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二人の世界
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ジルヴァーノとアリアンナのダンス姿は注目を集めた。
「なんて素敵なのかしら?」
「まるで夜の神と、暁の女神が踊っているようだわ」
「絵画の中のようですわね」
見つめ合い、無言で踊る二人には周囲の声は聞こえていない。まるでこの場所に二人しかいないのではないかと言う程、二人の世界を作っている。
「ジルヴァーノ様は、ダンスがとてもお上手なのですね」
「身体を動かす事が好きだからでしょうか。アリアンナ様もとても上手いですね。私のリードに遜色なく付いてきている。私は背が大きいせいか、どうしても移動の幅が大きくなってしまうのです。普段であれば、身を縮めるようにして踊るのですが、アリアンナ様とは伸び伸びと踊れます」
「それは良かったです。私は決して小さくないですから。ジルヴァーノ様の動きでもついて行けますよ」
ニコリと笑みを浮かべて答えるアリアンナに、ジルヴァーノの視線が泳いだ。
「どうかしましたか?」
「あ、いえ……」
一度意識してしまうと、上手く応対が出来なくなってしまう。そんなジルヴァーノの心など知る由もないアリアンナは、彼の顔をマジマジと見つめ小首を傾げる。
「なんだか、お顔が赤いようですけれど……もしかして具合が良くないのでは?」
「!」
追い詰めるように距離を縮めて来るアリアンナに、少し仕返ししたい気持ちになったジルヴァーノ。
「いえ、本当に大丈夫です。ただ……」
「ただ?」
ジルヴァーノは顔をぐっとアリアンナに寄せた。
「アリアンナ様の美しい笑みに、心臓が鷲掴みにされたような気がしたのです」
「!」
今度はアリアンナが赤くなる番だった。
「そ、それは……」
「常にお美しいアリアンナ様ですが、今日は一段と美しいです。数秒見つめるだけで私の心臓は壊れてしまいそうになる」
「!」
出会った頃の無愛想さが鳴りを潜め、誉め言葉で攻めて来るジルヴァーノに、アリアンナは口をパクパクするだけで、返す言葉が出て来ない。
「アリアンナ様、何度も言いますが美しい、美し過ぎます」
過剰なほどの誉め言葉に、アリアンナは顔から火が出そうな程恥ずかしい。しかし、ジルヴァーノの口元を見て我に返った。
「ジルヴァーノ様……私をからかっておりますね」
ジルヴァーノの口元がニヤリと歪む。
「バレましたか」
「もう!心臓が壊れそうな程、ドキドキしてしまったではありませんか」
「なかなかいい演技でしたか?」
「すっかり騙されました」
恥ずかしいのと、怒りたいのでツンツンしてしまうアリアンナ。
「ははは、申し訳ありません。つい」
「もう」
「でも、申し上げた言葉は全て本当です。今日のアリアンナ様は、いつもにも増して美しいと思います」
真剣な顔つきになるジルヴァーノ。握っていた手を強く握り直す。背に置いていた手を腰に落としキュッと力を入れると、アリアンナとの距離を縮まらせた。
「ジルヴァーノ様……」
ジルヴァーノとの距離が驚く程縮まった事で、美しい銀の瞳が間近に迫る。吸い込まれそうになるほど自身を見つめている銀の瞳に、アリアンナこそ心臓を鷲掴みにされたような錯覚を覚える。
ジルヴァーノもまた、アリアンナの宝石のような青い瞳に囚われていた。無意識に二人の距離が更に縮まる。
だが、そんな二人をあざ笑うように、曲が終わりを迎えた。
「残念、もう終わってしまいました」
「……そうですね」
「楽しかったです」
「私も、アリアンナ様と踊る事が出来て良かったです」
そんな二人の周りには次は自分が誘う、私を誘っていただくという意気込みでいる男女がたくさんいた。
その時だった。
「ジル様」
誰かがそう呼んだのが聞こえた。二人で声の方を振り返る。
