【外伝】 白雪姫症候群 ースノーホワイト・シンドロームー

しらす丼

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第2章 魔女たちの暗躍編

第1話ー④ 途絶えない未来

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 それから数日後。訓練室にて――。

 キリヤと優香は任務がない期間を利用して、自主訓練を行っていた。

「ちょっと休憩にしようか」
「う、うん……」

 そう言って座り込むキリヤ。

「火山君が目を覚ましたんだってね」

 優香はそう言いながら、キリヤの隣に座る。

「知ってたんだ」
「うん。白銀さんから聞いた」
「そっか。でも、うん。そうなんだ。よかったよ……最後まで信じることを諦めなくて……」

 ほっとするキリヤの顔を見た優香は、

「けど……彼はこれからどうするの?」

 真顔でキリヤにそう問いかける。

「え、これから……?」

 優香の問いにきょとんとするキリヤ。

「うん。目を覚ましたのはいいけれど、暴走したってことは私達と同様に能力が永遠になくならない身体になったってことでしょ? つまりこの先に自由なんてないんだよ」

 キリヤは優香の言葉を聞いて、はっとした。

 優香の言う通りだ。暴走して目を覚ました剛は、このまま能力と共に生きる選択肢しかない……。自由に外も出歩けないし、やりたいことだって簡単には――

 キリヤは俯きながらがそんなことを悶々と悩む。するとそれを見た優香は、

「君をそんなに不安にさせるつもりはなかったんだけどな。ごめんね。でも、なんだか気になって……私たちがそんなことを悩んだって、仕方がないことなのにね」

 申し訳なさそうにそう言った。

 そしてキリヤは顔を上げて、

「そうだよね……ごめん。僕……」

 そう言って優香から顔をそらした。

「あー。もうこの話は終わり! 私達は、今できることをしようよ! ほら、次の任務までにレベルアップするんでしょ?」
「うん。そうだね」

 それから2人は立ち上がり、訓練を再開した。

 剛の道は剛が決めることだ。だから僕は僕の道を進んでいくしかない――。

 それからキリヤたちはいつも通りの訓練を続けたのだった。



 訓練を終えたキリヤは、自室に戻らずに研究所内を歩いていた。

 本当に剛は目を覚ましたのかな――そんなことを思うキリヤは、剛の覚醒を再確認するために剛の部屋へ向かっていたからだった。

 キリヤがそっと剛の部屋の扉を開けると、剛は身体を起こして座っていた。

 キリヤが部屋へ来たことに気が付いた剛は、何も言わずキリヤの方を向いて微笑んでいた。

「調子はどう?」

 キリヤがそう尋ねると、剛は右手の親指を立ててみせた。

 どうやら調子がいいらしい――。

 しかし剛は相変わらず、声が出ないままだった。

「そういえば、先生には会えた? 今日、来るって聞いたような……」

 そして剛は嬉しそうに微笑み、頷いた。

 そっか。先生に会えたんだ。よかった――

 キリヤは心の中でそう思った。

「先生は剛が暴走した後にすごく落ち込んじゃってね……それで自分を責めて、そのまま施設を出て行っちゃうんじゃないかって僕は思っていたんだ」

 それを聞いた剛は驚いた表情をしていた。

「そうなるよね……でも先生は向き合う事にしたんだよ。自分のしてしまったことに。それから剛が目を覚ますって信じるようになったんだと思う。それに僕も他のみんなも剛が絶対に目を覚ますってずっと信じてた」

 キリヤはそう言いながら。剛に微笑んだ。

 剛は俯く。

「剛……?」

 キリヤがそんな剛の顔を覗くと、剛は目を潤ませていた。

 剛は泣き顔を見られたくなくて、俯いたわけね――。

 そう思ったキリヤは剛を見ながら、にやにやと笑ったのだった。

「ねえ剛。君はもう普通に生きていくことができない。その覚悟はできている?」

 キリヤは俯いた剛に真顔でそう告げた。

 そして剛はゆっくりと顔を上げて、微笑んだ。

「剛……?」
「だ……いじょうぶ。俺、は……ぉれの、やり……たいこと、をやる」

 剛はかすれる声で、キリヤにそう告げた。

「そう、か。わかった……」

 僕は剛の未来が途絶えてしまったと勝手に思い込んでいたのかもしれない。剛は諦めていない。自分の夢も未来も――

「剛、ありがとう。僕も、僕にしかできないことを頑張る」

 キリヤはそう言いながら、剛にはにかんだ。

 そしてニカっと笑った剛はキリヤに親指を立てた。

「じゃあ、僕はもう行くよ。やらなきゃいけないことがあるからね」

 それからキリヤは立ち上がり、剛の部屋を出た。

「彼、ちゃんと自分の未来を信じていたんだね」

 優香は壁にもたれかかりながら、キリヤにそう言った。

「うん。だから、僕たちは僕たちにしかできないことをしよう」
「そうね」

 優香はくすっと笑いながら、そう言った。

 それからキリヤたちは、剛に部屋を後にした。

 

 その想いが消えない限り、自分の未来が途絶えることはないんだ――

 キリヤはそう思いながら、次の任務に向かうのだった。
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