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一章
人影(1)
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極度の緊張感から解放された俺は喉の渇きを潤し、当初の予定通り川下に進むことにした。
もちろん【感知の術】に加え、常に隠密コンボを発動させた上でだ。
少しの油断がピンチに繋がるこの世界ではやりすぎなくらいが丁度いいと判断した。
体感で30分程歩いただろうか。
ちらほら小動物の反応はあるが未だに人らしき影は見えてこなければ森の出口も見えてこない。
本当に人間が存在している世界なのだろうかと疑ってしまうほどだ。
ため息を吐きながら再び【感知の術】を発動しようとしたその瞬間だった。
「キャーーーーーーーー!」
左側の森の中から甲高い悲鳴が響いてきた。
俺は即座に【感知の術】を発動させ、声のした方を確認する。
すると50メートル程先に人間のようなシルエットが2つと熊のようなシルエットが1つ見えた。
シンプルに考えれば人間が熊に襲われているような形だ。
聴こえてきた声はおそらく人間のものだったし、本当に人間であれば助けなければいけない。
俺の力で助けられるかはわからないが最悪俺だけならば逃げ切れるのだから何もしないよりはマシだ。
隠密コンボを解かずに全速力でその場に向かう。
「縮地」
一瞬で3メートルほどの距離を詰められる忍術スキルまでもフル活用して悲鳴の元へ急ぐ。
ゴブリンと遭遇した時もこれを使えばもっと早く逃げられたのだが、何せ気が動転していてこのスキルの存在を忘れていた。
どうか間に合ってくれ。そう思いながら鬱蒼と生い茂った草木を掻き分けて進んでいく。
時間にしてみれば僅か10秒程の道のりが妙に長く感じる。
やっとの思いでその場にたどり着いた俺の目に飛び込んできたのは牙が異様に発達している熊のような動物、全長2メートル程だろうか。
その前には気絶しているであろう女性が1人と、剣を持った男性が1人、その女性を守ろうと立ち塞がっている。
「なんでこんなところに牙熊が...」
その男性がそう呟いている。
男性の声と足は震えており、とてもこの熊に勝てるようには見えない。
着用しているのは如何にも年季が入った革鎧、持っている剣も所々刃こぼれしているように見える。
熊の方はグルグルと唸りながら今にも飛びかかりそうな様子である。
これは助ける必要がありそうだ。
もしうまく行かなくても俺だけは逃げられるんだ、やるだけやってやる。
「虎の威嚇!」
魚捕獲に使った【蛇の威圧】の上位互換スキルを発動させる。
俺の声に驚いた熊と男性がこちらに視線を向けてきたがそこに現れているのは全長5メートルほどの巨大な虎である。
蛇は相手に硬直効果を与えるがこのスキルは相手に戦意喪失効果を与える。
虎が熊に向かって一声雄叫びをあげると、唸っていた熊は静かになり項垂れながら森の奥の方へと消えていった。
「大丈夫ですか?」
【虎の威嚇】と隠密コンボを解いて、放心状態となっている男性に話しかける。
男性目線では巨大な虎が急に現れ急に消え、謎の男が現れたという状況だ。
男性は何が起きたかわからないと言った様子で口を開く。
「ファング...いや、化け物...あ、あんたは...」
完全に頭が追いついていないようだ。
少し落ち着いてもらってから色々聞いてみるとしよう。
幸い女性の方も目立った外傷は無さそうだしまた何か来ても大抵の相手ならスキルで追い払えると証明できたからな。
もちろん【感知の術】に加え、常に隠密コンボを発動させた上でだ。
少しの油断がピンチに繋がるこの世界ではやりすぎなくらいが丁度いいと判断した。
体感で30分程歩いただろうか。
ちらほら小動物の反応はあるが未だに人らしき影は見えてこなければ森の出口も見えてこない。
本当に人間が存在している世界なのだろうかと疑ってしまうほどだ。
ため息を吐きながら再び【感知の術】を発動しようとしたその瞬間だった。
「キャーーーーーーーー!」
左側の森の中から甲高い悲鳴が響いてきた。
俺は即座に【感知の術】を発動させ、声のした方を確認する。
すると50メートル程先に人間のようなシルエットが2つと熊のようなシルエットが1つ見えた。
シンプルに考えれば人間が熊に襲われているような形だ。
聴こえてきた声はおそらく人間のものだったし、本当に人間であれば助けなければいけない。
俺の力で助けられるかはわからないが最悪俺だけならば逃げ切れるのだから何もしないよりはマシだ。
隠密コンボを解かずに全速力でその場に向かう。
「縮地」
一瞬で3メートルほどの距離を詰められる忍術スキルまでもフル活用して悲鳴の元へ急ぐ。
ゴブリンと遭遇した時もこれを使えばもっと早く逃げられたのだが、何せ気が動転していてこのスキルの存在を忘れていた。
どうか間に合ってくれ。そう思いながら鬱蒼と生い茂った草木を掻き分けて進んでいく。
時間にしてみれば僅か10秒程の道のりが妙に長く感じる。
やっとの思いでその場にたどり着いた俺の目に飛び込んできたのは牙が異様に発達している熊のような動物、全長2メートル程だろうか。
その前には気絶しているであろう女性が1人と、剣を持った男性が1人、その女性を守ろうと立ち塞がっている。
「なんでこんなところに牙熊が...」
その男性がそう呟いている。
男性の声と足は震えており、とてもこの熊に勝てるようには見えない。
着用しているのは如何にも年季が入った革鎧、持っている剣も所々刃こぼれしているように見える。
熊の方はグルグルと唸りながら今にも飛びかかりそうな様子である。
これは助ける必要がありそうだ。
もしうまく行かなくても俺だけは逃げられるんだ、やるだけやってやる。
「虎の威嚇!」
魚捕獲に使った【蛇の威圧】の上位互換スキルを発動させる。
俺の声に驚いた熊と男性がこちらに視線を向けてきたがそこに現れているのは全長5メートルほどの巨大な虎である。
蛇は相手に硬直効果を与えるがこのスキルは相手に戦意喪失効果を与える。
虎が熊に向かって一声雄叫びをあげると、唸っていた熊は静かになり項垂れながら森の奥の方へと消えていった。
「大丈夫ですか?」
【虎の威嚇】と隠密コンボを解いて、放心状態となっている男性に話しかける。
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男性は何が起きたかわからないと言った様子で口を開く。
「ファング...いや、化け物...あ、あんたは...」
完全に頭が追いついていないようだ。
少し落ち着いてもらってから色々聞いてみるとしよう。
幸い女性の方も目立った外傷は無さそうだしまた何か来ても大抵の相手ならスキルで追い払えると証明できたからな。
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