悪役令嬢、冤罪で一度命を落とすも今度はモフモフと一緒に幸せをつかむ

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モフモフ探し

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「探そう」
翌日、すっかり回復した私は、午前中の勉強を全て済ませて中庭でお茶をしていた。

夢の中で出会った二匹の豹。私を守ってくれると言ってくれたあの子達を探そうと考えたのだ。すぐに会えると思っていたのに、全然出てきてくれない。これは自分から探しに行かなければ会えないのかもしれない、そう結論付けたのだ。なにより、あの毛並みを堪能したい。

「いるとしたら、やっぱり魔の森のそば?」
魔の森はこの屋敷の裏手に広がっている。屋敷と魔の森の間には、強固な結界が施されており、どんな小さな魔物も結界を超える事は出来ない。この結界はお母様が張っているのだが、私も何度か訓練として張ったことがある。まずはその結界の所まで行ってみることにした。

屋敷の敷地の中では私は一人で自由に動くことが出来る。結界を張る事が出来るので、万が一暴漢に襲われても対処が出来るからだ。中庭を突き抜け魔の森の近くまで行く。
ここから見る魔の森は禍々しい気配は全くなく、至って普通の森に見える。でも探索の魔法をかけてみると、禍々しい気配があちこちからしてくる。

「居ないわ」
それらしい気配が探索に引っかかることはない。もしかすると聖女を監視していた時のように姿は現さずに守るということなのだろうか。

「寂しい」
あの二匹と一緒に過ごせる未来を思い描いていただけにショックが大きい。結界のすぐ手前で座ってしょんぼりしていると、のっそりと大きなイノシシのような魔物が森から出てきた。イノシシのような見た目だが、恐ろしく大きい。

探索魔法で動きはわかっていたし、結界もあるので怖くはない。ただ、初めて見る種類の魔物に驚いていた。出てきた魔物は私を見つけると獲物として認識したらしく、捕らえようと跳びかかってきた。

すると、イノシシの魔物の両サイドから金色と黒色が飛び出してきた。あの子達だ!そう認識した時にはもう、イノシシの魔物は消えていた。

『ああ、びっくりした。君はなんでそんな所でのんきに座っているの?』
『お前!こんな所で休憩なんてしてたら命がいくつあっても足りないぞ』
せっかく探していた美しい二匹の獣に出会って早々怒られてしまった。

「ごめんなさい。でもね、探索魔法でしっかり追っていたし、結界が張ってあるから大丈夫」
二匹ともキョトンとしている。
「あなた達に会いたくて探していたの。なんとなく、この辺りにいたら会えそうな気がして。でも不思議とあなた達の魔力は検知出来なかったわ」

『会いたくて探してくれたのか?』
「そう」
『嬉しい!!』
二匹は嬉しそうに、私の頬にすり寄ってくれた。

『僕たちはここではない空間から転移してきたから、きっと検知出来なかったんだと思うよ』
『探索魔法が使えるなら、俺たちの気配を覚えておくといい』
せっかくならばと、ここでもう一度魔法を展開する。すると、鮮やかなグリーンの魔力を感じた。

「綺麗。あなた達の魔力は瞳の色と同じ綺麗なグリーンだわ」
溜息交じりに言うと、二匹の長い尾が揺れた。
『ありがとう。綺麗って言ってくれて嬉しい』
『お前の魔力も彩光を放っていて綺麗だぞ』

自分の魔力は見る事が出来ないので、初めて知った。
「そうなの?嬉しい」

『お互いの気配も確認できたし、自己紹介させてもらうよ』
少し改まった雰囲気で二匹が座った。
『初めましてエリーザ。僕は光の神獣。約束通り君を守りに来たよ』
『初めましてエリーザ。俺は闇の神獣。これからよろしくな』
私もきちんと挨拶をすることにする。
「初めまして。エリーザ・オリヴィエーロです。これからよろしくね」

ふと疑問に思ったことを口にする。
「あなた達に名前はないの?」
『ないよ』
『ないな』
これから一緒に過ごすにあたって、名前がないと言うのはなかなかに不便だ。

『もしよかったらエリーザがつけてくれる?』
「いいの?」
『別に構わない。気に入るかどうかは別だけどな』

二匹から了承を頂いたので考えることにする。
「あんまり複雑な名前は忘れそう。やっぱりそれぞれにちなんだ名前の方がいいのかな」

数分後
「決めた」
私は二匹を見つめる。
「光の神獣のあなたはルーチェ。そして闇の神獣のあなたはオスクリタ。まんまだけれど、ぴったりな気がするの」

『いいね』
『気に入った』
快く承諾してくれた二匹に改めてお願いする。

「ルーチェ、オスクリタ。これからよろしくね」
『ああ』
『勿論だよ』
私は、そう返事してくれた二匹の頭をそっと撫でた。

「それでね、早速相談なんだけれど、流石にその大きさでは皆が驚いてしまうと思うの。小さくなることは出来る?」
このままでは猛獣二匹を連れている魔女のように見えそうだ。
『それは心配無用だよ』
言った瞬間、二匹とも猫ほどの大きさになった。

「……」
私が微動だにしなかったことに動揺したルーチェとオスクリタ。
『どうした?何か不味いか?』
『もっと小さい方がいいのかなあ』
二匹とも自分の姿を見ながら戸惑っている。

違うの、そうじゃないの。説明したいけれど言葉が出ない。やっとのことで言葉を出す。
「可愛すぎる!」
そしてそのまま気を失いそうになってしまった。

なんとか堪え二匹を抱えて屋敷に戻る。
「可愛い」
小さくなったからなのか、大きい時よりも毛が柔らかくてフワフワしている。
「幸せ」
『あはは、なによりだよ』
『はああ』
ルーチェは面白そうに笑い、オスクリタは大きく溜息をついていた。

「ただいま」
屋敷の中に入ると、私の帰りを待っていたジュリアと遭遇する。
「お嬢様、そちらは?」
明らかに二匹を見て固まっている。
「お友達になったの」

ジュリアは二匹から目を離さない。
「可愛いというか、可愛いというか……可愛すぎます!!」
ジュリアの叫びにも似た返答に、聞こえた家の者たちがわらわらと集まり出した。
その中にはお母様もいた。

「一体どうしたの?」
私の前までやって来ると、ジュリアと同じように二匹を見て固まる。
「あのね、お友達になったの」
「……」
「お母様?」
「……キャー!!これはマズイわ。ちょっと誰か、アレ持ってきて。アレよアレ。映写機よ。誰か映写機持ってきてー!!」
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