二人が向けたの視線の先には、アリアンナと同じように、デビュタントの証である白のドレスを着た令嬢が小走りでやって来た。
「なんて素敵なのかしら?」
「まるで夜の神と、暁の女神が踊っているようだわ」
「絵画の中のようですわね」
見つめ合い、無言で踊る二人には周囲の声は聞こえていない。まるでこの場所に二人しかいないのではないかと言う程、二人の世界を作っている。
「ジルヴァーノ様は、ダンスがとてもお上手なのですね」
「身体を動かす事が好きだからでしょうか。アリアンナ様もとても上手いですね。私のリードに遜色なく付いてきている。私は背が大きいせいか、どうしても移動の幅が大きくなってしまうのです。普段であれば、身を縮めるようにして踊るのですが、アリアンナ様とは伸び伸びと踊れます」
「それは良かったです。私は決して小さくないですから。ジルヴァーノ様の動きでもついて行けますよ」
ニコリと笑みを浮かべて答えるアリアンナに、ジルヴァーノの視線が泳いだ。
「どうかしましたか?」
「あ、いえ……」
一度意識してしまうと、上手く応対が出来なくなってしまう。そんなジルヴァーノの心など知る由もないアリアンナは、彼の顔をマジマジと見つめ小首を傾げる。
「なんだか、お顔が赤いようですけれど……もしかして具合が良くないのでは?」
「!」
追い詰めるように距離を縮めて来るアリアンナに、少し仕返ししたい気持ちになったジルヴァーノ。
「いえ、本当に大丈夫です。ただ……」
「ただ?」
ジルヴァーノは顔をぐっとアリアンナに寄せた。
「アリアンナ様の美しい笑みに、心臓が鷲掴みにされたような気がしたのです」
「!」
今度はアリアンナが赤くなる番だった。
「そ、それは……」
「常にお美しいアリアンナ様ですが、今日は一段と美しいです。数秒見つめるだけで私の心臓は壊れてしまいそうになる」
「!」
出会った頃の無愛想さが鳴りを潜め、誉め言葉で攻めて来るジルヴァーノに、アリアンナは口をパクパクするだけで、返す言葉が出て来ない。
「アリアンナ様、何度も言いますが美しい、美し過ぎます」
過剰なほどの誉め言葉に、アリアンナは顔から火が出そうな程恥ずかしい。しかし、ジルヴァーノの口元を見て我に返った。
「ジルヴァーノ様……私をからかっておりますね」
ジルヴァーノの口元がニヤリと歪む。
「バレましたか」
「もう!心臓が壊れそうな程、ドキドキしてしまったではありませんか」
「なかなかいい演技でしたか?」
「すっかり騙されました」
恥ずかしいのと、怒りたいのでツンツンしてしまうアリアンナ。
「ははは、申し訳ありません。つい」
「もう」
「でも、申し上げた言葉は全て本当です。今日のアリアンナ様は、いつもにも増して美しいと思います」
真剣な顔つきになるジルヴァーノ。握っていた手を強く握り直す。背に置いていた手を腰に落としキュッと力を入れると、アリアンナとの距離を縮まらせた。
「ジルヴァーノ様……」
ジルヴァーノとの距離が驚く程縮まった事で、美しい銀の瞳が間近に迫る。吸い込まれそうになるほど自身を見つめている銀の瞳に、アリアンナこそ心臓を鷲掴みにされたような錯覚を覚える。
ジルヴァーノもまた、アリアンナの宝石のような青い瞳に囚われていた。無意識に二人の距離が更に縮まる。
だが、そんな二人をあざ笑うように、曲が終わりを迎えた。
「残念、もう終わってしまいました」
「……そうですね」
「楽しかったです」
「私も、アリアンナ様と踊る事が出来て良かったです」
そんな二人の周りには次は自分が誘う、私を誘っていただくという意気込みでいる男女がたくさんいた。
その時だった。
「ジル様」
誰かがそう呼んだのが聞こえた。二人で声の方を振り返る。
二人が向けたの視線の先には、アリアンナと同じように、デビュタントの証である白のドレスを着た令嬢が小走りでやって来た。
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