【外伝】 白雪姫症候群 ースノーホワイト・シンドロームー

しらす丼

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第2章 魔女たちの暗躍編

第5話ー③ 不安

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 ――翌朝。

「んんん……」

 キリヤは目をこすりながら、目を覚ました。

「あれ、僕……いつの間に部屋に?」

 確か、訓練室で訓練をしていて……模擬訓練の後、優香に――

 そして額を手で押さえるキリヤ。

「はあ。僕、何やってるんだろう……無暗に頑張っても、何にもならないってわかっているのに」

 俯きながら、キリヤはそう呟いた。

「たぶん優香がここまで運んでくれたんだろうな……そういえば」

 キリヤは自分の服装が訓練着から寝間着に代わっていることに気が付く。

「……はあ、まさか着替えまでさせちゃうなんてな」

 そしてベッドに寝転がるキリヤ。

 友人というよりもだんだん母親らしさに磨きがかかって来たな――と優香のことを思うキリヤだった。

 感謝はしているけど……でも年頃の女の子なんだから、もっと恥じらいを持ってほしいものだよね。まあそんな優香にいつも助けられてばかりなんだけどさ――

「先生がいなくなったら、今度は優香に頼り切りになっていたんだな」

 キリヤは天井を見つめながら、そう呟く。

「僕にもっと力があれば、優香のことも守ってあげられるのにな」

 こんな時『ポイズン・アップル』みたいなものがあれば、もっと能力を向上させられるんじゃ――とふと思うキリヤ。

「って、それはダメでしょ! いくら力がほしいとしても、そんなものに頼るなんて!!」

 でもきっと慎太のような低級能力者の子供たちがいけないものとわかっていても手を出してしまうのは、自分の弱さに打ちのめされているからなんだろうな――

「僕はどうしたら強くなれるのかな……」

 キリヤはしばらくベッドに寝転んですごしたのだった。


 ***


 ――同時刻。優香の部屋。

「キリヤ君、大丈夫かな。昨日は勝手に部屋に入っちゃったけど……それに、服とか汚れていたよね。着替えさせた方がよかったのかな。で、でも、年頃の男子を着替えさせるなんて、そんなの女としてどうって感じじゃない!? 仕方ないよね、うん。仕方なかったんだ!!」

 優香はそう言って部屋の中をうろうろとしながら、一人で「うん、うん」と頷いていた。

「とりあえず様子見がてら、キリヤ君の部屋に行ってみよう。傷の様子も見たいしね」

 それから優香は部屋を出たのだった。



 優香はキリヤの部屋に向かう途中、初美と鉢合わせる。

「田川さん、おはようございます」
「おおお! 優香、おはようなのじゃ」
「今日は任務ではないのですね」
「いやいや! これから行くんじゃよ。優香はこれからキリヤのところか?」

 普段はそうでもなさそうのに、意外と鋭いな。もしかして誰かから昨日のことを聞いたのかな――

「え、ええ。まあ」
「愛、じゃな」
「ち、違いますって!!」

 なんだか最近、みんな同じことを……徒党でも組んでいるの――?

 そう思いながら、ため息がこぼれる優香。

「そういえば、昨夜はキリヤを部屋まで送り届けたじゃろう?」
「え、あ、はい」

 なぜ、そんなことまで!? まさか白銀さんに聞いたとか――?

「その時にずいぶん服が汚れておったじゃろ。そのままじゃ、ちと可哀そうだと思ったから、わしがキリヤの服を取り替えておいたぞい! きっと目が覚めたキリヤは、優香が着替えさせてくれたと喜ぶかもしれんなあ。ほほほ!」

 初美は自慢げにそう言った。

「へ!? 今、なんて……?」
「ん? キリヤが喜ぶ――」
「その前です!!」
「ああ、優香の代わりにキリヤの着替えをしておいたってところか?」

 その言葉を聞き、青ざめる優香。

 最近、この人に良いことを言われたからって完全に油断していた。そうだよ、この人は勝手に部屋へ侵入する危ない人なんだって――

「ゆ、優香??」
「すみません、ちょっと急ぎますので」

 優香は作り笑いで怒りの感情を隠しながら、初美にそう告げた。

「お、そ、そうか」

 その笑顔に怯む初美。

 このままでは、私が変態扱いをされてしまう……それだけは、回避しなくては――!

 そして優香は一目散にキリヤの部屋に向かった。
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