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最終章 罪と愛
第16話
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(えーー?)
見覚えのある景色にハッとなる。
「これ、せっかく撮れたのに画面が暗くて。顔が分かるところまで調整するのに苦労したよ」
彼が端末側面にある小さなボタンを何度か押した。
「でも音声はきれいに撮れてる。キミの声、分かるよね? それにエッチな水音と、肌がぶつかる音。すのこがガタガタ鳴ってる音も、臨場感があって悪くない」
ユァンは息ができなかった。
ヒエロニムスは滔滔と話し続ける。
「ねえ、ソドミーってそんなに気持ちいいの? それとも神に背くのが気持ちいい? どっちなんだろうって、僕はずっとこれを見ながら考えてたんだ。そしたらなんだか、キミが羨ましくて死にたくなった。キミは淫らに抱かれる以外、何もできやしないのにね」
携帯端末を下ろし、ヒエロニムスは暗い笑みを浮かべる。
「それで主演のユァン君、感想は?」
「…………」
「あ、僕に見られて嫌だった?僕だって好きで覗いたわけじゃないんだよ。シプリアーノ司教がバルトロメオを追い返したがってるから、法王庁に告げ口するのにアイツが好き勝手やってるっていう証拠が必要だったんだ」
「告げ口……証拠……?」
ユァンはようやく息を吸い、ヒエロニムスの顔を見た。
「そうだよ。この動画を向こうへ送ったら、さすがに問題にならないわけがない。アイツはすぐに呼び戻されて、おそらく役目を解かれるだろう。そしたら僕はアイツのいない法王庁で平和に仕事ができるし、シプリアーノ司教にも貸しを作れるってわけ。ね、いいことずくめだと思わない?」
彼はユァンにではなく、撫でている子山羊にそう言った。
「そんなの困る!」
しゃがみ込んでいる彼の前に、ユァンは勢いよくひざを突く。
「僕たちのしていることは、確かに神に背くことなのかもしれない。でも、悪いのはバルトじゃない! 僕があの人の優しさに甘えて、あの人の愛を求めたんだ。本当にごめんなさい! だからお願い、罰するなら僕にして!」
「それ、本気で言ってるの?」
両手を突くユァンを見つめ、ヒエロニムスは何度かまばたきをくり返した。
「僕はね、キミにこう提案しようと思って来たんだよ。バルトロメオに無理やり犯されたって証言するなら、キミ自身のことはお咎めナシですむように口添えするって」
(え……?)
ユァンは耳を疑った。そんな嘘、ソドミーよりずっと神に背くことだ。
「でもキミは、そんな誘いには乗りそうにないね?」
「そんなの当たり前です」
「ならこういうのはどう?」
ヒエロニムスがふいに顔を近づけてきて、額と額がぶつかりそうになった。
見覚えのある景色にハッとなる。
「これ、せっかく撮れたのに画面が暗くて。顔が分かるところまで調整するのに苦労したよ」
彼が端末側面にある小さなボタンを何度か押した。
「でも音声はきれいに撮れてる。キミの声、分かるよね? それにエッチな水音と、肌がぶつかる音。すのこがガタガタ鳴ってる音も、臨場感があって悪くない」
ユァンは息ができなかった。
ヒエロニムスは滔滔と話し続ける。
「ねえ、ソドミーってそんなに気持ちいいの? それとも神に背くのが気持ちいい? どっちなんだろうって、僕はずっとこれを見ながら考えてたんだ。そしたらなんだか、キミが羨ましくて死にたくなった。キミは淫らに抱かれる以外、何もできやしないのにね」
携帯端末を下ろし、ヒエロニムスは暗い笑みを浮かべる。
「それで主演のユァン君、感想は?」
「…………」
「あ、僕に見られて嫌だった?僕だって好きで覗いたわけじゃないんだよ。シプリアーノ司教がバルトロメオを追い返したがってるから、法王庁に告げ口するのにアイツが好き勝手やってるっていう証拠が必要だったんだ」
「告げ口……証拠……?」
ユァンはようやく息を吸い、ヒエロニムスの顔を見た。
「そうだよ。この動画を向こうへ送ったら、さすがに問題にならないわけがない。アイツはすぐに呼び戻されて、おそらく役目を解かれるだろう。そしたら僕はアイツのいない法王庁で平和に仕事ができるし、シプリアーノ司教にも貸しを作れるってわけ。ね、いいことずくめだと思わない?」
彼はユァンにではなく、撫でている子山羊にそう言った。
「そんなの困る!」
しゃがみ込んでいる彼の前に、ユァンは勢いよくひざを突く。
「僕たちのしていることは、確かに神に背くことなのかもしれない。でも、悪いのはバルトじゃない! 僕があの人の優しさに甘えて、あの人の愛を求めたんだ。本当にごめんなさい! だからお願い、罰するなら僕にして!」
「それ、本気で言ってるの?」
両手を突くユァンを見つめ、ヒエロニムスは何度かまばたきをくり返した。
「僕はね、キミにこう提案しようと思って来たんだよ。バルトロメオに無理やり犯されたって証言するなら、キミ自身のことはお咎めナシですむように口添えするって」
(え……?)
ユァンは耳を疑った。そんな嘘、ソドミーよりずっと神に背くことだ。
「でもキミは、そんな誘いには乗りそうにないね?」
「そんなの当たり前です」
「ならこういうのはどう?」
ヒエロニムスがふいに顔を近づけてきて、額と額がぶつかりそうになった。
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