スラムの悪ガキが異世界転生ソロ冒険者の物を盗んだら一緒に旅をすることに!?

和吉

文字の大きさ
182 / 192

毒のお約束

しおりを挟む
「その言い方にちょっと言いたい事はあるが、これで今日受けた分の依頼は終わりだな。戦い足りないなら何か魔物を狩って帰るか?」
「ん~魔力はまだあるし体力もあるけど・・・・どうしようかな」
「そこそこ町から離れたし帰りながら適当な魔物を倒して前に言ってた外で料理出来る場所でも見つけるか」
「うん、そうする」

 体力も魔力もまだまだ魔物と戦闘するには十分残っているけれど、まだ森に完全になれた訳でも三級の魔物を素早く倒せるようになった訳でも無いから森を騒がせて面倒な魔物を呼び寄せてしまうのは避けたい。森での特訓は始まったばかりだし急いでも結界は出ないものだ。だから、俺達はそのまま気配を消しながら手頃に倒せるやつを見つけながら町へと戻ることにした。

「お、ヘルヴェノムだ~倒していこっと」

 ライフさんの話に出たヘルヴェノムが森をゆっくりと進んでいるのを見つけた。あいつなら簡単に倒せるので俺は生きたままのヘルヴェノムの身体にナイフと手を突っ込む。そんな俺のことを殺そうと触手を絡めてくるがそれに構わず直接コアを破壊した。

「これが一番楽だな」
「おいこら」

 倒し終わった俺は簡単に倒せたことに満足し頷くとそれを見たブレストがすっごく嫌そうな顔で俺を見ている。

「何つー倒し方してんだよ」
「だってこれが一番効率良いし安全だよ」
「・・・・やる前に一声くれ」
「は~い」

 ヘルヴェノムは前に言った通り強力な毒を身に宿しているけれど、他の攻撃力は殆ど無いに等しい。だから触手で腕を絡められようが身体強化をしていれば腕を折られることは無い。なので毒への耐性がある俺はさっきみたいに体の中に手を突っ込んでコアを壊しちまうのが手っ取り早く安全なのだ。俺の体質を理解しているけど納得出来ないブレスト。だけど最終的には苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべながら頷いてくれた。

「はぁ、大丈夫だとは分かっているが危ない事をしてるみたいで怖いんだよ。毒耐性があるからって絶対じゃないんだもっと慎重に・・・・って話してる最中に何をやってるんだお前は」
「え、沸騰茸があったから採取しただけだぞ」
「それを素手でな。全く採取の仕方から指導し直しか?」
「俺なら平気だし~」
「そう言う過信は駄目だぞ」

 沸騰茸は食べたり触ったりすると体の中に特殊な毒が入り込み体が燃えるように熱を持ち、体に流れる血が沸騰したかのように感じ苦痛で叫んでしまう程の毒性を持っているけど俺なら平気だ。過信は駄目って言うけど自分じゃ耐えられない毒は直感と図鑑で把握してるから大丈夫なんだけどな~

「駄目な奴は分かるし~」
「だとしても」
「む~自分の強みを活かしてるだけだぞ」
「確かに強みだが・・・・」
「ブレストもライフさんの所で俺が大丈夫な事は確認しただろ?信用してくれよ」

 薬師であるライフさんが俺の毒耐性はかなりのものだと認めてくれたし、ブレストもそれを見ただろ?俺が戦ってる時は何も言わず任せてくれるのに毒に関してはブレストは過剰なくらい俺のことを心配する。そんなに俺の言ってることは信用ならないか?

「信用しないとかじゃなくて」
「じゃあなんだよ。ブレストは何時も俺の判断を信じてくれるのに毒に関しては何時も俺を叱るじゃん」

 俺の言葉を聞き難しそうに顔を顰め少し呻いた後にブレストは俺の目を見ながら答えてくれた。

「それは・・・・悪かった。でも万が一があるかもしれないと思うと怖くて心配になるんだ。クロガネの勘や知識を信用して無い訳じゃ無い。だけど、どうしても心配で不安になるんだ。だからお願いだから出来るだけ気を付けてくれ。俺もそんなに強くは言わないよう気を付けるから」
「・・・・分かった」

 ブレストは今まで見たこと無い程弱々しく懇願してくるので俺は本当に俺を心配してくれてるんだと少しむず痒く感じながらも素直に頷くことにした。

「俺も迂闊な行動してごめん」
「いや俺も過剰に反応し過ぎた。毒が効かないやつなんて沢山知ってるんだがクロガネの事となるとどうしてもな」
「うん、分かってる。次からはしっかりと対策してから触るようにするよ」
「そうしてくれ」

