乙女ゲームに転生したことに気づかない～氷上の舞姫～

三木風雅ルート

文化祭は何をする？

　11月の始めにある文化祭。
10月は6日にジャパンオープンがあるけど
その名の通り日本で行われるし、日帰りだから大丈夫。




「文化祭で何をするか決めたいと思います。
案がある人は挙手して発言してください。」


「はい！」


「どうぞ。」


「やっぱり文化祭った言ったらメイドカフェだろ！」


「ええ～、やだ。」


「女子は少ないのよ。1人1人の負担が大きいじゃない。」




　男子の意見に女子からブーイングがあがる。




「じゃあ、はい！」


「どうぞ。」


「男女逆転カフェがいいと思います。
幸い男子の中には女顔がいるわけですし。」


「ひでえ。」


「俺が女装したって誰得だよ。」




　女子が男装するのはまあ似合うが、
男子が女装をすれば変態として通報されるだろう。
女顔もいるが少数だ。
筋肉がしっかりついた男がすれば害でしかない。




「そこはウケ狙いよ。」




　その女子曰く、女らしさは求めていないらしい。




「はい。」


「どうぞ。」


「おばけ屋敷はどうでしょうか？
皆さんも覚えているでしょう、修学旅行の肝試しを。」


「ああ………」


「あれね。」


「椎名さんがてけてけでないにしろ、
おばけとして参加したなら生徒やお客様に恐怖を与えることができるでしょう。」


「私？」


「ええ。おばけとして頑張って頂きたいです。」




　案として出たのは「メイドカフェ」「おばけ屋敷」
「男女逆転カフェ」。
カフェは他のクラスもするだろうし、1位を狙うため
にはと「おばけ屋敷」をすることになった。


　カフェ系でもお客さんは来るだろうが、そこそこしか来ないだろう。他の学年やクラスも飲食店を出店する
から競争率は高まる。


お客様や在学生の人気投票で最優秀賞が決められ、
見事最優秀賞に選ばれたら食堂30食無料券や
図書カード1万円分が貰える。
1クラスに何人かはお金持ちの子でない人がいるため、
この景品は喜ばれている。


お金持ちの人はプライドが高く、1位という座にこだわるのだろう。ただクラス仲が良くて皆で頑張ろう！って
盛り上がっている人もいるが。




「じゃあ裏方やおばけの役割分担をするよ。」


「ちょっと待って。」


「どうしたの、椎名さん。」


「私、知り合いに特殊メイクを施すことを仕事にして
いる人がいてね。教えてもらったことがあるの。
プロの腕前とまではいかないけどそれなりにできる。
メイクしやすい人としにくい人がいてね。
嫌だって言うならそれでもいいんだけど、人選は任せてほしいな。」


「皆はそれでどうかな？」


「いいぜ。」


「裏方でも何でもいいよ。」




　先ずゴツい人は特殊メイクをしづらいし、
お化け屋敷という題材にその肉体は合わない。
申し訳ないけどゴツい人は除外で。


特殊メイクは普通のメイクの何倍もの時間がかかる。
前日から準備したとしてもそんなに時間はない。
だから2日間合わせて14人で。


　ゾンビ・てけてけ・魔女・ヴァンパイア・死神・
フランケンシュタイン・ミイラ男。


ゾンビは久瀬君と橋谷君。
てけてけは自分と新山さん。
魔女は友紀と青井さん。
ヴァンパイアは八重崎君と瀬野君。
死神は時雨君と田中君。
フランケンシュタインは火村君と安部君。
ミイラ男は上野君と江藤君。




「申請すれば泊まり込みOKらしいから
1人目に名前を呼ばれた人は前日泊まり込み、
2人目に名前を呼ばれた人は1日目から2日目にかけて
泊まり込みでお願いします。」


「了解～。」




　皆の賛同を得られて良かった。
準備も本番も頑張ろう！


　…………泊まり込みで特殊メイクをする訳だけど、
夜の学校におばけメイクって恐くない？
予行演習として誰かを驚かすのもいいかも。


ちょっと悪巧みを考えちゃう楓でした。