8 / 14
一章
人影?
しおりを挟む
美味しい焼き魚を食べ終わり、喉も腹も満たされたところで、再び人里を探すことにしよう。
この川に沿ってずっと下っていけば水と食料には困らないし、いづれ森を抜けることもできるはずだ。
そう思いながら【感知の術】を発動させると川上の方に小さい子供のようなシルエットが5つ程見えた。
水を汲みに来た子供達だろうか。その場合は川上に村か集落があると信じていいだろう。
たった今川下に向かうと決めたところだったが人影を見つけてしまったら話は別である。
人里を見つけるにはまず人を見つけなければならないのだから。
子供達のシルエットまでの直線上に他の動物がいる様子もないし急に現れたら驚かれて逃げられてしまうかもしれない。
今回は隠密コンボは使わずに近づいてみよう。
【感知の術】を定期的に発動させつつ、ゆっくり近づいていき、もうすぐ姿を捉えられそうなところまで来た。
すると子供達は水を汲み終わったのか川から離れて森の中へ入って行こうとしているようだった。
あまり森の中に入られると厄介なので少しペースを上げて小走りで子供達に近づいていく。
よし、この木を掻き分ければもう目の前に...。
「ねぇ君たちこの近くの村のk....っ!?」
俺の目に飛び込んできたのは、焦茶色の肌に動物の毛皮らしきものを纏い、尖った耳とぎょろぎょろした目を持った異形の者達。
おそらくこれはそう、ゴブリンだ。
ゴブリン達は草木の間から突然現れた俺に驚き、「グギャ!?」や「ギィ!?」など鳴き声をあげている。
あまりにも予想外の出来事を前に俺の頭はパニックを起こし、身体が硬直してしまった。
ゴブリン達は少しずつ正気を取り戻し臨戦体制に入っているようだ。
このまま動かなければ確実に殺られる。
この世界のゴブリンの強さがわからない以上防具の防御力を過信するわけにもいかない。
動け、動け、動け、動け!!!
「あぁぁぁぁ!霞隠れの術!」
なんとか声を振り絞り、【霞隠れの術】を発動させると、瞬時に周囲に霧が立ち込めて俺の姿を隠してくれる。
硬直も解け、足も動くようになってきた。
「生贄の山羊!」
ヴァルハラには複合スキルという機能があり、予め自分で設定したキーワードを唱えることで3つのスキルを同時に発動することができた。
この【生贄の山羊】は【分身】と【透明化】、【隠行の術】を掛け合わせた複合スキルである。
俺の分身が現れると同時に俺本体の姿や気配は完全に消える。
狼狽えているゴブリン達を尻目に元来た道を一目散に駆ける。
隠密状態で1人ずつ倒すことも一瞬頭をよぎったが、隠密系のスキルは総じて一度攻撃をすると解除されてしまうため対複数戦には向いていないのだ。
迂闊だった。元の世界とは生態系が違うという時点でこのような可能性を考慮すべきだったのに人に出会いたいがために失念してしまっていた。
慎重に行くと決めていたはずなのに思いの外上手く物事が進んでいたため警戒が緩んでいた。
数秒走り続け、朝魚を取った場所まで戻ることができた。
息を整えながら再び【感知の術】を発動させると、俺の分身に当たらぬ攻撃をし続けているゴブリン達のシルエットが見えたのでなんとか一息つくことができた。
こうして俺はこの世界での初ピンチを乗り越えたのだった。
この川に沿ってずっと下っていけば水と食料には困らないし、いづれ森を抜けることもできるはずだ。
そう思いながら【感知の術】を発動させると川上の方に小さい子供のようなシルエットが5つ程見えた。
水を汲みに来た子供達だろうか。その場合は川上に村か集落があると信じていいだろう。
たった今川下に向かうと決めたところだったが人影を見つけてしまったら話は別である。
人里を見つけるにはまず人を見つけなければならないのだから。
子供達のシルエットまでの直線上に他の動物がいる様子もないし急に現れたら驚かれて逃げられてしまうかもしれない。
今回は隠密コンボは使わずに近づいてみよう。
【感知の術】を定期的に発動させつつ、ゆっくり近づいていき、もうすぐ姿を捉えられそうなところまで来た。
すると子供達は水を汲み終わったのか川から離れて森の中へ入って行こうとしているようだった。
あまり森の中に入られると厄介なので少しペースを上げて小走りで子供達に近づいていく。
よし、この木を掻き分ければもう目の前に...。
「ねぇ君たちこの近くの村のk....っ!?」
俺の目に飛び込んできたのは、焦茶色の肌に動物の毛皮らしきものを纏い、尖った耳とぎょろぎょろした目を持った異形の者達。
おそらくこれはそう、ゴブリンだ。
ゴブリン達は草木の間から突然現れた俺に驚き、「グギャ!?」や「ギィ!?」など鳴き声をあげている。
あまりにも予想外の出来事を前に俺の頭はパニックを起こし、身体が硬直してしまった。
ゴブリン達は少しずつ正気を取り戻し臨戦体制に入っているようだ。
このまま動かなければ確実に殺られる。
この世界のゴブリンの強さがわからない以上防具の防御力を過信するわけにもいかない。
動け、動け、動け、動け!!!
「あぁぁぁぁ!霞隠れの術!」
なんとか声を振り絞り、【霞隠れの術】を発動させると、瞬時に周囲に霧が立ち込めて俺の姿を隠してくれる。
硬直も解け、足も動くようになってきた。
「生贄の山羊!」
ヴァルハラには複合スキルという機能があり、予め自分で設定したキーワードを唱えることで3つのスキルを同時に発動することができた。
この【生贄の山羊】は【分身】と【透明化】、【隠行の術】を掛け合わせた複合スキルである。
俺の分身が現れると同時に俺本体の姿や気配は完全に消える。
狼狽えているゴブリン達を尻目に元来た道を一目散に駆ける。
隠密状態で1人ずつ倒すことも一瞬頭をよぎったが、隠密系のスキルは総じて一度攻撃をすると解除されてしまうため対複数戦には向いていないのだ。
迂闊だった。元の世界とは生態系が違うという時点でこのような可能性を考慮すべきだったのに人に出会いたいがために失念してしまっていた。
慎重に行くと決めていたはずなのに思いの外上手く物事が進んでいたため警戒が緩んでいた。
数秒走り続け、朝魚を取った場所まで戻ることができた。
息を整えながら再び【感知の術】を発動させると、俺の分身に当たらぬ攻撃をし続けているゴブリン達のシルエットが見えたのでなんとか一息つくことができた。
こうして俺はこの世界での初ピンチを乗り越えたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる