スラムの悪ガキが異世界転生ソロ冒険者の物を盗んだら一緒に旅をすることに!?

和吉

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記章の価値

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 外から人の話し声と行き交う気配によって、目覚めた俺は少し目を擦りながら外を見てみるとまだ日は登っておらずどう見てもまだ夜明けだというのに外は早朝のような賑やかさを見せている。

「植人の朝は早いとは昨日聞いたけど、本当に早いんだな。まだ日が昇り始めたばかりだろ・・・・しかも少し寒いし」

 段々冬が近づいてきているので、肌寒さを感じながらいつもの装備に着替えながら、ある事を思い出した。そうだ、テセウに貰った牙の記章を付けよっと。町の中なら落とすことも壊れる事も無いし、もしも盗まれそうになっても俺の魔法で見つけ出せるしな。この記章、ウルフの牙を模ったものなんだろうけどテセウの瞳と同じ色の金色の宝石が付いていて綺麗なんだよな~こういうの凄く好きだぜ。貰った記章を付け気分を上げながら朝の鍛錬と錬金魔法の練習をしていると魔力の気配を感じたブレストも起きてきた。

「ふぁ~早いな。おはよう」
「おはよ~何時もより早いけど、ここの人達の方が早いみたいだぜ。外見てみろよ」
「ん?お~本当だ。まだ夜明けだろ~もう少し寝ても良いだろ」
「だけど、植人にとっては朝の時間みたいだな。郷に入っては郷に従えって前にブレストが言ってただろ。早く準備して町に行こうぜ!」
「あ~確かに言ったな。うん、この町の朝がどういうものなのか知っておいた方が良いだろうし、起きるとするか」

 この時間でしか味わえない体験もあるだろうし、折角初めての場所に来たんだから何から何まで遊びつくさなきゃ勿体ないだろ!ほら、早く準備して町に行こうぜ!俺達はいつもの冒険の装備を着て荷物を持って、俺達の部屋がある二階から一階に降りると、ペシェさんとライフさんも当たり前のように起きて朝の準備をしていた。

「あら?おはようございます~早いですね」
「よく眠れたかい?」
「えぇ、ぐっすりと。お二人も早いですね」
「私達はこの時間が朝ですからね~皆さんにとっては早過ぎるかもしれませんけど」
「そうだね~昔からこの時間に目覚めるのが普通だったからね。私達は基本的に植物だから日が昇る辺りで目覚めの時間なのさ」
「なるほど」
「町に行くつもりですか?少し待って頂ければ案内出来ますよ」
「それなら、手伝いますよ。力仕事なら任せて下さい」
「え、お客さんにそんな事をさせる訳には」
「宿のお礼です」
「それじゃあ、あの箱を裏に持って行くのを手伝ってくれるかい?」
「はい」

 俺達は断るペシェさんが抱えていた大きな箱を代わりに持つと結構な重さがある。これを沢山運ぶのは大変だろうし、俺達も手伝うぜ!戸惑っていたペシェさんだが、ライフさんが俺達に頼む様子を見て諦め、遠慮せずに俺達に力仕事を頼んでくれ店の手伝いをしていく。薬屋なだけあって、大量の植物や混ぜる為の油それに浄化水など結構重量があるものが多いな~あ、あれって葉っぱ一枚で金貨五枚もする奴じゃないか?それがあの量って・・・・見なかったことにしよう。
 知らない植物や高価な薬に驚きながらもライフさんやペシェさんに効果を聞き勉強しながら手伝いを終えると、ライフさんがお茶を入れてくれた。

「はい、お疲れさんだね」
「ありがとうございます。流石は薬屋なだけあって本当に色々な薬がありますね」
「薬を作るのは趣味みたいなものだからね~」
「私も薬を作るのが好きですからついつい沢山作ってしまうんですよね。けど、この町には薬を必要とする人は少ないので、良い事なんですけど薬が溜まっていく一方なんですよね~期限もあるし気を付けないと」
「溜まったらまたシュナイザー家の奴らに纏めて売れば良いのさ」
「いくらあの人達でも、ささくれが一瞬で治る塗り薬みたいな限定的な薬なんて売れませんよ~」
「いや、滅茶苦茶売れると思うんだが・・・・」
「シュナイザー家と関りが有るんですか?」

 俺達は気を付けているから大丈夫だけど、冒険者は戦ったり採取したりと手を使う仕事だからどうしても手が荒れてしまうから、そういった薬は普通に売れると思うぞ。他にもメイドとか使用人とか水仕事をする人達は手が荒れるし、ささくれって地味に痛いし気になるけど、ポーションとか傷薬を使う程でも無いからそういった薬があるならこぞって買いそうなもんだけどな。というか、ライフさん達ってシュナイザー様を知っているのか?

