断罪される令嬢は、悪魔の顔を持った天使だった

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フランカ・ベラヴィーア1

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 王立学園に入学したその日、私は天使様を見つけてしまった。

ベラヴィーア侯爵家の長女である私はまだ婚約者がいない。まあ、まだ婚約者がいない方が多い年齢なので焦っていない。侯爵家は兄がいるから大丈夫だし、王立学園でAクラスに行ければ働くことも出来る。

もしかしたら、学園でいい人を見つけられるかもしれないし。

淡いブロンドの髪は緩やかなウェーブを描いている。緑青の瞳で目鼻立ちは整っている方だと思う。背はあまり高くはないが、その方が男性には好かれやすいんだよと兄が言ってくれたし。

問題なのは、まあまあ口が立つところだろうか。これがどうにも受けがよろしくない。大人しい男性を見つければちょうどいいわねと、母に笑って言われるがそんな男性が果たしているのだろうか。

なので、私は働くことも視野に入れているのだ。

そして王立学園入学の日。頑張った甲斐あって無事にAクラスになっていた。意気揚々と教室へ向かう。教室の前に到着すると、一足先に到着していた令嬢が目に入った。

『見た事がない令嬢だわ』
そう思いながらも、挨拶をしてみる。
「ごきげんよう。あなたもAクラスなのね」

私の声を聞き、振り向いた彼女を見て私は数秒息をすることを忘れてしまった。

くせのない真っ直ぐな美しいプラチナブロンドの髪にドールのような白い肌。瞳の色は一体何色なのか……濃紺のようにも見えるし緑にも紫にも見える。スラッと背が高いせいで手足も長い。
こんな綺麗な子、お茶会でも見た事がない。

「天使様?」
無意識に呟いてしまった事に気が付いて、恥ずかしくなってしまった。すると、彼女の血色のいい唇がニコッと弓形になった。

「残念ながら私は人間ですの。それと同じAクラスです。アリアンナ・ヴォルテーラと申します。お友達になって頂けると嬉しいですわ」

声を聞いた途端、全身に鳥肌が立ってしまった。
『なんて美しい声』
そして名前を聞いて思い出す。

「神を呼ぶ聖なる声……」
またもや無意識に声に出してしまった。

「それも残念ながらまだ……神様をお呼びしたことはありませんの」
申し訳なさそうに言う彼女に、慌てて謝る。

「ごめんなさい。考えもなしに口にしてしまって。あの、私はフランカ・ベラヴィーアと申します。こちらこそ、是非お友達になってください」
思わずペコリと頭を下げてしまった。

「あの、頭をお上げになって。私は別に畏まられるような人間ではないので」
困ったように微笑みながら言うアリアンナ様に心臓を鷲掴みにされてしまった。

「ぐっ」
苦しそうに胸を辺りの服を掴む私を見て、わたわたとしてしまっているアリアンナ様。

「あの、どこか具合が悪いのでしょうか?どうしたら……医務室はどこでしょう?どなたか探しに行った方が……」
『ヤバい、マジ天使』
更にガシガシと掴まれる心臓に鞭打って、私は立ち上がる。

「ごめんなさい。なんでもありませんのよ、お気になさらず。それよりも是非お友達になって頂きたいですわ。私の事はどうぞ、フランとお呼びください」

突然の復活に驚いて目がキラキラしているアリアンナ様。
『あら、光に当たると赤くも見えるわ』
そんな私に戸惑いながらも笑顔で応えてくれる。
「ありがとうございます、フラン様。私の事はどうぞアリ―と」

『ぐっ』
心の中で悶えながら笑う私。もう私の学園生活、最高になる予感しかしないわ。

「あら?そう言えば婚約者でいらっしゃるダヴィデ殿下は?」
教室に入って適当な席に座る。ぱっと見渡してもダヴィデ殿下はいないようだ。まあ、まだ早い時間なので来てないだけかも。

「ええっと……殿下はですね……」
なんだか口ごもるアリー様。これはもしやBクラスになってしまった?
「Dクラス、です」
「へ?」
「あの、だからですね、Dクラスだったんです」
「嘘?」
「本当です」
「……やっぱりバカだったんだ」
「……」

性格もあまりよろしくないダヴィデ殿下は、頭もよろしくなかった。まあ噂で聞いていたから分かってはいたけれど、いくらなんでも未来の王がDクラスって……この国ヤバくない?

しばし無言でアリー様と見つめ合ってしまう。
「ふ、ふふ」
そしてどちらともなく笑ってしまうのだった。

「じゃあ、婚約者の目が届かない学園生活を楽しみましょう」
つい思っていることをまたもや口走ってしまった。

「はい!楽しみです」
意外にもアリー様はノリノリで答えてくれた。これはもしや、あまりダヴィデ殿下の事を好いてはいない?そう思ったが流石にそれは口にしなかった。
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