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第1章 始まり
第1話ー③ 出会い
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教室にいた生徒たちはあいつの言うことに従うかを迷いながらも運動しやすい格好に着替えて、グラウンドへ向かって行った。
教室に残ったのは、剛と僕の2人だけ。
「なあ、キリヤ。どう思う?」
剛は僕に尋ねてきた。
「さあね。何を企んでいるかは知らないけど、僕は変わらない。あいつもすぐに根をあげて、他の大人と同じように逃げ出すに決まっている」
「そうか。……でもなんだろうな。あの先生は今までの大人となんか違う気がするよ」
そう言って、剛は教室を出て行った。
僕は剛が出て行った扉を睨みつける。
大人なんてみんな同じに決まっている。僕たち能力持ちを怖がって遠ざけて、迫害してきた。
今までの大人と違う?そんなわけがないだろう。
俺は大人を絶対に信じない。これからもずっと……。
そして僕はグラウンドへ向かった。
俺は一人、グラウンドで生徒たちを待っていた。
「来てくれなかったら、どうしようか……」
カッコつけて教室を出たのに、誰も来ませんでしたなんて恥ずかしいオチは絶対に嫌だな。
とりあえず身体でも動かして待っていようか!
そして俺は小学生の時にやっていたラジオ体操を思い出しながら、身体を動かし始める。
「……あれ、こんな感じか?いや、こうかな……」
俺は軽く準備運動をしているといきなり後ろから声がした。
「それ、何のダンスをしているんですか?」
「うわ! って結衣か! いきなり現れるから、びっくりしたよ!」
「ふふふ……忍びスキル獲得ですな!」
「し、忍びスキル?」
結衣の持つ、もう一つの能力なのか!?
そして結衣は楽しそうに俺から離れて行った。
それから続々とほかの生徒たちが建物から出てきた。
もしかして誰も来ないかもなんて思ったけれど、どうやらそれは取り越し苦労だったようだ。
最後に少し遅れてキリヤが建物から出てきて、生徒たちはグラウンドに全員揃った。
「よし、みんな揃ったな! じゃあ今から俺は全力で逃げるからみんな一斉に俺を捕まえに来てくれ。もちろん能力の使用を認める。俺を倒すつもりで向かってきてくれてもいいから!」
そんな提案をする俺を見て生徒たちは驚いていた。
「それって本気で言っているの?」
キリヤは俺に冷たい視線を向けながら言った。
「もちろん。でもお前たちはきっと誰も俺を倒せないし、捕まえられないと思うぞ」
俺は余裕の表情で生徒たちを挑発する。
それを見たキリヤたちは本気になってくれたのか、顔つきが変わった。
よしよし。そうこなくちゃだな。
「じゃあいくぞ! よーい、始め!」
俺の掛け声と同時に、キリヤは氷の刃を俺に向かって放った。
「はい、終わり」
空中には砕けた氷の破片が飛び散っている。
それを見た生徒たちは唖然としていた。
「ちょ! キリヤくん、それはやりすぎなんじゃ……。センセー瞬殺とかやばいって!」
そう言いながら、慌てるいろは。
「先生、ご愁傷さまです……」
結衣は手を合わせながら、そう言った。
「ご愁傷さまって……死んでないぞ、俺は! でもいきなり全力なんて! 本気で死ぬかと思ったぞ! まあ死なないけど。ははは!」
笑いながら無傷で立つ俺をみて、驚くキリヤ。
「確かに全力で放ったはずなのに……」
「よし、じゃあ続けるぞ! ああ、そうそう! ちなみに制限時間は15分な! 時間内に俺を捕まえられなかったら、お前らは全員罰ゲームで、俺の言うことを何でもきいてもらうから! じゃな!!」
そして俺は全力疾走して、生徒たちの前から立ち去った。
剛が走り去るあいつを見ながら呟く。
「あいつ、何者? キリヤの本気を受けて、傷一つないとか化け物かよ!」
僕は逃げるあいつを見つめながら思った。
確かに化け物クラスの人間だと。
あの時、確実に刃はあいつに刺さっていたはずなのに……。
僕がボーっと顎に手を当てて考えていると、奏多が僕の隣に来て、慌てながら告げる。
「キリヤ、今は悩むのを後にして、先生を追いかけませんか? 捕まえられなければ、あの先生の言いなりになってしまいますわよ」
そうだった。あいつが何者なのかは捕まえて吐かせればいいこと。
今は考えるより、あいつを捕まえることのほうが先だ。
「わかったよ」
そして僕はあいつを捕まえるために走り出した。
生徒たちが暁を探すためにそれぞれの方向へ向かっていったが、グラウンドに一人残っている少年がいた。
「ど、どうせ僕は何の役にも立たない。僕がいたってみんなの足手まといになるだけだ……」
そう言いながら、まゆおはその場でしゃがみこんで動けずにいた。
俺はキリヤの攻撃を凌いだ後に、全力で逃げていた。
そして今は建物の裏側まで来ている。
ところどころに木が植えられており、逃げながら隠れるにはうってつけの場所だった。
「誰も追いかけてこないな。俺もいきなり本気を出しすぎたかな」
俺はそんなことを言いながら、木々をすり抜けながら走る。
すると後ろから、強い風が吹いた。
俺の背後が空いている時を狙った的確な攻撃だ。
俺は身体のバランスが崩れ、その場に膝をつく。
「風、か……」
俺が振り返ると後ろから、ゆっくりと真一が近づいてくるのが見えた。
「先生。観念して捕まってくれない? 僕は卒業まで静かに過ごしたいだけなんだから、僕の平穏な日々をかき乱さないでよ。それに言いなりなんて冗談じゃない。あんまり僕を怒らせないでよね」
真一は無表情で俺にそう告げる。
「真一の平穏な日々を崩すつもりなんかないさ。でもそう簡単に捕まったら、面白くないだろ?」
そして俺は立ち上がり、再び走り出す。
真一は両手に風を集める。
「……そう。じゃあ本気で殺すよ」
そして真一は両手の風を走る暁に向けて放った。
俺は振り返り、真一の本気を目の当たりにする。
その空気を切り裂く風はまるでかまいたちのようだった。
「さすがにあれは避けられないか……」
そして俺は向かってくるかまいたちに対面し、右手を広げ前へ突き出す。
「馬鹿なの? まともに食らったら、ほんとに死ぬのに」
「残念だけど、お前の攻撃は俺に効かないさ!」
そして俺は真一が放ったかまいたちを右手で受けると、かまいたちはあとかたもなくなっていた。
「じゃあな!」
真一に背を向け、再び俺は走り出す。
「何あれ……完全なチート技じゃないか」
真一はその場に立ち尽くし、暁を追うのをやめた。
教室に残ったのは、剛と僕の2人だけ。
「なあ、キリヤ。どう思う?」
剛は僕に尋ねてきた。
「さあね。何を企んでいるかは知らないけど、僕は変わらない。あいつもすぐに根をあげて、他の大人と同じように逃げ出すに決まっている」
「そうか。……でもなんだろうな。あの先生は今までの大人となんか違う気がするよ」
そう言って、剛は教室を出て行った。
僕は剛が出て行った扉を睨みつける。
大人なんてみんな同じに決まっている。僕たち能力持ちを怖がって遠ざけて、迫害してきた。
今までの大人と違う?そんなわけがないだろう。
俺は大人を絶対に信じない。これからもずっと……。
そして僕はグラウンドへ向かった。
俺は一人、グラウンドで生徒たちを待っていた。
「来てくれなかったら、どうしようか……」
カッコつけて教室を出たのに、誰も来ませんでしたなんて恥ずかしいオチは絶対に嫌だな。
とりあえず身体でも動かして待っていようか!
そして俺は小学生の時にやっていたラジオ体操を思い出しながら、身体を動かし始める。
「……あれ、こんな感じか?いや、こうかな……」
俺は軽く準備運動をしているといきなり後ろから声がした。
「それ、何のダンスをしているんですか?」
「うわ! って結衣か! いきなり現れるから、びっくりしたよ!」
「ふふふ……忍びスキル獲得ですな!」
「し、忍びスキル?」
結衣の持つ、もう一つの能力なのか!?
そして結衣は楽しそうに俺から離れて行った。
それから続々とほかの生徒たちが建物から出てきた。
もしかして誰も来ないかもなんて思ったけれど、どうやらそれは取り越し苦労だったようだ。
最後に少し遅れてキリヤが建物から出てきて、生徒たちはグラウンドに全員揃った。
「よし、みんな揃ったな! じゃあ今から俺は全力で逃げるからみんな一斉に俺を捕まえに来てくれ。もちろん能力の使用を認める。俺を倒すつもりで向かってきてくれてもいいから!」
そんな提案をする俺を見て生徒たちは驚いていた。
「それって本気で言っているの?」
キリヤは俺に冷たい視線を向けながら言った。
「もちろん。でもお前たちはきっと誰も俺を倒せないし、捕まえられないと思うぞ」
俺は余裕の表情で生徒たちを挑発する。
それを見たキリヤたちは本気になってくれたのか、顔つきが変わった。
よしよし。そうこなくちゃだな。
「じゃあいくぞ! よーい、始め!」
俺の掛け声と同時に、キリヤは氷の刃を俺に向かって放った。
「はい、終わり」
空中には砕けた氷の破片が飛び散っている。
それを見た生徒たちは唖然としていた。
「ちょ! キリヤくん、それはやりすぎなんじゃ……。センセー瞬殺とかやばいって!」
そう言いながら、慌てるいろは。
「先生、ご愁傷さまです……」
結衣は手を合わせながら、そう言った。
「ご愁傷さまって……死んでないぞ、俺は! でもいきなり全力なんて! 本気で死ぬかと思ったぞ! まあ死なないけど。ははは!」
笑いながら無傷で立つ俺をみて、驚くキリヤ。
「確かに全力で放ったはずなのに……」
「よし、じゃあ続けるぞ! ああ、そうそう! ちなみに制限時間は15分な! 時間内に俺を捕まえられなかったら、お前らは全員罰ゲームで、俺の言うことを何でもきいてもらうから! じゃな!!」
そして俺は全力疾走して、生徒たちの前から立ち去った。
剛が走り去るあいつを見ながら呟く。
「あいつ、何者? キリヤの本気を受けて、傷一つないとか化け物かよ!」
僕は逃げるあいつを見つめながら思った。
確かに化け物クラスの人間だと。
あの時、確実に刃はあいつに刺さっていたはずなのに……。
僕がボーっと顎に手を当てて考えていると、奏多が僕の隣に来て、慌てながら告げる。
「キリヤ、今は悩むのを後にして、先生を追いかけませんか? 捕まえられなければ、あの先生の言いなりになってしまいますわよ」
そうだった。あいつが何者なのかは捕まえて吐かせればいいこと。
今は考えるより、あいつを捕まえることのほうが先だ。
「わかったよ」
そして僕はあいつを捕まえるために走り出した。
生徒たちが暁を探すためにそれぞれの方向へ向かっていったが、グラウンドに一人残っている少年がいた。
「ど、どうせ僕は何の役にも立たない。僕がいたってみんなの足手まといになるだけだ……」
そう言いながら、まゆおはその場でしゃがみこんで動けずにいた。
俺はキリヤの攻撃を凌いだ後に、全力で逃げていた。
そして今は建物の裏側まで来ている。
ところどころに木が植えられており、逃げながら隠れるにはうってつけの場所だった。
「誰も追いかけてこないな。俺もいきなり本気を出しすぎたかな」
俺はそんなことを言いながら、木々をすり抜けながら走る。
すると後ろから、強い風が吹いた。
俺の背後が空いている時を狙った的確な攻撃だ。
俺は身体のバランスが崩れ、その場に膝をつく。
「風、か……」
俺が振り返ると後ろから、ゆっくりと真一が近づいてくるのが見えた。
「先生。観念して捕まってくれない? 僕は卒業まで静かに過ごしたいだけなんだから、僕の平穏な日々をかき乱さないでよ。それに言いなりなんて冗談じゃない。あんまり僕を怒らせないでよね」
真一は無表情で俺にそう告げる。
「真一の平穏な日々を崩すつもりなんかないさ。でもそう簡単に捕まったら、面白くないだろ?」
そして俺は立ち上がり、再び走り出す。
真一は両手に風を集める。
「……そう。じゃあ本気で殺すよ」
そして真一は両手の風を走る暁に向けて放った。
俺は振り返り、真一の本気を目の当たりにする。
その空気を切り裂く風はまるでかまいたちのようだった。
「さすがにあれは避けられないか……」
そして俺は向かってくるかまいたちに対面し、右手を広げ前へ突き出す。
「馬鹿なの? まともに食らったら、ほんとに死ぬのに」
「残念だけど、お前の攻撃は俺に効かないさ!」
そして俺は真一が放ったかまいたちを右手で受けると、かまいたちはあとかたもなくなっていた。
「じゃあな!」
真一に背を向け、再び俺は走り出す。
「何あれ……完全なチート技じゃないか」
真一はその場に立ち尽くし、暁を追うのをやめた。
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