竜人の溺愛

クロウ

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目の毒です

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「ね、ねえ、イオ?」


「何?」




 氷の貴公子、イディオス。どんなに美しい令嬢にすり寄られようとも一切表情を崩さず、冷徹な瞳で見ていた彼は番に出会い、変わった。




「書類仕事、やりにくいんじゃない?」


「とんでもない!むしろ仕事がはかどるよ」




 番を膝に乗せ、王太子の補佐業務をしていた。これで自分達のこなす仕事量が減ると、文官からは歓喜の声が上がっている。


だから王子が番を膝に乗せ、甘い言葉を囁いているのは無視する。


…………独身である文官が多く、既婚であっても目に辛いものではあるが。




「文官さんの邪魔しちゃ悪いし」




 邪魔だなんて思ってないですから~!!こっちに話を向けないでください。切実にお願いします。常に冷徹な瞳にさらされて寿命が縮まってますから、これ以上は死んじゃいます。




「え?君達、番のことを邪魔だとか思ってないよね?」




 ほら~!!ギンッと眼光が鋭くなった。


プルプル震えている文官ばかり。代わりに自分が発言しよう。でないとこの眼光はおさまらない。




「邪魔など思っておりません!」


「だそうだよ?」


「そう?それよりもイオ、あそこのソファーで本を
呼んでいていい?」


「……………………………いいよ」




 すっごい間が空いた。内心は嫌だって思っているんだろうなあ。束縛しすぎると番に嫌われるから我慢しているのか。


ソファーは目の届く範囲だし、許可した。




「美味しい」




 彼女の食べているクッキーはイディオスが作った。他の人が作った物など安心して食べさせられない。




「餌付けしたいなあ」




 俗に言う「あーん」は竜にとっての求愛行動。番の口に入る物は全て「あーん」したいのだ。




「殿下」


「何だ?」




 番を見ながら書類をさばいている。少しスピードは落ちているが、速いことにはかわりない。




「この山3つ終わらせたら昼休憩でございます。」




バババババババッ




 書類をこなす速度が格段に上がった。
流石は王家に代々仕えている一族。
番持ちの扱いを熟知している。




「執事殿、殿下の扱いが上手ですね」


「ほっほっほ、若造には負けませんぞ」


「よくあの状態の殿下に耐えられますね」


「既に陛下で経験しておりますからなあ。我が家は代々王家に仕えておりまして、彼らの扱いは口伝されているのです」




 ようは経験を積めということか。




「頑張ろう」




 文官歴3年で番に出会ったばかりの殿下にお仕えすることになりました。日々胃が縮む思いをしています。狭き門を潜り抜けて文官になりました。暫くは辞めずに頑張ろうと思います。


とある文官は家族にそう手紙を送った。
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