スラムの悪ガキが異世界転生ソロ冒険者の物を盗んだら一緒に旅をすることに!?

和吉

文字の大きさ
76 / 192

ウォルマへ戻ろう

しおりを挟む
 魔物がもう湧いてこないことを確認するとダンジョンの奥へと進む俺達。予想通り階層は少なく二層同じような階層を下りると最下層に到達してしまった。魔物が湧かないダンジョンというのは静かで凄く変な感じがするな~

「ここが最下層だが、罠も何も無いな」
「スタンピード状態であれば最下層にダンジョンコアが露出しているはずなんだが・・・・・」
「それが無いという事はスタンピードは収まったのだろうか?」
「そうだと判断して問題無いと思います」
「スタンピードが収まったのは良いけど、普通の魔物が湧かないのはなんでだ?」
「魔力を使い切って休止状態に入ってるからだな。暫くすればまた活動を介するだろ。その前にダンジョンから出た方が良いな」
「なら、目ぼしい物も無いさっさと出ようぜ」
「そうだな、早く父上に報告に戻らなくては」

 そうだな~流れでこの森の異変を起こしているダンジョンを鎮静化させたけど、本来の俺達の依頼は調査だからな。自分の領地でダンジョンが発生していて、しかもスタンピードが起こっていたなんて重大な情報を領主に早く届けないとな。だけど、それはこの調査が終わることを意味している。まだまだテセウ様と話したいけど仕方が無いよな。

「えぇ急いで戻った方が良いのは間違いないですが、道中で何かあったら元も子も無いので慎重かつ安全に戻りましょう」

 だな。折角ダンジョンを鎮静化させたのに帰りで大怪我負って死んじまったら意味が無いからな。俺達はダンジョンから出ると外は日が高く昇り見慣れた森が広がっていた。周りに魔物の気配は無いみたいだし、取りあえず腹ごしらえしていこう!マジックバックから肉を取り出し、焚き火を作り焼き食べながら雑談をしていると話題はダンジョンで倒した魔物の素材の話になった。

「そういえばマジックバックに入れたあの大量の素材どうする?シュナイザー様が買い取ってくれるって言ってたけど流石に多すぎるよな」
「ん~どうするか。インセクトマンだけでもかなり数があるのにウォリアーも何体もあるからな」
「我が家は魔物達の素材のおかげで裕福ではあるが・・・・流石に全てを買い取ると程の資金は無いと思う」
「ブラックスパイダーだけで相当な量になりますからね・・・・」

 倒した魔物は金になるからと全て回収しておいたが流石に数が多すぎる。テセウ様が倒した分は全部テセウ様のものだけど、俺達だけでも相当な量があるからな~しかもインセクトマンの素材でかなり高値なんだよな。

「あの量を放出したら価格崩壊を起こすからな~それで商業ギルドから睨まれるのは避けたいな」
「それならば、ウォリアーなどの貴重素材は交渉通り我が家で買い取らせてもらおう」
「そうですね~それ以外はある程度の量を出すか」
「え~流石にマジックバックの容量がヤバいって」
「次の町に行った時に、そこで少しずつ買取に出すしか無いから我慢しろ」
「はーい」

 俺のマジックバックはかなり容量があるけど、流石に一日中大量に狩り続けてそれを全て中に入れていたらいっぱいにもなる。ブラックスパイダーは主に糸を買い取ってくれるのだが、採れる量は少なくワイズスパイダーとかと比べると高値では無い。使い道は糊にしたり紐にしたりと色々だけど、流石にこの量を一気に出すと過剰になるな。

「需要はありますがあまりに多く出されると色々と問題起きますからそれがよろしいかと思います」

 早くこの沢山の在庫をどうにかしたいけど、沢山放出して商業ギルドに睨まれるのは面倒だもんな。商業ギルドは様々な商売をしている商売人が加入しているギルドで、流通の管理や組合の管理、商人同士の仲裁など色々な事をしている。殆どの店が商業ギルドを介して取引をしているので、商業ギルドに睨まれると物資の補給などが色々面倒なことになってしまうのだ。

「後は帰ったら防具を受け取りに行かなきゃな」
「あ、そうだだった。何も言わずに出てきちゃったけど大丈夫かな?」
「防具屋をやってれば頼んだ冒険者が来ないなんてよくある事だろ。金は払ってるし気にしてないさ」
「それはどういうことだ?頼んでいるのに受け取らないとは、変では無いか?」
「商売相手が冒険者ですからね」
「ん?・・・・あぁなるほど」

