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宝石の色
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そこには竜騎士の盛装用の制服を着た、黒色の竜のように美しい人が立っていた。
「レジナルド?」
黒い盛装は縁取りが銀で、生地にも銀糸で刺繍が施されていて美しい。黒と銀の中で金の瞳だけが光を発しているように煌いていた。
「ゼルガーナの嫡男が、舞踏会に現れるなんて珍しい事もあるものだな」
「本当に。相変わらず美しい男だ。近寄りがたいがな」
近くの紳士たちがボソボソと噂している。どうやらレジナルドが来るのは珍しい事のようだ。
彼は何かを探しているのか、辺りをキョロキョロ見まわしている。ふと、こちらを見た彼と目が合った。明らかに金の瞳がこちらを見ている。私は何故か、微動だに出来ない。金縛りにあったように動けなくなってしまった。
こちらを見たまま、真っ直ぐに向かってくるレジナルド。
「リリー」
目の前に立った彼は、動けない私の手を取り、当然のように手の甲にキスを落とす。
「レジナルド?」
「ふっ、どうした?固まっているぞ」
「びっくりしたので」
「そうか」
「リリー」
「はい」
「綺麗だ」
「え?」
「以前のドレスも良かったが、今日は格別だ」
一気に顔に熱が集まった。膝に力が入らない。このままでは崩れ落ちてしまう。
今にも腰が抜けてしまいそうなその時、後ろから声がした。
「レジナルド、貴様。なんで来た?」
お父様だった。今にも噛みつかんばかりの勢いだ。周囲の女性たちが怯えている。
「なんでって、私も招待されているので」
レジナルドは、気にする様子もなく涼しい顔で受け止める。
「おまえ、いつも無視していただろう」
「無視していたのでなく、仕事を優先させていたんです」
「じゃあ、今日も仕事していればよかったじゃないか」
「お嬢さんが私の色を着けてくれたのか気になったので」
ニヤリと悪い笑みを浮かべたレジナルド。周囲の彼の表情を見た令嬢が数人倒れた。
「くそう、おまえ……本気か?」
「はい」
二人は、まるで目で会話をするように睨み合う。先に折れたのはお父様だった。
「簡単には許さんからな」
それだけ言うと私の背を軽く押す。
「わかっていますとも」
私を受け止めたレジナルドが私に言った。
「1曲、お相手願えるか?」
「はい」
たくさんの視線を浴びる中、レジナルドは私の手を取りステップを踏み出す。重厚な雰囲気の彼からは想像がつかないくらいステップは柔らかだった。
「それ、似合っている」
「ありがとうございます。こんなに素敵なチョーカー。私の瞳と同じ色で驚きました」
「探したからな」
「え?」
「リリーの瞳と同じ色合いの物を探したんだ。気にしていただろう、自分の瞳を。だから探した。リリーの瞳は、こんなに美しいのだとわかってもらえるように」
危うくまた涙を流してしまう所だった。彼の優しさが私の心をすっぽりと包んでしまったから。
「ありが、とうございます」
浮かびかかった涙をなんとか堪える。
「はは、なんて顔をしている」
「だって、レジナルドが優しい事を言うので」
「俺が優しいのはダメか」
「いいえ、でも嬉しくて泣けてしまいます」
「泣くな。ここには黒竜がいないから慰められん」
「ふふ、はい」
「あ、黒色の竜の名前、考えました」
「ほお、なんて名だ?」
「それはまだ秘密です。黒色の竜に一番に教えたいので」
「ふっ、そうか。楽しみにしている」
レジナルドとのダンスはあっという間に終わってしまった。向こうではお父様だけでなく、お母様やローズ姉様、お義兄様も待っていた。
「そろそろ帰るようだな」
「そうですね。レジナルドは来たばかりですよね。まだこちらに?」
「いや、目的は果たしたからな。馬車まで送ろう」
彼は、私たちが馬車に乗り込むのを見届けると、自分も馬車に乗って帰って行った。お父様以外は皆ニヤニヤしている。私は吐きたくはないのに、溜息が止まらなかった。
屋敷に到着すると家令から、カメリア姉様が居間で待っていると告げられた。私たちはとりあえず、ドレスのまま居間へと向かう。扉を開ければ2年ぶりの再会となるカメリア姉様が、ニコニコしながら待っていた。隣には、初めて見る男性が座っていた。きっとカメリア姉様の婚約者なのだろう。