「あの家にはこの国の特徴の所為で迷惑を掛けているから薬を売ってやってるんだよ」
「お得意様ですよね~」
「そうだったんですか」
「それを言うなら二人もあの家と関りが有るんだろう?クロガネ君が付けているその牙の記章はシュナイザー家から貰った物だろう?」

 え、確かにこれはシュナイザー家のテセウから貰ったものだけど、見ただけでなんで分かるんだ?

「え、そうですけど・・・・なんで分かったんですか?」
「ん?その記章の意味を聞いて無いのかい?」

 意味って・・・・友達の証?

「ふふっその様子だと聞いていないみたいだね。その記章はシュナイザー家が代々作っている親愛なる者へ送る守護の証なのさ。渡した者の宝石を入れ身分を証明し、シュナイザー家はこの者の後ろ盾になると示している。牙はあの家のウルフの牙で、この者に害をなせばシュナイザー家が牙を剥くという警告の証でもあるね。つまり、シュナイザー家はこの者を守護しいざとなれば脅威を排除する牙となり爪となり剣となると言う事を示した証さ。よっぽどの事それこそ婚約者ぐらいにしか渡さない貴重な記章だよ」
「んなっ」
「そこまで気に入られたんなら大事にしな」
「いや、勿論大切にするけど・・・・!!」

 いやいやいや、そんな凄いものなら渡すときに説明して欲しかったな!!!俺はてっきり贈り物のお礼としてくれたものだと思ってたけど、そんな意味が籠ってたのかよ!だから、あの時シュナイザー様が凄く良い笑顔でテセウの事見守ってたのか!!!これを付けていると言う事はシュナイザー家の一員だと示しているようなものだし・・・・それはちょっといやその親愛は凄く嬉しいけど、テセウ分かって渡したんだよな!?後で、手紙で聞かなくては・・・・

「俺があげたイヤーカフが霞むぐらいヤバいじゃねーか」
「いや、イヤーカフの方がヤバいからな」
「取りあえずこれは仕舞っておいた方が良いな。冒険者がこれを付けていたら目立つだろうし不要ないざこざをシュナイザー家の人達に持ち込みかねない」
「そうだな、付けるべき場所で着けた方が良いだろう」
「どんな場面だよ」
「貴族のパーティーとかだな」
「うげぇ」

 俺は傷つけないように慎重に記章を外すとマジックバックに仕舞った。好きなデザインだしテセウから貰ったものだからずっと付けていたいけど、大事にその時まで仕舞っておこう。

「はっはっは、まぁその方が利口だろうね。あの家はかなり強い権力を持っているし、他国でも有名だから面倒な奴が来たらその記章を盾にすると良いさ」
「その時が来ないことを祈ります」
「私はそう言うのよく分からないけど、素敵な贈り物なんですね~」
「効果的な贈り物ではあるね」

 俺達の反応を見て笑いながらライフさんが言うが、そんな場面来ないで欲しいな~でも、俺の見た目でそう言うの引き寄せちまうから、使う時が来そうだな・・・・はぁ、気を取り直して町を見に行こうぜ!

「はぁ、もう良いです。貰ったのは嬉しいし気持ちも嬉しいので気にしないことにします。それより町を見に行きましょうよ」
「そうだったね。ペシェ案内は任せたよ」
「はい!責任もって案内させて貰います」
「よろしくお願いします」
「まずは~何処行きますか?」
「朝食が食べたいかな。何かおすすめはありますか?」

 そうだな~まだ朝飯を食べて無いから何か食べながら町を周りたいよな。

「あ」
「あ?」
「すみません、完全に忘れていました。この町に飯屋は無いと言っても過言じゃないんですよ」
「え」

 飯屋が無いって・・・・一体どういう事なんだ?
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