 ブレストが言いたいことが分かったのか、テセウ様は少し暗い顔をする。そう、冒険者というのは何時も死と隣り合わせの職業だ。今後の為に使おうと頼んだ物を受け取る前に依頼で死に本来持つ筈だった者の手に渡らない事なんてよくある事なのだ。だから、先払いをする所が多いし注文した物を受け取りに来なくてもそこまで問題にはならないのだ。

「そういうのが日常ですからね」
「冒険者というのは厳しい職業なのだな・・・・」
「自由を求めるのであればそれ相応の力が必要ってだけですよ」
「この世界で生きるには少なからず力が必要になるな・・・・上に立つ者であれば尚更だ」
「力だけを追い求めてもしょうもないですよ。力はあくまで目的を叶えるための手段であって、目的では無いのです」
「俺達は世界の色々な場所を見ることを目的に冒険してますからね!」
「そうなのか、良い旅だな」
「ふふん、まだまだ始まったばかりなんですけどね。ウォルマを離れた後はフォレシアに行ってその次は・・・・何処に行くんだ?」
「アルカナに行く道は沢山あるからな、その時の気分で決めれば良いだろ」
「確かに!」

 アルカナに行くってことは決めてるけど、別に急いでる訳じゃないからその道中で面白そうな場所があるなら寄り道しながら目指していけば良いもんな。何か使命がある訳じゃないし、のんびりゆったり自分のペースで進めばいいのさ!

「はは、話を聞いていると本当に自由な旅なんだな。少し羨ましく思うよ」
「そうですか?」
「あぁ、俺は領地を離れる事もましてや国外に行くなんて事出来ないからな」

 あ、そっか。冒険者は国に入るのも出るのも自由だけど普通は入念な審査が必要になるものなのだ。ましてや貴族で責任があるテセウ様はそんな簡単に外に出るなんて無理だよな。

「そう・・・・ですね。テセウ様は次期辺境伯ですし、もう少ししたら王都に行って学院に通わないといけないんですもんね。町を出る暇なんて無いですよね」
「これは貴族としての義務だからな」

 貴族は生まれながらに平民より立場が上で恵まれた生活と教育が約束されるけど、それと同時に重い責任と使命を背負わさているのだ。自由な時間なんて無いし将来も決められてる。次男や三男とかならある程度は自由が利くだろうけどテセウ様は長男だ。自由が無いそんな生活、俺には耐えられないだろうな。改めて考えてみると羨ましいと思った人生も、その人生なりの苦労があるんだな。

「偉いですねテセウ様は」
「何だいきなり」
「俺だったら絶対に耐えられません!」
「まぁ自由奔放、やりたいことは何でもやるクロガネには無理だろうな」
「むぅそれを言うならブレストもだろ」

 ブレストは絶対貴族同士の腹の探り合いと表面の付き合いが嫌になって全てを荒っぽいやり方でぐちゃぐちゃにして、解決しようとしちまうと思うぜ。

「言ったな?」
「本当の事だろ」
「そんな事を言う奴はこうだ!」
「や~め~ろ~」

 言われたので言い返したら笑いながら俺の傍に来ると、頭を掴み髪をぐしゃぐしゃにかき回しやがった。頭が揺れる~力強いんだから少しは加減しろ~

「ははっ本当に仲が良いのだな」
「冒険者のクロガネを育てたのは俺ですからね!」
「ブレストに育てられたからこんな感じで~す」
「どういう意味だ~?」
「ぎぃや~揺れる~酔う~」

 やられっぱなしは癪だから言葉で反撃したらまたかき回しやがって、これ長くやってると酔うんだぞ!

「全くその言葉遣いは何処で覚えてきたのかしら。お母さん悲しい!」
「誰がブレストの子供だ。それとスラムで育てば大体こんな口調だっつーの」

 変な小芝居をするブレストは放っておいて、俺は残りの飯をかきこむと立ち上がり

「さて、飯も終わったことだしこの森に長居する必要も無いだろ。さっさとウォルマへ帰ろうぜ。ブレストは何時まで泣き真似してんだよっ」
「ぬおっ」

 未だに小芝居を続けるブレストの背中に冬になると良く起きるビリっとした雷、俗にいうライトニングスプライトの悪戯を流し、立たせるとそんな様子を見た二人は笑いながら立ち上がりも来た道を辿り始めた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ

双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。 彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。 そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。 洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。 さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。 持ち前のサバイバル能力で見敵必殺! 赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。 そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。 人々との出会い。 そして貴族や平民との格差社会。 ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。 牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。 うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい! そんな人のための物語。 5/6_18:00完結!

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...