笑い方を忘れた令嬢

Blue

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作戦実行

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 出発当日。
「気を付けて行ってらっしゃい」
竜舎まで、国王と王妃が見送りに出ていた。
「はい、お母様」
「くれぐれも無茶はしないようにな」
ウルウルしながら国王が言う。
「はい、絶対に無茶はしないわ」

騎士団と王太子、ドマニは馬での移動になる為、2日程早く出発していた。
「ジルヴァーノ、くれぐれもアンナを頼む」
国王がジルヴァーノに頭を下げる。

「お顔をお上げ下さい。大丈夫です。アリアンナ様はしっかり守り抜いてみせます」
すると、まるで自分もと言っているかのように銀の竜が首を伸ばした。
「ロワも頼む。アンナを守ってくれ」
国王は銀の竜にも言葉を掛けた。

銀の竜を含め、7頭の竜たちが飛び立つ。以前と同じように、アリアンナを乗せた銀の竜を囲うような配置を取って飛ぶ竜たち。

「アリアンナ様、大丈夫ですか?」
ジルヴァーノに聞かれたアリアンナは、ニッコリと微笑んで見せた。
「はい。とっても気持ちがいいです」
そんなアリアンナに、ジルヴァーノも笑みを返した。
「はは、流石ですね」

竜たちは真っ直ぐ北へと飛び続ける。途中、休憩を挟みながら陽が落ちる前に岩山付近の森に到着した。

 一足先に到着していた騎士団と合流し、キャンプを設営する。
「アンナ、大丈夫だった?」
王太子が到着早々、アリアンナを抱きしめた。
「ええ、ジョエル兄様。ロワの乗り心地は最高だったわ」
銀の竜は細心の注意を払ってアリアンナを運んだのだ。

「そろそろ陽が落ちます。夜になってからが本番になるでしょうから、殿下たちは今のうちにお休みください」
騎士団長に促され、アリアンナは少し眠る事にした。王太子とドマニは、最終打ち合わせをしてから休むという事だった。

そして再び。アリアンナは夢を見る。
「ここって……」
アリアンナは以前の夢の時と同じ場所に立っていた。しかし、冒険者たちの姿は見えない。幼い竜の姿もなかった。
「月の位置が低い……」

もしかするとこれから起こるのかもしれないと思ったアリアンナは、岩山の麓の方へ向かった。今回はちゃんと進めるようだ。麓に到着し、暫く辺りを歩いてみる。すると、左の森の方から微かに人の話し声が聞こえた。
『もしかして』
アリアンナは近くの大岩に身をひそめる。

森から出て来たのはたくさんの冒険者。なにやら真剣に話をしながらこちらに向かってくる。だが、肝心の声は聞こえない。暫く話をした後、リーダーらしき男が皆に何か指示をしてバラバラに散った。

アリアンナは出るに出られず、大岩の影で身を潜めていると、上空に気配を感じた。3頭の竜だった。3頭の竜は皆、まだ幼かった。独り立ちして間もない竜たちなのかもしれない。竜たちが麓に降り立った瞬間、冒険者たちが一斉に飛び出してきた。

驚いた竜たちだったが、1頭、その中で一番大きな竜がブレスを吐き、冒険者たちが怯んだ隙に2頭を逃がしていた。冒険者たちは何やら叫びながら、残った1頭を囲み一斉に攻撃を始めた。

「ダメ!」
堪らなくなったアリアンナは、竜を守るように飛び出した。

「!」
飛び起きたアリアンナ。額には汗をかいていた。
「夢……」
ほんの数秒、呆然としてしまう。そして慌てて横になっていたマットから起きると、テントから出た。

「ジョエル兄様!」
外はすっかり夜だった。夢で見たまんまの三日月が目に入る。アリアンナはテントのすぐ横で、ドマニと騎士団長、ジルヴァーノと共に話し込んでいた王太子の胸に飛び込む。

「どうした?何かあった?」
「また夢を見たわ。岩山の左側の森から、たくさんの冒険者たちが出て来た。竜は、本当は3頭いたの。でもその中で年長の竜が2頭を逃がして、自分だけでたくさんの冒険者たちと対峙してたの」

「アンナ、月の高さはどれくらいだったかわかる?」
王太子に聞かれ、今の月の高さを確認する。
「あと少し登った頃よ。真剣に話をしながら岩山に出て来た。話声は全然聞こえなかった。でも、長い黒髪を後ろで結った男がリーダーっぽかったわ。右の頬に傷跡がある男よ」

「随分具体的だね。いいぞ。よし、我々も行動を開始しよう」
王太子の言葉に、皆が動き出す。

「アリアンナ様はこちらへ」
ジルヴァーノに手を引かれ、テントを設営した場所よりも後方に移動した。そこにはロワを含めた竜たちが待機していた。
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