私は迷わず、カメリア姉様の元へ走った。
「レジナルド?」
黒い盛装は縁取りが銀で、生地にも銀糸で刺繍が施されていて美しい。黒と銀の中で金の瞳だけが光を発しているように煌いていた。
「ゼルガーナの嫡男が、舞踏会に現れるなんて珍しい事もあるものだな」
「本当に。相変わらず美しい男だ。近寄りがたいがな」
近くの紳士たちがボソボソと噂している。どうやらレジナルドが来るのは珍しい事のようだ。
彼は何かを探しているのか、辺りをキョロキョロ見まわしている。ふと、こちらを見た彼と目が合った。明らかに金の瞳がこちらを見ている。私は何故か、微動だに出来ない。金縛りにあったように動けなくなってしまった。
こちらを見たまま、真っ直ぐに向かってくるレジナルド。
「リリー」
目の前に立った彼は、動けない私の手を取り、当然のように手の甲にキスを落とす。
「レジナルド?」
「ふっ、どうした?固まっているぞ」
「びっくりしたので」
「そうか」
「リリー」
「はい」
「綺麗だ」
「え?」
「以前のドレスも良かったが、今日は格別だ」
一気に顔に熱が集まった。膝に力が入らない。このままでは崩れ落ちてしまう。
今にも腰が抜けてしまいそうなその時、後ろから声がした。
「レジナルド、貴様。なんで来た?」
お父様だった。今にも噛みつかんばかりの勢いだ。周囲の女性たちが怯えている。
「なんでって、私も招待されているので」
レジナルドは、気にする様子もなく涼しい顔で受け止める。
「おまえ、いつも無視していただろう」
「無視していたのでなく、仕事を優先させていたんです」
「じゃあ、今日も仕事していればよかったじゃないか」
「お嬢さんが私の色を着けてくれたのか気になったので」
ニヤリと悪い笑みを浮かべたレジナルド。周囲の彼の表情を見た令嬢が数人倒れた。
「くそう、おまえ……本気か?」
「はい」
二人は、まるで目で会話をするように睨み合う。先に折れたのはお父様だった。
「簡単には許さんからな」
それだけ言うと私の背を軽く押す。
「わかっていますとも」
私を受け止めたレジナルドが私に言った。
「1曲、お相手願えるか?」
「はい」
たくさんの視線を浴びる中、レジナルドは私の手を取りステップを踏み出す。重厚な雰囲気の彼からは想像がつかないくらいステップは柔らかだった。
「それ、似合っている」
「ありがとうございます。こんなに素敵なチョーカー。私の瞳と同じ色で驚きました」
「探したからな」
「え?」
「リリーの瞳と同じ色合いの物を探したんだ。気にしていただろう、自分の瞳を。だから探した。リリーの瞳は、こんなに美しいのだとわかってもらえるように」
危うくまた涙を流してしまう所だった。彼の優しさが私の心をすっぽりと包んでしまったから。
「ありが、とうございます」
浮かびかかった涙をなんとか堪える。
「はは、なんて顔をしている」
「だって、レジナルドが優しい事を言うので」
「俺が優しいのはダメか」
「いいえ、でも嬉しくて泣けてしまいます」
「泣くな。ここには黒竜がいないから慰められん」
「ふふ、はい」
「あ、黒色の竜の名前、考えました」
「ほお、なんて名だ?」
「それはまだ秘密です。黒色の竜に一番に教えたいので」
「ふっ、そうか。楽しみにしている」
レジナルドとのダンスはあっという間に終わってしまった。向こうではお父様だけでなく、お母様やローズ姉様、お義兄様も待っていた。
「そろそろ帰るようだな」
「そうですね。レジナルドは来たばかりですよね。まだこちらに?」
「いや、目的は果たしたからな。馬車まで送ろう」
彼は、私たちが馬車に乗り込むのを見届けると、自分も馬車に乗って帰って行った。お父様以外は皆ニヤニヤしている。私は吐きたくはないのに、溜息が止まらなかった。
屋敷に到着すると家令から、カメリア姉様が居間で待っていると告げられた。私たちはとりあえず、ドレスのまま居間へと向かう。扉を開ければ2年ぶりの再会となるカメリア姉様が、ニコニコしながら待っていた。隣には、初めて見る男性が座っていた。きっとカメリア姉様の婚約者なのだろう。
私は迷わず、カメリア姉様の元へ走った。
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