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番外編

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「控えめに言って、ファウスティーナちゃんは女神」


「俺、女って尽くされることが当たり前って思ってる奴ばっかだと思ってた」


「何かするとありがとうって言ってくれるし、
むさくるしい訓練所にもよく来てくれる」


「うんうん。良いことづくめだよね。
…………訓練が増えたこと以外は」


「ああ…………より厳しくなったよな。
まあ応援があるから頑張れる」




 ファウスト、ヨルン、アレクシスにすり寄ってくる女は訓練所には来ない。3人がいるとはいえむさくるしい集団が多い所には来たくないのか。
モテない彼らは恩恵をあやかれずにいた。




「にしてもさ、ファウストの独占欲やべえよな」


「ファウスティーナとかもろ名前似てるじゃん。
第2王子の妃は夫を複数持てるって聞くけど、
あの溺愛ぶりじゃ、ねえ」


「狙ってたんだけどなあ」




 女。しかも優しい女。モテないはずがない。
美人だけど傲慢な女と地味目だけど優しい女だったら
後者を選ぶ。


ちなみにファウスティーナは美人で優しい。




「ま、第2夫を娶るかはファウスティーナちゃんしだいだからな。王子の意見が影響しないとも限らないけど、
女の意思が尊重されるし」


「第2夫以降は爵位の順番って関係あったっけ?」


「いや、第1夫以降の夫は爵位順じゃなくてもいいけど、なんつーか…………暗黙の了解?
爵位が上のやつが優先されるみたいだぜ」


「ファウスティーナちゃんが王族を第1夫にしてくれてよかった!俺伯爵家出身だから下位貴族を第1夫にされたら望みを持つことすら許されなかったっ」


「!?おい、黙れ」




 1人の騎士が般若の形相で歩いてくるとある人物を見つけた。




「はー、ほんと可愛いよなあ」


「この間なんて『騎士様、応援してます!』って
言ってくれたんだ。その後直ぐにどっか行っちゃったけど、やる気は維持されたまま。
団長のしごきをどうにか乗りきった」


「おい!黙れって言ってんだろっ!」


「いきなりどうした?」


「…………後ろを見てみろ」




 そーっと振り向いてみた。そこには顔は笑顔だけど目が笑っていないファウスト=フォン=フロムナードがいた。




「「ひいっ」」


「楽しそうな声が聞こえて来てしまったよ。
ん?自分も混ぜてくれるかな?」


「いっいえ!!」


「そう。………………ファウスティーナの夫になるという望みは捨てろ。次そんな世迷い言言ってたら殺すからな」


「「「はいぃぃ!!」」」




 こうして脅された騎士らは他の騎士にこのことを伝え、ファウストを怒らせないためファウスティーナへの接触は最低限となった。
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