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めでたしめでたし
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「いやあ、めでたしめでたしですね!」
「ああ。斎藤、いつ祝言をあげるんだ?」
「………」
「黙っちゃって~。加恵ちゃんが攫われたと聞いたときにかなり焦っていたじゃないですか!
それだけ好いてるってことでしょう?」
「ああ」
「!!土方さん、聞きましたか!?斎藤さんが!」
「もちろん聞いた」
無口で不愛想を地でいく斎藤が色恋話に相槌を打つなど天変地異の前触れだと沖田は騒ぐ。
普段はこの手の会話を好まない土方も斎藤の色恋に興味がわいているのか話に加わっている。
加恵は新撰組の仲の良さがうかがえる会話に微笑みが漏れる。沖田が「攫われたときに焦っていた」と言ったときには反応しなかったのに、「好いている」というところだけは肯定の返事をしてくれた。
自分が愛されていると実感できた。
一時は命を絶とうとした。苦難を乗り越えた先には光が差す。まさにその通りだ。
あの時助けてくれなかったら、あの時別の人が助けてくれていたら。
1つの道を間違えるだけでこんな結末には辿り着けなかっただろう。
いつ死ぬかわからないこの世。だから伝えられるときに思いのたけをぶつける。
「斎藤さん、助けてくださってありがとうございました」
「当たり前のことをしただけだ」
「それでも、感謝しているんです。
斎藤さん、あなたのことを好いています。新撰組にいることで危険なことに巻き込まれることもあるでしょう。
それでも傍にいたいです」
「…………返事は俺の部屋で。ここは見物人が多すぎる」
「あ」
土方さんと沖田さんがにやにやしながらこちらを見ていた。
「どうぞどうぞ。末永くお幸せに~」
「けっ」
悪態をつくところが土方さんらしい。
斎藤さんの部屋に入っていきなり注意された。
「ああいうことは人前では言うな。からかわれる」
「はい……」
「それと…………俺もお前のことを好いている」
「え!?」
「二度も言わん」
「えへへ」
今までも困難があったしこれからも困難はありそうだけれど、斎藤さんとなら一緒に乗り越えていけそう。
そう思えた。
終わり
「ああ。斎藤、いつ祝言をあげるんだ?」
「………」
「黙っちゃって~。加恵ちゃんが攫われたと聞いたときにかなり焦っていたじゃないですか!
それだけ好いてるってことでしょう?」
「ああ」
「!!土方さん、聞きましたか!?斎藤さんが!」
「もちろん聞いた」
無口で不愛想を地でいく斎藤が色恋話に相槌を打つなど天変地異の前触れだと沖田は騒ぐ。
普段はこの手の会話を好まない土方も斎藤の色恋に興味がわいているのか話に加わっている。
加恵は新撰組の仲の良さがうかがえる会話に微笑みが漏れる。沖田が「攫われたときに焦っていた」と言ったときには反応しなかったのに、「好いている」というところだけは肯定の返事をしてくれた。
自分が愛されていると実感できた。
一時は命を絶とうとした。苦難を乗り越えた先には光が差す。まさにその通りだ。
あの時助けてくれなかったら、あの時別の人が助けてくれていたら。
1つの道を間違えるだけでこんな結末には辿り着けなかっただろう。
いつ死ぬかわからないこの世。だから伝えられるときに思いのたけをぶつける。
「斎藤さん、助けてくださってありがとうございました」
「当たり前のことをしただけだ」
「それでも、感謝しているんです。
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それでも傍にいたいです」
「…………返事は俺の部屋で。ここは見物人が多すぎる」
「あ」
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「けっ」
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「はい……」
「それと…………俺もお前のことを好いている」
「え!?」
「二度も言わん」
「えへへ」
今までも困難があったしこれからも困難はありそうだけれど、斎藤さんとなら一緒に乗り越えていけそう。
そう思えた。
終わり
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