男女比崩壊世界で逆ハーレムを

発見と救出

「怖くないよ～」


「お兄さんたちは助けに来たんだよ」


「国に仕えてる騎士だから、怪しくないよ」




　黒龍騎士団が人身売買や税収の虚偽申告をしていた子爵を捕縛したのが数10分前。
邸中をくまなく捜索して証拠品の押収やら何やらをしていたら地下へと続く階段を発見した。


　この世界では女は絶滅危惧種と言われるほどその数を激減させており、女を巡っての争いは絶えない。
女が生まれたら警備や保証のために国に報告をしなければならないのだが、独り占めをしようと報告を怠る人も少なくない。


女児が攫われたという報告は上がってきていないからこの女児も出生届が出されていないパターンだろう。




「何をしている」


「あ、団長」


「団長、女の子がいたんですけどプルプル震えてて。
ーーー可愛い」


「無理に外に連れ出すのもアレじゃないですか。どうしたらいいもんか悩んでて。ーーー小動物みたい」


「本音がもれてるぞ。」




　騎士は日々の鍛錬の賜物で見事なマッチョ。女は細マッチョを好む傾向があるので体格のいい我々に怯えているのだろう。子爵に監禁されていたというのもそれに拍車をかけている。




「おまえら、ファウストとヨルンとアレクシスを呼んで来い。あいつらなら俺らよりはマシだろ」


「そーっすね」





　あくまでもムキムキな騎士団長よりかはマシなだけだ。騎士じゃなく、時間が空いたときに護身のためにと剣を習っている人と比べたら明かに体格がいい。




「ファウスト、お呼びにより参りました」


「ヨルン、右に同じく」


「アレクシス、右に同じく」




　騎士団では身分は関係ないということで家名は基本的に名乗らない。しかし国の最精鋭たる黒龍騎士団に入団できるのは幼いころから家庭教師がついて英才教育を施されていたり、優秀な人を血縁に入れてたりする貴族が多く、彼らは社交界に出てたりするので誰がどんな身分なのかは言われなくてもわかっていたりする。




「あそこにいる女の子を保護する。体格のいい我々は
恐怖の対象にしかならないだろうから比較的線の細い
おまえらを呼んだ」




　ボディビルダーほどではないけど筋骨隆々な騎士団長らと比べれば細いよねってだけだ。




「フロムナード王国黒龍騎士団所属のアレクシスだ。
保護や聴取のために同行願いたい」


「固い、口調が固いって」


「団長、アレクシスを選んだの間違いですって」


「う、うむ・・・・」


「俺はヨルン！かわいいお嬢様、こっちにおいで」




　更に奥に行ってしまった。明らかにヨルンを警戒している。彼は細マッチョな上に甘いマスクをしているものだからモテないとされている騎士の中では珍しい存在。好きになる人はいれども警戒するような顔立ちや体格ではないはずなのに。


残るは正統派王子のファウストのみ。
因みに現国王の第2王子で比喩無しで正統派王子。
金髪碧眼でまさにこの人こそ王子って感じだ。




「おいで」




　地位、権力、財力、能力において全てがトップクラスな彼はモテるモテる。女がよりよい条件の男と結婚を
したがるのはいつの時代も同じなようで。
擦り寄る女が絶えない彼は・・・・女が苦手になった。


女性が少なくなり女性の地位が男性より優位になった
せいで断り文句が気に入らなかったら冤罪をつくられ
かねない。実際に過去にあったが王宮の中だったため
監視の魔道具が作動しており、無実は証明できたが。


　騎士団の公開訓練等で話しかけている女に冷たく接していたおまえはどこに行った？
女の前では眉を寄せて不機嫌そうな顔をしているのに今はあまーい顔をしている。


　女の子はファウストの甘い顔と声で少し警戒を解いたのか、側へと寄った。