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断罪3
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「継承権はく奪?」
「はい。わかりませんか?あなたは王になる権利を失ったという事です」
「なんでだ!?俺は国王の唯一の息子だぞ!!」
「そんなことは皆様わかっております。勿論私も。しかし、幼少の頃から学ぶはずの王族として必要な知識、秩序、矜持。どれも学ぶことなく過ごしてきた結果です」
「王族という特権に胡坐をかいて、勉強も剣術も何もしてこなかった。Dクラスなんて王族始まって以来の成績なんだぞ。王族ならば、他の誰よりも努力をして当たり前だろう。貴族の頂点に立ち、国民全てを守るべき立場であるはずのおまえは、一体今まで何をしていたんだ?」
俺の言葉にダヴィデが口をポカンと開ける。
「ダヴィデ殿下は女性にとても優しい素敵な方です!」
今まで黙っていたファブリツィアが突然、口を挟んできた。
「それだけじゃない。Dクラスでは素晴らしい統率力を見せていました。そんなダヴィデ殿下が王になれないなんておかしいです!」
ファビオも一緒になって騒ぎ出す。それに釣られるように、他のDクラスの生徒達もダヴィデをほめそやす。
ダヴィデが王にならなければ、自分たちがいい思いをすることが出来ないからだろう。
「いい事を教えてやろう。今、ダヴィデを讃えていなかったDクラスの生徒達は全員2年ではCクラスだ。他人の力を利用することばかりに躍起になっているお前たちはそのままDクラスだ。残念だったな」
「そんな!横暴だ。ダヴィデ殿下の肩を持ったからってDクラスにさせるなんて」
ファビオが顔を真っ赤にして怒っている。
「いや、そうではない。先日のテストの結果だ。ダヴィデに傾倒していなかった、主に子爵家の面々だが、テストでは好成績を残していたよ。やはり自分の力で頑張るとしっかり結果が付いてくるもんだな」
ファビオは悔しそうな顔で黙ってしまった。ダヴィデに至っては、先程から魂が抜けたように呆けている。
「あ、それとね。ペッキア兄妹は、このままこの場を退場してもらいますから」
そう言ったデュランはニコニコと、黒い笑顔を振りまいている。
「何故だ!?」
ファビオがデュランに食って掛かった。
「何故?何故だかわかりませんか?そんなはずないですよね」
「分かるはずないわよ!」
ファブリツィアも鼻息荒く、噛みつかんばかりの勢いだ。
「分からないはずはないんですけどねぇ。ま、仕方ない。説明します。あなたたち、Dクラスの何人かにク・ス・リ、売ってるでしょ?」
ファビオの顔色が変わった。
「ああ、ごまかしとかいりませんよ。ちゃんと調べはついています。今頃は君たちの家の方にも騎士団が行っているはずですよ」
「何を言っているの?あれは薬なんかじゃないわ。あれは気分が良くなる魔法の葉なのよ」
胸を張って薬であることを否定するファブリツィアにデュランが笑顔で返す。
「ご高説、ありがとうございます。ですって、ファビオ君」
彼女の否定したはずの言葉が、彼等を追い詰めた。
「続きは牢屋に入ってからとしましょう」
デュランが手を上げれば、それを合図に騎士数名が二人を取り押さえた。
「ちょっと、痛い!離して!薬なんて売ってないって言ってるでしょ」
ファブリツィアはまだ自分の罪状を理解していないようで、必死に抵抗しているが引きずられるようにして会場から出されていた。ファビオは顔面蒼白で、トボトボと騎士に連れられて去って行った。
「あっと、これで終わりじゃないぞ。買った奴らは後日、事情を聞かせてもらう。下手に逃げたり誤魔化したりしない方がいい。こちらでしっかり全てを把握しているからな」
エルマンノの低い威圧的な声で、買ったであろう者たちが息をのんだのがわかった。
「ダヴィデ、おまえも王城に戻り城を出る支度をしろ。東の果ての騎士団が、おまえを鍛え直してくれるそうだ」
ずっと呆けている甥に声を掛ける。
「なんでだ?どうしてだ?だってファブリツィアは声が聞こえたって。婚約破棄を突き付ければアリアンナは泣いて俺にすがるからって、そうしろって聞こえたって」
一人ブツブツと呪文のように唱えている。そんなダヴィデの傍に寄り、そっと耳打ちした。
「種明かしをしてやろう。ファブリツィアだったか。彼女が聞いたその声は天井裏に潜んでいた影だ。俺たちは最後に賭けてみたんだよ。この作戦におまえが乗るのか、馬鹿馬鹿しいと一刀両断するのかな」
「賭けた?」
「そうだ。おまえがアリアンナを少しでも大事にしていれば、そんな作戦には出ないだろう、そう思っていたんだ。だが、おまえは嬉々として乗ってしまった。そこでおまえは終わったんだ」
目で合図を送る。騎士が2名、ダヴィデの元にやって来た。
「俺の愛するアリアンナを、幸せにするどころか不幸にしようとしたおまえを、残念ながら俺は赦せそうもない。だが可愛い甥だったことも確かだ。だから廃嫡にはしない。東の果てで一からやり直してこい」
俺の言葉を聞いたダヴィデは、騎士に連れられながら泣いていた。初めて自分の置かれた立場を理解したのかもしれない。向こうで少しでもまともになって強い男になればいいと思う。
