新撰組~救いの剣~

クロウ

文字の大きさ
15 / 15

めでたしめでたし

しおりを挟む
「いやあ、めでたしめでたしですね!」


「ああ。斎藤、いつ祝言をあげるんだ?」


「………」


「黙っちゃって~。加恵ちゃんが攫われたと聞いたときにかなり焦っていたじゃないですか!
それだけ好いてるってことでしょう?」


「ああ」


「!!土方さん、聞きましたか!?斎藤さんが!」


「もちろん聞いた」




無口で不愛想を地でいく斎藤が色恋話に相槌を打つなど天変地異の前触れだと沖田は騒ぐ。
普段はこの手の会話を好まない土方も斎藤の色恋に興味がわいているのか話に加わっている。
加恵は新撰組の仲の良さがうかがえる会話に微笑みが漏れる。沖田が「攫われたときに焦っていた」と言ったときには反応しなかったのに、「好いている」というところだけは肯定の返事をしてくれた。
自分が愛されていると実感できた。


一時は命を絶とうとした。苦難を乗り越えた先には光が差す。まさにその通りだ。
あの時助けてくれなかったら、あの時別の人が助けてくれていたら。
1つの道を間違えるだけでこんな結末には辿り着けなかっただろう。
いつ死ぬかわからないこの世。だから伝えられるときに思いのたけをぶつける。




「斎藤さん、助けてくださってありがとうございました」


「当たり前のことをしただけだ」


「それでも、感謝しているんです。
斎藤さん、あなたのことを好いています。新撰組にいることで危険なことに巻き込まれることもあるでしょう。
それでも傍にいたいです」


「…………返事は俺の部屋で。ここは見物人が多すぎる」


「あ」




土方さんと沖田さんがにやにやしながらこちらを見ていた。




「どうぞどうぞ。末永くお幸せに~」


「けっ」




悪態をつくところが土方さんらしい。


斎藤さんの部屋に入っていきなり注意された。




「ああいうことは人前では言うな。からかわれる」


「はい……」


「それと…………俺もお前のことを好いている」


「え!?」


「二度も言わん」


「えへへ」




今までも困難があったしこれからも困難はありそうだけれど、斎藤さんとなら一緒に乗り越えていけそう。
そう思えた。












終わり
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

小日本帝国

ypaaaaaaa
歴史・時代
日露戦争で判定勝ちを得た日本は韓国などを併合することなく独立させ経済的な植民地とした。これは直接的な併合を主張した大日本主義の対局であるから小日本主義と呼称された。 大日本帝国ならぬ小日本帝国はこうして経済を盤石としてさらなる高みを目指していく… 戦線拡大が甚だしいですが、何卒!

剣客居酒屋草間 江戸本所料理人始末

松風勇水(松 勇)
歴史・時代
旧題:剣客居酒屋 草間の陰 第9回歴史・時代小説大賞「読めばお腹がすく江戸グルメ賞」受賞作。 本作は『剣客居酒屋 草間の陰』から『剣客居酒屋草間 江戸本所料理人始末』と改題いたしました。 2025年11月28書籍刊行。 なお、レンタル部分は修正した書籍と同様のものとなっておりますが、一部の描写が割愛されたため、後続の話とは繋がりが悪くなっております。ご了承ください。 酒と肴と剣と闇 江戸情緒を添えて 江戸は本所にある居酒屋『草間』。 美味い肴が食えるということで有名なこの店の主人は、絶世の色男にして、無双の剣客でもある。 自分のことをほとんど話さないこの男、冬吉には実は隠された壮絶な過去があった。 多くの江戸の人々と関わり、その舌を満足させながら、剣の腕でも人々を救う。 その慌し日々の中で、己の過去と江戸の闇に巣食う者たちとの浅からぬ因縁に気付いていく。 店の奉公人や常連客と共に江戸を救う、包丁人にして剣客、冬吉の物語。

江戸の夕映え

大麦 ふみ
歴史・時代
江戸時代にはたくさんの随筆が書かれました。 「のどやかな気分が漲っていて、読んでいると、己れもその時代に生きているような気持ちになる」(森 銑三) そういったものを選んで、小説としてお届けしたく思います。 同じ江戸時代を生きていても、その暮らしぶり、境遇、ライフコース、そして考え方には、たいへんな幅、違いがあったことでしょう。 しかし、夕焼けがみなにひとしく差し込んでくるような、そんな目線であの時代の人々を描ければと存じます。

