修道士たちは罪に濡れて愛に出会う

谷村にじゅうえん

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第2章 教会の子供たち

第4話

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日曜礼拝の大聖堂を離れ、昼食と午後の祈りを終えたユァンは山羊小屋に向かった。
今日も小屋の掃除をし、山羊たちの健康状態を確認する。
囲いの中の山羊を1頭捕まえ爪を切っていると、大聖堂の方からバルトロメオが戻ってきた。

「今日も元気そうだな」

囲いをまたいで入ってきたバルトロメオのところに、山羊たちが集まっていく。
今の時間に大聖堂から戻ってきたところを見ると、あの告解室にいた神父はやはりバルトロメオだったんだろう。
山羊たちの頭を撫でる彼の横顔を見て、ユァンはそう思った。

「バルトは神父の資格を持ってるの?」

聞くと彼は肩をすくめてみせる。

「神学校卒業と同時に教区司教の推薦でな。ほぼ自動的に」

ケイ教の叙階じょかい条件は厳しくて、誰もが神父になれるわけではない。
神学校での成績がよっぽど優秀で、同時に奉仕活動などでの実績が認められれば即叙階ということもあり得るが、そうでなければなかなかない。
本当に〝自動的に〟ならバルトロメオは特殊な例のはずだ。
シプリアーノ司教が彼のことを、枢機卿すうききょうの甥で将来は法王の側近にも枢機卿にもなり得る人物だと言っていたが、そういう待遇を考えるとやっぱりエリートなんだなと思ってしまう。

けれどもそれより、今気になっているのは……。

「じゃあ、告解室こっかいしつにいた神父は……」

山羊の爪に視線を戻して、ドキドキしながら聞く。
神父の資格を持っていなければ、告解室で懺悔ざんげを聞くことはできない。
剪定せんていばさみで慎重に爪を切り、2本目の前足が片付いたところで返事が聞こえてきた。

「あれは悪かった。けど、ユァンが来たのは想定外で……」
「想定外?」
「俺のターゲットは昨日の夜、礼拝堂から逃げていった奴らだったんだ」

ハッとして顔を上げたところで、股下に押さえ込んでいた山羊がそこをすり抜けて逃げていく。
後ろ足の爪を切り損ねてしまった。
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