俺は、ダヴィデが会場から見えなくなるまで見送ったのだった。
「はい。わかりませんか?あなたは王になる権利を失ったという事です」
「なんでだ!?俺は国王の唯一の息子だぞ!!」
「そんなことは皆様わかっております。勿論私も。しかし、幼少の頃から学ぶはずの王族として必要な知識、秩序、矜持。どれも学ぶことなく過ごしてきた結果です」
「王族という特権に胡坐をかいて、勉強も剣術も何もしてこなかった。Dクラスなんて王族始まって以来の成績なんだぞ。王族ならば、他の誰よりも努力をして当たり前だろう。貴族の頂点に立ち、国民全てを守るべき立場であるはずのおまえは、一体今まで何をしていたんだ?」
俺の言葉にダヴィデが口をポカンと開ける。
「ダヴィデ殿下は女性にとても優しい素敵な方です!」
今まで黙っていたファブリツィアが突然、口を挟んできた。
「それだけじゃない。Dクラスでは素晴らしい統率力を見せていました。そんなダヴィデ殿下が王になれないなんておかしいです!」
ファビオも一緒になって騒ぎ出す。それに釣られるように、他のDクラスの生徒達もダヴィデをほめそやす。
ダヴィデが王にならなければ、自分たちがいい思いをすることが出来ないからだろう。
「いい事を教えてやろう。今、ダヴィデを讃えていなかったDクラスの生徒達は全員2年ではCクラスだ。他人の力を利用することばかりに躍起になっているお前たちはそのままDクラスだ。残念だったな」
「そんな!横暴だ。ダヴィデ殿下の肩を持ったからってDクラスにさせるなんて」
ファビオが顔を真っ赤にして怒っている。
「いや、そうではない。先日のテストの結果だ。ダヴィデに傾倒していなかった、主に子爵家の面々だが、テストでは好成績を残していたよ。やはり自分の力で頑張るとしっかり結果が付いてくるもんだな」
ファビオは悔しそうな顔で黙ってしまった。ダヴィデに至っては、先程から魂が抜けたように呆けている。
「あ、それとね。ペッキア兄妹は、このままこの場を退場してもらいますから」
そう言ったデュランはニコニコと、黒い笑顔を振りまいている。
「何故だ!?」
ファビオがデュランに食って掛かった。
「何故?何故だかわかりませんか?そんなはずないですよね」
「分かるはずないわよ!」
ファブリツィアも鼻息荒く、噛みつかんばかりの勢いだ。
「分からないはずはないんですけどねぇ。ま、仕方ない。説明します。あなたたち、Dクラスの何人かにク・ス・リ、売ってるでしょ?」
ファビオの顔色が変わった。
「ああ、ごまかしとかいりませんよ。ちゃんと調べはついています。今頃は君たちの家の方にも騎士団が行っているはずですよ」
「何を言っているの?あれは薬なんかじゃないわ。あれは気分が良くなる魔法の葉なのよ」
胸を張って薬であることを否定するファブリツィアにデュランが笑顔で返す。
「ご高説、ありがとうございます。ですって、ファビオ君」
彼女の否定したはずの言葉が、彼等を追い詰めた。
「続きは牢屋に入ってからとしましょう」
デュランが手を上げれば、それを合図に騎士数名が二人を取り押さえた。
「ちょっと、痛い!離して!薬なんて売ってないって言ってるでしょ」
ファブリツィアはまだ自分の罪状を理解していないようで、必死に抵抗しているが引きずられるようにして会場から出されていた。ファビオは顔面蒼白で、トボトボと騎士に連れられて去って行った。
「あっと、これで終わりじゃないぞ。買った奴らは後日、事情を聞かせてもらう。下手に逃げたり誤魔化したりしない方がいい。こちらでしっかり全てを把握しているからな」
エルマンノの低い威圧的な声で、買ったであろう者たちが息をのんだのがわかった。
「ダヴィデ、おまえも王城に戻り城を出る支度をしろ。東の果ての騎士団が、おまえを鍛え直してくれるそうだ」
ずっと呆けている甥に声を掛ける。
「なんでだ?どうしてだ?だってファブリツィアは声が聞こえたって。婚約破棄を突き付ければアリアンナは泣いて俺にすがるからって、そうしろって聞こえたって」
一人ブツブツと呪文のように唱えている。そんなダヴィデの傍に寄り、そっと耳打ちした。
「種明かしをしてやろう。ファブリツィアだったか。彼女が聞いたその声は天井裏に潜んでいた影だ。俺たちは最後に賭けてみたんだよ。この作戦におまえが乗るのか、馬鹿馬鹿しいと一刀両断するのかな」
「賭けた?」
「そうだ。おまえがアリアンナを少しでも大事にしていれば、そんな作戦には出ないだろう、そう思っていたんだ。だが、おまえは嬉々として乗ってしまった。そこでおまえは終わったんだ」
目で合図を送る。騎士が2名、ダヴィデの元にやって来た。
「俺の愛するアリアンナを、幸せにするどころか不幸にしようとしたおまえを、残念ながら俺は赦せそうもない。だが可愛い甥だったことも確かだ。だから廃嫡にはしない。東の果てで一からやり直してこい」
俺の言葉を聞いたダヴィデは、騎士に連れられながら泣いていた。初めて自分の置かれた立場を理解したのかもしれない。向こうで少しでもまともになって強い男になればいいと思う。
俺は、ダヴィデが会場から見えなくなるまで見送ったのだった。
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