束縛ドリーム

ミカフ

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進路

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『2人は末長く幸せに暮らしましたとさ。』
ページをめくるとタイトルが印刷されたページが見える。すると
「ええ!この小説めっちゃええわぁ!」
アンズが大声で感激の様子を見せる。その様子が私は心底嬉しかった。
「ありがとう。ほんまは自信なかってん。せやけど、アンズにそう言われると自信つくわ。」と微笑みかけた。
「ええんよ。アシスタントってそういうもんやろ。」
「せやな。」
お互いに顔を見合ってふふっと笑った。この瞬間がずっと続けばいいのにと思うほど幸せを感じた。
「そういえば今度、この小説出そう思ってん。」
「出す?どこに?」
「募集しとるとこ。」
ふーんと小説を見つめるアンズはいかにも何も分かってない様子で少しおかしかった。
くくっと笑いを抑えられないでいると、「何笑ってんねん」と呆れた表情で言うアンズがもっとおかしくて気がつけば2人して笑い転げていた。
「私、絶対夢叶えるで。アンズがおったらなんでもできそうやもん。」
アンズは少し照れくさそうに頭をかいた。
「私も頑張るわ。オトギに絶対夢叶えてほしいからな。」
「2人で絶対夢叶えような。」私は安堵した表情でそう言った。
「うん。分かっとるよ。」

それから私たちは、私が小説を書いてはアンズに読んでもらい、ここはこうした方がいいのではないかとお互いに意見を言い合って小説を書き上げるという毎日を送っていた。
私が不調の時にはアンズが小説の続きを書いてみたりして沢山のアイデアをもらった。
そうしているうちに1ヶ月の時が過ぎた。
いつもと同じように授業の合間の休み時間を使い、アンズに小説を読んでもらう。
その日はとても寒く、暖房を付けていても凍えてしまうほどだった。
授業が始まるチャイムが鳴ると、進路指導の先生が教卓の前に立つ。
すると、先程とはまるで別人かのように生徒たちは堅苦しい表情になった。
その様子が少しおかしかった。
周りを見回すとアンズも背筋をピンッとさせ、険しい表情になっていた。
正直面白い。というより愛らしかった。なんだろうか、この気持ちは。
先生が列ごとに紙を配っていく。
なんの紙だろうか。
前の人から紙を受け取るとすぐに何か分かった。
「進路希望調査…」
アンズは、どうするんやろうか。
心の中でそう呟いた。

「アンズ」
休み時間になると真っ先にアンズの席へと向かった。
「オトギか。どないしたん?」
アンズは考え事をしていたのか、少し驚いた様子を見せた。
「進路希望、どうするん?」
「あぁ、そのことなんやけどな。」
「私と同じ高校行ってくれるよな?」
アンズの言葉を聞こえないふりをして遮った。
「え、あぁ…うん。そう、オトギと同じ高校行きたいな~って考えとったんよ。」
アンズは微笑んだ。
「よかったぁ、もし無理言われたらどないしようか思っとったんよ。」
「私この高校行きたいねん。」
そう言いながら高校のパンフレットを見せ、小説専門科を指さした。
「あぁ、ええんやないの。」
アンズは俯きながらそう言った。
いつものアンズとは裏腹に声に覇気がなかった。
「どないしたん?元気ないな。」
「ん?なんでもないで。」
アンズは我に返ったようにいつもと同じような笑顔を浮かべた。
「あ、そうや。今日の夜、ビデオ通話できひん?ちょっと小説のことで悩んどってな。アンズの意見が欲しい。」
「ええよ。待っとるわ。」
アンズは即答した。
あぁ、やっぱり変わらへんなぁ。アンズは。
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