 そう言うとブレストは俺を抱きしめた後頭を撫でてくれた。自分では大丈夫だと分かっているから好きに行動してるけど、ブレストに心配を掛けたい訳じゃない。俺も自分の体質を過信して毒物に対する扱いが適当過ぎだな。冒険者は魔物と戦い傷を負い死ぬこともが多いが同じぐらい毒で死ぬことも多い。もっと慎重に扱うべきだったよな。撫でた後体を離すと俺の目線に合わせてブレストが言う。

「それじゃあ毒を扱う時の約束を決めよう」
「分かった」
「毒を触る時は必ず正しく安全な方法を取る事、緊急事態の時は自分の命が無事である場合に限り直接触ったりして良い。何か意見があれば聞くぞ」
「相手を倒す時にわざと毒を食らうのはあり?この前のテストみたいに」
「・・・・それが最善で安全な時だけわざと食らうのを許す。だけどわざと怪我をするような事はするなよ」
「分かった」

 毒使いなんかと戦う時は毒をわざと食らう事によって油断を誘い倒しに行くことが多いからそれも駄目になったら戦い方を変えないと駄目だけど、安全な場合だけ許してくれた。だけど、言葉では許すと言っているけど凄く嫌そうな顔をしているのでなるべく避けるようにしよう。

「それじゃあ約束だ」
「うん」

 そう言うとブレストは俺の小指を自分の小指で握ると

「ゆびきりげんまん嘘ついたら針千本の~ますゆびきった」
「なんだそれ」
「ん~一種のまじないかな。これで約束を破らないよう誓うんだ」
「へ~針千本飲ますって拷問か何かか?」
「まあ脅しみたいなもんだ。あ、別に脅してる訳じゃ無いからただ慣例としてやっただけだからな」
「ブレストが俺にそんな事をしないのは分かってるって、ただ面白いまじないだなって」
「由来はもっとエグイんだが・・・・それは今度話してやるよ。ほら、広場を探しに行こうぜ」

 ブレストは色々な変なまじないを知っているけど、これって普通の人なら当たり前に知っている事なのかな?俺はずっと普通の生活をしていなかったから分からないけど、機会があったら調べてみようかな。

 毒の約束をした俺達は時々遭遇する毒を持った魔物や植物を約束通り手袋やゴーグル、魔法薬を使って採取していく。ヘルヴェノムを倒すのに一手間しないといけないのは面倒だけど約束は約束だし普通の戦い方を覚えて損は無いもんな。そんな事をしながら森を進み町へと戻りながら周囲を探索していると、少し開けた場所を見つけられたが少し変なのだ。

「お~木が少なくて有毒な花や草も無い。燃え移りそうな植物も無いし良さそうだけど・・・・なんで焦げてるんだ?」

 その場所は不自然なほど草木が無く円形状に地面が焦げた跡が残っているのだ。誰か冒険者が焚き火をしたにしては焦げ過ぎだし、焚き火や飯を食べた痕跡が無い。だが魔物が何かをしたにしては範囲が狭い。一体何があったんだろう。

「ここが爆心地みたいだが・・・・火の魔力が濃いな」
「う~ん・・・・あ、ブレストあれ」
「ん?あぁ~なるほど、ポップンフラワーか」

 不思議な場所が出来上がった経緯を探っていると少し離れた木に黒く丸い種のようなものがめり込んでいるのが見えた。ポップンフラワーと言うのは、黒く小さな蕾を付ける火属性の魔法植物で、十分な魔力を地面から吸収すると黒い蕾を赤く燃え上がらせ爆発させて種を飛ばす習性があるのだ。その爆発はすさまじく周囲に在るものを消し炭と化す。だからこんな不自然な場所が出来たのだ。

「ちょっと火の魔力が多いのが気になるがそれは水を撒いて消すとして、ここなら町から近いし惑わし視界を遮る植物も無いし丁度良さそうだな」
「うん、良いと思う」
「それじゃあ次からは料理をしたリス場合はこの場所でやるとしよう」
「りょうかーい」

 緑が生い茂る森で火を使っても安全な場所を探すのは大変かと思ったけど簡単に見つかっちまったな。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ

双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。 彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。 そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。 洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。 さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。 持ち前のサバイバル能力で見敵必殺! 赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。 そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。 人々との出会い。 そして貴族や平民との格差社会。 ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。 牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。 うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい! そんな人のための物語。 5/6_18:00完結!

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

処理中です...