそは私のお話を聞いて下さいませ!」
なーんて、ね。
別に元旦那の言い訳とか、聞きたくはないんだけどね。
シチュエーションは、あくまで殿下に自分を認めてもらいたくて暴走している令嬢風なのです。
公爵様に仲介役を頼み騎士たちに中に入れてもらう交渉をしてもらっているうちに、部屋のドアが開いているのに気づいた私はこっそり凸しましたとさ。
「殿下、ヒューズ殿下。っっきゃぁぁぁぁぁぁ!」
中には大きなベッドが置かれていた。
天蓋付きの華やかなベッドには、衣服を見にまとわぬ女性が三人と、殿下がいた。
予想はしてたけど、本当にハーレムね。
なんていうか。
生まれ変わったとはいえ、元旦那のそんな行為場面見たくないわ。
「な、な、な、お前どこから」
「きゃぁぁぁぁぁぁ、誰か誰か~!!」
「ば、バカ。やめろ!」
あくまでも私はこの人たちの情事を目撃して、パニックになっている令嬢なのよ。
まぁ、違う意味でパニックにはなりたいぐらいだけど。
馬鹿とか辞めろと言われたって、辞めるわけないじゃない。
こんなキモイのをわざわざ見て、耐えてあげてるんだから。
私は地面にへたりこみ、顔を両手で覆う。
そして泣き真似をしつつ、華麗に被害者を演出した。
これこそが私が望んだ結果なんだもの。
馬鹿はそっちよ。
もうねぇ、コレはクライマックスなのよ?
私が決めた、エンディングなの。
大人しく従ってもらうわ。
私のただならぬ叫び声を聞き、クロードと騎士たちが雪崩れ込んでくる。
もちろんそれだけではない。
これだけの騒ぎを起こしたのだもの。
遠目からも見ていた野次馬たちが、わらわらと集まって来ている足音が聞こえてきた。
「なんだお前たちは! ここは立ち入り禁止だと言ってあっただろう」
「アマリリス嬢、大丈夫ですか?」
床に座り込む私に、クロードがそっと手を差し伸べてくれた。
私はそれにすがり付いたまま立ち上がらず、さめざめと泣きわめく。
「私は……私はただ殿下に、婚約のお話をはっきりさせたかっただけなのです。ですが、ですが……」
「まかさこんなことになっていたとは。これは陛下はご存知なのですか、ヒューズ殿下」
「な、だ、だから。お前たち、不敬だぞ」
「貴族令嬢たちも、貴族令嬢たちです。婚姻前のこのようなことが許されるとでも思っているのか?」
シーツや布団を体に巻き付けた彼女たちは、部屋から逃亡を図る。
しかし事態を重く見た騎士たちが、彼女たちを捕まえた。
令嬢たちは逃げれないと分かると、泣きわめく。
私だって、彼女たちが全て悪いとは思わない。
相手は自分より身分も高く、あわよくば自分が王妃にという打算もあったのかもしれない。
その気持ちは分からなくもない。
だけどそれなら正規の道を進むべきだったんじゃないかな。
人のモノを盗った挙句に、美味しいとこだけ掬い取ろうなんていうのは人として最低だもの。
欲しかったのならば私という存在を排除してから手に入れればいいことであって、どこまで行ってもこっちは被害者でしかないのだから。
なーんて、ね。
別に元旦那の言い訳とか、聞きたくはないんだけどね。
シチュエーションは、あくまで殿下に自分を認めてもらいたくて暴走している令嬢風なのです。
公爵様に仲介役を頼み騎士たちに中に入れてもらう交渉をしてもらっているうちに、部屋のドアが開いているのに気づいた私はこっそり凸しましたとさ。
「殿下、ヒューズ殿下。っっきゃぁぁぁぁぁぁ!」
中には大きなベッドが置かれていた。
天蓋付きの華やかなベッドには、衣服を見にまとわぬ女性が三人と、殿下がいた。
予想はしてたけど、本当にハーレムね。
なんていうか。
生まれ変わったとはいえ、元旦那のそんな行為場面見たくないわ。
「な、な、な、お前どこから」
「きゃぁぁぁぁぁぁ、誰か誰か~!!」
「ば、バカ。やめろ!」
あくまでも私はこの人たちの情事を目撃して、パニックになっている令嬢なのよ。
まぁ、違う意味でパニックにはなりたいぐらいだけど。
馬鹿とか辞めろと言われたって、辞めるわけないじゃない。
こんなキモイのをわざわざ見て、耐えてあげてるんだから。
私は地面にへたりこみ、顔を両手で覆う。
そして泣き真似をしつつ、華麗に被害者を演出した。
これこそが私が望んだ結果なんだもの。
馬鹿はそっちよ。
もうねぇ、コレはクライマックスなのよ?
私が決めた、エンディングなの。
大人しく従ってもらうわ。
私のただならぬ叫び声を聞き、クロードと騎士たちが雪崩れ込んでくる。
もちろんそれだけではない。
これだけの騒ぎを起こしたのだもの。
遠目からも見ていた野次馬たちが、わらわらと集まって来ている足音が聞こえてきた。
「なんだお前たちは! ここは立ち入り禁止だと言ってあっただろう」
「アマリリス嬢、大丈夫ですか?」
床に座り込む私に、クロードがそっと手を差し伸べてくれた。
私はそれにすがり付いたまま立ち上がらず、さめざめと泣きわめく。
「私は……私はただ殿下に、婚約のお話をはっきりさせたかっただけなのです。ですが、ですが……」
「まかさこんなことになっていたとは。これは陛下はご存知なのですか、ヒューズ殿下」
「な、だ、だから。お前たち、不敬だぞ」
「貴族令嬢たちも、貴族令嬢たちです。婚姻前のこのようなことが許されるとでも思っているのか?」
シーツや布団を体に巻き付けた彼女たちは、部屋から逃亡を図る。
しかし事態を重く見た騎士たちが、彼女たちを捕まえた。
令嬢たちは逃げれないと分かると、泣きわめく。
私だって、彼女たちが全て悪いとは思わない。
相手は自分より身分も高く、あわよくば自分が王妃にという打算もあったのかもしれない。
その気持ちは分からなくもない。
だけどそれなら正規の道を進むべきだったんじゃないかな。
人のモノを盗った挙句に、美味しいとこだけ掬い取ろうなんていうのは人として最低だもの。
欲しかったのならば私という存在を排除してから手に入れればいいことであって、どこまで行ってもこっちは被害者でしかないのだから。
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