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失態
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「クックックック」
私は今、めちゃめちゃ笑われている。隣を歩く、オスカー殿下に。
「まだ笑いますか?」
「ククク、すまない。だが……クッ」
王城にあと少しで着くという時に、自分が冒険者の格好のまま来た事に気付いた。冒険者の格好と言っても、白いシャツにこげ茶のパンツとベスト。黒いブーツとひざ丈の黒いマント。そこまで怪しい服装ではない……はず。
「でも、きっと門兵の人たちには私だと気付いてもらえないかもしれないわね」
こんな格好で表から堂々と入れてもらえるのかわからない。でも裏口なんてどこにあるのか知らない。仕方がないのでギルドカードを見せることにしたのだ。
「こんにちは」
門兵の人たちに笑顔で挨拶をする。
「こんにちは……これはこれは」
何かを言いかけた門兵の人たちの目の前に、ギルドカードを突き付けた。
「こんな格好ですが、私はこういうものです。わかっていただけないかもしれませんが信じてください!」
キョトンとした門兵の人たちは、とってもいい笑顔を見せた。
「わかっておりますとも、リリー・アヴァティーニ様。本日はギルドから直接のお越しなのですね。大丈夫です。冒険者の服装でもアヴァティーニ様だとすぐにわかりました」
「え?あら?」
思いっきりフライングした気分の私は真っ赤になってしまった。
「そこの可愛らしい冒険者は、誰に用事かな?」
そこへ登場したのがオスカー殿下だったのだ。
「それにしても、まさかギルドカードを突き付けるとは……予想外の動きに門兵たちがたじろいだのが見て取れたよ」
肩を震わせている。まだおかしいのか、このやろう。
「いやあ、あんな珍しい君を見る事が出来たのはラッキーだったな。あんな……クク」
「もう面倒なので笑い続けてください」
「ハハハ。すまない。可愛かったからつい。それで?その格好のままここへ来るなんて、街で何かあったのか?」
鋭いわ、この人。
「秘密です」
「秘密?へえ、私も先程の事を秘密にしておこうと思ったけれど、なんだか無性に言いふらしたくなってしまったなぁ」
「くっ」
この王子、実は腹黒のようだ。
「おや?冒険者仕様のままなのかい?それと、どうして殿下も?」
「それが……」
オスカー殿下をジトリと睨むが、殿下は素知らぬ顔だ。
「もしかして、なにか弱みでも握られちゃったかな?ばらされたくなかったら一緒に話を聞かせてって」
流石お義兄様。バッチリ正解です。
「ふふ、相変わらずカーター殿は鋭いな。話を聞かせては貰うが、他言はしないし協力もする」
お義兄様が、じっとオスカー殿下を見る。
「ま、いいでしょう。聞くからには協力するのは当たり前ですよ。それで?リリーはどうしたんだい?」
執務室のソファに座らされる。お茶まで淹れてもらってしまった。
「ごめんなさい。お仕事中なのはわかっていたのだけれど」
「いいんだよ。可愛い義妹の為なんだ。仕事なんて二の次さ」
「宰相殿が聞いたら泣いてしまいそうなセリフだな」
オスカー殿下が笑うが、お義兄様は涼しい顔だ。
「家族が一番大切ですから」
お茶を飲んで落ち着いた私は、教会でのことを話し始めた。
「リリーの話を聞く限り少なくとも犯人は、ワイルドボアの子供を欲しがってしたわけではなさそうだね」
断言するお義兄様。
「どうして?」
「だって、欲しがって捕まえたのなら、最低限の世話はするだろう。でもその子は衰弱していた。それはつまり生死は特に気にしていなかったという事だ」
言われて初めて気が付いた。確かにそうだ。あの子はあと1日もったかどうかという程弱っていた。
「じゃあどうして……」
オスカー殿下がぼそりと呟いた。
