断罪される令嬢は、悪魔の顔を持った天使だった

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ファビオ・ペッキア、ファブリツィア・ペッキア

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 ペッキア家は男爵家の中でも、割と高位であった。しかし、残念ながら領地はスズメの涙ほどしかないので王都に居を構え商売を始めた所、これがなかなかいい稼ぎになり金銭的に潤った。
スズメの涙ほどの土地が大いに役立ったのだ。辺境に近い場所にある領地で、個人的に栽培することは禁じられている植物を育てている。

勿論、無認可で。それを王都の裏社会で売り捌いているのだ。気候が合っているのかどうやら他のものよりも効き目が強いらしく、うちの品物は高値で取引されている。

そのおかげで双子である俺たち二人とも、王立学園に入ることが出来たのだった。ただ、なんの勉強もしてこなかったせいでDクラスになってしまったと知った時にはマズイと思ったのだが、神の采配か同じクラスにこの国の王子がいた。

正直、そんな頭で国王とかどうなんだ?とは思ったが、それを上手く使って取り入れば城での仕事はおろか、側近にまでなれるかもしれないと思い、彼の傍に常にいて役立つように努めた。

もう一人、男爵でありながら騎士団の副団長にまでのし上ったルッカーニ家の息子であるゼラフィーノもいて、二人で殿下の共をしている。

 しかしこの殿下、自分は何もしなくても次代の王になるのが決まっていると、本当に何もしない。率先してやるのは女たちと遊ぶ事だけだ。あんなに美しい天使のような婚約者がいるのによくやると思う。

気持ち悪い事に妹のファブリツィアまで殿下とそういう関係になった。でもまあ、寵を得ているようなので良しとしよう。

 そんな殿下が、学園生活一年目も終盤に差し掛かった頃、いきなり婚約者に執着を見せ出した。多分、ダンスで何かあったのだろう。あの天使を我が物にしようと思っているらしい。俺のアドバイスでプレゼントをすることを決めた殿下は、気持ちが悪いくらい機嫌がいい。

なんでもチョコが好きらしいので、珍しいチョコを詰め合わせて贈ることにしたそうだ。

これで、本当に射止める事が出来たのなら、助言をした俺の側近への未来は大きく近づくだろう。天使には申し訳ないが、早く殿下の元へ堕ちていって欲しいと願ってやまない。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 同じクラスにダヴィデ殿下がいることに気が付いた時は、感動して泣いてしまいそうだったわ。美しい金の髪に、栗色の瞳がキラキラしていて本当に素敵だったの。

殿下は流石王子様で、物腰が柔らかく女性にはとてもお優しい方だった。Dクラスの女生徒の半数以上は殿下にメロメロ。かくいう私もメロメロになっているわ。

 そのうち、何人かの女生徒が殿下と深い関係になっていると知ってしまった。私は、なぜ自分はそうならないのかと悲しくなった。少なくとも、ここにいる女生徒の中では私は一二位を争えるほどの器量だと思っている。

オレンジの髪はフワフワと柔らかく、ヘーゼル色の瞳も大きい。出るとこは……まだ成長途中だけれど、それはこれからだし。

私は気に入られるように、常に柔らかい笑顔を心掛け、殿下を癒してあげられる女を目指したわ。

 すると、殿下が私を他の人より愛するようになったの。クラスの中でも格別な扱いを受けているのよ。私を見つめる視線は優しく、慈しんでくれていると思う。そしてしばらく経った後、殿下のものになった私は一番愛されている自信があったわ。

 ある時、ダンスの授業で本番と同じようにドレスを着て、舞踏会さながらの練習をするという日があった。

ドレスを着た私を見て殿下は綺麗だと褒めてくれたわ。

授業のダンスも、私だけ2回も踊ってくれたし。婚約者でもないのに2回も踊ってくれるなんて、私は愛されているんだと。そう確信したわ。

あとはラストダンスを残すのみとなった時、殿下は全然知らない人の所へ真っ直ぐ向かって行った。とても美しい人だった。プラチナブロンドのストレートヘアは、光に照らされて煌いていた。瞳は近くで見ていないけれど、なんだか色が変化して見えた。スタイルの良い体つきで、立っているだけで美しいと思ってしまった。

他の女子たちとあれは誰なのかと話していたら、ファビオ兄様が殿下の婚約者だと教えてくれた。

私達は優越感で笑ってしまった。あんなに美しい人を差し置いて、私達は愛されているんだと、ダンスも先に踊っているし、私は2回も踊った。お優しいから殿下はきっと、婚約者さんの顔を潰さないためにラストダンスは誘ってあげたのだろうと思って、婚約者さんごめんなさいね、なんて心の中で盛大に馬鹿にしてしまったわ。だって本当の事だもの。

結局、何やら揉めて殿下と婚約者さんは踊ることなく、婚約者さんはダンスの先生と踊っていた。

その光景を見て、更に私の気持ちは膨れ上がった。殿下はご自身の意志で、婚約者さんと踊るのをやめたのだと思ったのだもの。私たち、いいえ。私がいるから。そう結論付けた瞬間、私は王族への階段を上がったと確信した。

 ダンスの授業のすぐ後、殿下が私たちに贈り物をされて嬉しい物は何かと聞いてきた時は、これはきっと何か贈ってくれるのだろうと思った。他の皆もここぞとばかりに、宝石だとかドレスだと言っていた。

「ファブリツィアは?」
「私は……殿下の色のドレスがいいです。それを着て、本当の舞踏会で一緒に踊ることが出来たら、もう死んでもいいと思ってしまいます」
はにかんで答えると、そうかと優しく頭を撫でてくれた。

きっと数か月先にある学園舞踏会で、贈ってくれるに違いない。ああ、婚約者さん。本当にごめんなさいね。
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