お姉様の代わりに悪役令嬢にされそうです

Blue

文字の大きさ
11 / 47

ミルクティー色の令嬢

しおりを挟む
 教会へ戻るとインファーナ様が出迎えてくれた。
「お疲れさまでした。いかがでしたか?」
応接室のような部屋に通される。
「はい、森に少し入った所から半径500メートルの範囲にいたホーンラビットは殲滅しました。数にして100前後です。あとは様子見ですね。流石に一気に仲間が減った事で警戒すると思うので、無闇にこちら側には来ないと思います」

「そんなにたくさん……やはりリリーさんは凄いですね。ありがとうございました。さ、まずはお茶にしましょう」
「あ、その前に祈りを捧げてきてもよろしいですか?」
「はい、勿論です。ではこちらでお待ちしていますね」

応接室を出て、礼拝堂へ向かう。中に入ると祈りを捧げている女性が目に入った。ミルクティー色の柔らかそうな髪、肌は抜けるように白い。祈りが終わったのか彼女が顔を上げてこちらを見た。髪と同じミルクティー色の瞳がパチパチとした。

彼女は立ち上がり私とすれ違う。その直前、彼女が小さく呟いた。
「悪役令嬢」
思わず振り返ったが、彼女はこちらを見る事もなく礼拝堂を出て行った。

「アクヤクレイジョウ……って何?」
聞いたことのない言葉に私の頭の上にはクエスチョンマークが散らばっていた。

 祈りを終わらせて応接室へ戻ると、先程の令嬢がいた。インファーナ様の腕にぴったりと絡みついている。
「リリーさん、戻られましたか。あ、彼女はですね、聖女候補の方なのですよ。シモネッタ男爵の令嬢でして、クララ嬢です。ほら、クララさん。ご挨拶を」

「クララ・シモネッタです。よろしくお願いいたします」
まずまずのカーテシーだ。
「このような格好で御前に出る事をお許しください。私はアヴァティーニ公爵家三女リリー・アヴァティーニでございます」
ドレスではないので騎士の礼を取る。

「リリーさん、まだ彼女は聖女ではありませんので、畏まる必要はないのですよ」
そう笑ったインファーナ様。
「さあ、もうお帰りなさい。今日のノルマは終了したのでしょう」
シモネッタ嬢に帰るように促す。

「キャルム様、それでは話が違います。今日は街に一緒に行ってくれると約束していたではありませんか」
私が討伐に来てしまったために、彼女との約束を反故にしてしまうという事か。

「ごめんなさい、私がクエストで突然来てしまったばかりに。どうぞ約束をしているのなら優先してあげてください。私も討伐は終わりましたし、報告をしにギルドに戻りますので」
さっさと席を立つ。インファーナ様が止めるが首を振る。

「レディとの約束は守らなければいけませんよ。では、またいずれ」
彼が尚も、私を呼び止めるが笑顔でサラッと躱した。
『ああ、怖かった。めちゃめちゃ睨まれてたわ』
シモネッタ嬢と名乗っていた令嬢が、恐ろしいほど睨んでいたのだ。
「触らぬ神に祟りなし、よね」



「ふっふっふ」
満面の笑み。どんなに律してもニヤニヤが止まらない。
「教会様様だったわ」
ホーンラビットの角は、薬になるのでギルドが買い取ってくれる。しかも角には一つも傷つけずに討伐したため状態がいいという事で高値がついた。

「いいボーナスが手に入ったし、お土産買って帰ろうっと」



 人気のスイーツ店でお土産を買い、屋敷に戻るとお母様が出迎えてくれた。
「お帰りなさい、リリー」
「ただいま。お母様、お茶にしましょう。お土産を買って来たの」
「あら、素敵ね」

家令にも箱を渡す。
「皆にも買ってきたから、あとで配ってあげて」
「お嬢様……ありがたく頂戴しますね」

珍しくお義兄様も帰って来ていたので、四人でお茶にする。
「どうしたの?お義兄様がこんなに早く帰って来るなんて……はっ、まさかクビに?」
「リリー……姉様を怒らせたいの?」
「冗談です」

「ははは、あと少しで舞踏会の準備に入るからね。その前に休めるだけ休もうって話になったんだよ」
「なあんだ、そっかあ」
「リリー」
「はい、ごめんなさい」
ローズ姉様が怖い。

「あ、そういえば」
お母様が思い出したように立ち上がる。キャビネットの上に置かれていた二つの箱を私に渡す。
「これは?」
「ふふふ、オスカー殿下とグランディ侯爵家のアーチー様からよ」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

モブ転生とはこんなもの

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。 乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。 今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。 いったいどうしたらいいのかしら……。 現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。 他サイトでも公開しています。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→

AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」 ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。 お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。 しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。 そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。 お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。

聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!? 元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。

実は私が国を守っていたと知ってましたか? 知らない? それなら終わりです

サイコちゃん
恋愛
ノアは平民のため、地位の高い聖女候補達にいじめられていた。しかしノアは自分自身が聖女であることをすでに知っており、この国の運命は彼女の手に握られていた。ある時、ノアは聖女候補達が王子と関係を持っている場面を見てしまい、悲惨な暴行を受けそうになる。しかもその場にいた王子は見て見ぬ振りをした。その瞬間、ノアは国を捨てる決断をする――

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

辺境伯聖女は城から追い出される~もう王子もこの国もどうでもいいわ~

サイコちゃん
恋愛
聖女エイリスは結界しか張れないため、辺境伯として国境沿いの城に住んでいた。しかし突如王子がやってきて、ある少女と勝負をしろという。その少女はエイリスとは違い、聖女の資質全てを備えていた。もし負けたら聖女の立場と爵位を剥奪すると言うが……あることが切欠で全力を発揮できるようになっていたエイリスはわざと負けることする。そして国は真の聖女を失う――

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

処理中です...