日露戦争の真実

蔵屋
歴史・時代
 私の先祖は日露戦争の奉天の戦いで若くして戦死しました。 日本政府の定めた徴兵制で戦地に行ったのでした。  日露戦争が始まったのは明治37年(1904)2月6日でした。  帝政ロシアは清国の領土だった中国東北部を事実上占領下に置き、さらに朝鮮半島、日本海に勢力を伸ばそうとしていました。  日本はこれに対抗し開戦に至ったのです。 ほぼ同時に、日本連合艦隊はロシア軍の拠点港である旅順に向かい、ロシア軍の旅順艦隊の殲滅を目指すことになりました。  ロシア軍はヨーロッパに配備していたバルチック艦隊を日本に派遣するべく準備を開始したのです。  深い入り江に守られた旅順沿岸に設置された強力な砲台のため日本の連合艦隊は、陸軍に陸上からの旅順艦隊攻撃を要請したのでした。  この物語の始まりです。 『神知りて 人の幸せ 祈るのみ 神の伝えし 愛善の道』 この短歌は私が今年元旦に詠んだ歌である。 作家 蔵屋日唱

もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら

俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。 赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。 史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。 もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。

古代ロマンの世界 神典古事記

蔵屋
歴史・時代
 古事記は歴史書であると共に文学的な価値も非常に高く評価され、また日本神話を伝える神典の一つとして、神道を中心に日本の宗教文化や精神文化に多大な影響を与えています。  古事記に記述されている神々は、現在では多くの神社で祭神として祀られています。  一方文化的な側面は『日本書紀』よりも強く、創作物や伝承等で度々引用されるなど、世間一般への日本神話の浸透に大きな影響を与えているのも事実です。  私は幼少期、母からこの古事記について、教わったのです。  その為、近所の氏神さまである高諸神社にお詣りする為祖父に連れて行かれました。 そして、その御祭神が|須佐之男命《すさのおのみこと》であることを知ったのです。 自宅に帰り、早速、台所に行き夕食の準備をしている母親に|須佐男之命《すさのおのみこと》について、尋ねました。 すると高諸神社の由緒について詳しく教えて下さいました。 ー(高諸神社の由緒について)ー  新羅の王子が戦乱を逃れて日本へ向かう途中で台風に遭遇し今津の海岸に漂着しました。  地元の|庄司田盛《しょうじたもり》はこの王子を助け、自宅に引き取とり看病しましたが、看病の甲斐もなく王子はまもなく息を引き取られました。  その夜、|田盛《たもり》の夢枕に王子が現れます。  「我は須佐之男命である。我が携えている一振りの剣がある。それを祀れば、未来永劫、この地の臣民たちに福を齎すであろう。」  |田盛《たもり》はそのお告げに従い、さっそくこの地に社を建て、剣を「|劔大明神《つるぎだいみょうじん》として祀ったのです。  この物語は歴史書始まって以来の古代ロマン小説と言えるであろう。    どうか最後までお楽しみ下さい。  

【読者賞】江戸の飯屋『やわらぎ亭』〜元武家娘が一膳でほぐす人と心〜

旅する書斎(☆ほしい)
歴史・時代
【第11回歴史・時代小説大賞 読者賞(読者投票1位)受賞】 文化文政の江戸・深川。 人知れず佇む一軒の飯屋――『やわらぎ亭』。 暖簾を掲げるのは、元武家の娘・おし乃。 家も家族も失い、父の形見の包丁一つで町に飛び込んだ彼女は、 「旨い飯で人の心をほどく」を信条に、今日も竈に火を入れる。 常連は、職人、火消し、子どもたち、そして──町奉行・遠山金四郎!? 変装してまで通い詰めるその理由は、一膳に込められた想いと味。 鯛茶漬け、芋がらの煮物、あんこう鍋…… その料理の奥に、江戸の暮らしと誇りが宿る。 涙も笑いも、湯気とともに立ち上る。 これは、舌と心を温める、江戸人情グルメ劇。

大東亜架空戦記

ソータ
歴史・時代
太平洋戦争中、日本に妻を残し、愛する人のために戦う1人の日本軍パイロットとその仲間たちの物語 ⚠️あくまで自己満です⚠️

処理中です...