「街の中にワイルドボアを解き放とうとしていたという事なのではないか?」
私は今、めちゃめちゃ笑われている。隣を歩く、オスカー殿下に。
「まだ笑いますか?」
「ククク、すまない。だが……クッ」
王城にあと少しで着くという時に、自分が冒険者の格好のまま来た事に気付いた。冒険者の格好と言っても、白いシャツにこげ茶のパンツとベスト。黒いブーツとひざ丈の黒いマント。そこまで怪しい服装ではない……はず。
「でも、きっと門兵の人たちには私だと気付いてもらえないかもしれないわね」
こんな格好で表から堂々と入れてもらえるのかわからない。でも裏口なんてどこにあるのか知らない。仕方がないのでギルドカードを見せることにしたのだ。
「こんにちは」
門兵の人たちに笑顔で挨拶をする。
「こんにちは……これはこれは」
何かを言いかけた門兵の人たちの目の前に、ギルドカードを突き付けた。
「こんな格好ですが、私はこういうものです。わかっていただけないかもしれませんが信じてください!」
キョトンとした門兵の人たちは、とってもいい笑顔を見せた。
「わかっておりますとも、リリー・アヴァティーニ様。本日はギルドから直接のお越しなのですね。大丈夫です。冒険者の服装でもアヴァティーニ様だとすぐにわかりました」
「え?あら?」
思いっきりフライングした気分の私は真っ赤になってしまった。
「そこの可愛らしい冒険者は、誰に用事かな?」
そこへ登場したのがオスカー殿下だったのだ。
「それにしても、まさかギルドカードを突き付けるとは……予想外の動きに門兵たちがたじろいだのが見て取れたよ」
肩を震わせている。まだおかしいのか、このやろう。
「いやあ、あんな珍しい君を見る事が出来たのはラッキーだったな。あんな……クク」
「もう面倒なので笑い続けてください」
「ハハハ。すまない。可愛かったからつい。それで?その格好のままここへ来るなんて、街で何かあったのか?」
鋭いわ、この人。
「秘密です」
「秘密?へえ、私も先程の事を秘密にしておこうと思ったけれど、なんだか無性に言いふらしたくなってしまったなぁ」
「くっ」
この王子、実は腹黒のようだ。
「おや?冒険者仕様のままなのかい?それと、どうして殿下も?」
「それが……」
オスカー殿下をジトリと睨むが、殿下は素知らぬ顔だ。
「もしかして、なにか弱みでも握られちゃったかな?ばらされたくなかったら一緒に話を聞かせてって」
流石お義兄様。バッチリ正解です。
「ふふ、相変わらずカーター殿は鋭いな。話を聞かせては貰うが、他言はしないし協力もする」
お義兄様が、じっとオスカー殿下を見る。
「ま、いいでしょう。聞くからには協力するのは当たり前ですよ。それで?リリーはどうしたんだい?」
執務室のソファに座らされる。お茶まで淹れてもらってしまった。
「ごめんなさい。お仕事中なのはわかっていたのだけれど」
「いいんだよ。可愛い義妹の為なんだ。仕事なんて二の次さ」
「宰相殿が聞いたら泣いてしまいそうなセリフだな」
オスカー殿下が笑うが、お義兄様は涼しい顔だ。
「家族が一番大切ですから」
お茶を飲んで落ち着いた私は、教会でのことを話し始めた。
「リリーの話を聞く限り少なくとも犯人は、ワイルドボアの子供を欲しがってしたわけではなさそうだね」
断言するお義兄様。
「どうして?」
「だって、欲しがって捕まえたのなら、最低限の世話はするだろう。でもその子は衰弱していた。それはつまり生死は特に気にしていなかったという事だ」
言われて初めて気が付いた。確かにそうだ。あの子はあと1日もったかどうかという程弱っていた。
「じゃあどうして……」
オスカー殿下がぼそりと呟いた。
「街の中にワイルドボアを解き放とうとしていたという事なのではないか?」
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