21 / 501
第1章 始まり
第4.5話 約束
しおりを挟む
夕食後、俺は食堂に残り、一人で片付けをしていた。
「まゆおといろはが仲直りしてくれて、ほっとしたな……」
そんなことを言いながら、俺は夕食で使用したお皿を洗っていた。
すると、そこへ自室に戻ったと思っていた奏多が食堂へ入ってきた。
「先生、今日もお手伝いしますわ」
そうして奏多は俺の隣に立つと、置いてあった乾いた布巾で俺が洗ったお皿を吹き始める。
思えば、あの発表会の日から、奏多はこうして食堂の片づけをほとんど毎日手伝ってくれている。
俺は正直、とてもありがたいと思った。
今度、奏多には何かお礼をしなくちゃな……。
そんなことを思いつつ、楽しそうに話す奏多と過ごしていた。
「それで今日はそんなことがあったんです! ふふふ」
「……奏多は本当によく笑うようになったな」
俺は楽しそうに笑う奏多を見て、そう言った。
それを聞いた奏多は、ニコッと笑って答える。
「そうでしょうか。もしそうなら、それは先生のおかげですわね。やりたいことをやれって、そういってもらえなかったら、今の私はなかったかもしれませんので。ふふふ」
「そうか」
そんな奏多の笑顔を見ると、俺も自然に笑顔になった。
生徒の成長がみられると教師になって本当によかったと思える。
そう言えば、さっきのまゆおやいろはも楽しそうに笑っていたな。
「そうだ。奏多、いつも手伝ってもらって悪いから、何かお礼がしたいのだが……何がいい?」
「あら! 私にほしいものを聞くなんて……先生のお財布の中身で買えるかしら……」
奏多は左頬に手を当てて、困った顔をして見せた。
微妙に口元が緩んでいるのは、きっと俺をからかっていることを楽しんでいる証拠なんだろう。
「い、いや。俺のポケットマネーで買えるものにしてくれるとありがたいが……」
「ふふふ。そうですか。でもせっかく先生からの贈り物ですし……うーん。そうだ! 先生の時間を1日私にくださいませんか?」
「え?」
時間をくれってどういうことだ? そもそも時間って、人に渡せるものなんだろうか。
俺はそんな疑問で頭の中が満たされる。
「まあ、先生は鈍いですね。デートです! 私とデートをしましょう!」
「で、デート!?」
「はい! 外に出かけて、街を歩いたり、食事をしたり……。」
いやいやいや……。俺、デートなんてしたことないぞ!?しかも……
「いや、奏多は俺の生徒だし……何か変な噂とかたったら、いやだろう?」
「変な噂って? なんです?」
「俺たちが怪しい関係に思われるかも……」
「ふふふ。私は構いませんよ? ……さて、片付けもひと段落しましたし、私は部屋に戻りますね。先生、素敵なお返事お待ちしています。では、おやすみなさい。」
そして奏多は言って、楽しそうに食堂を出て行った。
残された俺は、ただ茫然とその場に佇んでいた。
「デート……俺と、奏多が……!?」
犯罪じゃないのか、それって!!
それから俺はしばらく落ち着かず、食堂で一人過ごしたのだった。
「まゆおといろはが仲直りしてくれて、ほっとしたな……」
そんなことを言いながら、俺は夕食で使用したお皿を洗っていた。
すると、そこへ自室に戻ったと思っていた奏多が食堂へ入ってきた。
「先生、今日もお手伝いしますわ」
そうして奏多は俺の隣に立つと、置いてあった乾いた布巾で俺が洗ったお皿を吹き始める。
思えば、あの発表会の日から、奏多はこうして食堂の片づけをほとんど毎日手伝ってくれている。
俺は正直、とてもありがたいと思った。
今度、奏多には何かお礼をしなくちゃな……。
そんなことを思いつつ、楽しそうに話す奏多と過ごしていた。
「それで今日はそんなことがあったんです! ふふふ」
「……奏多は本当によく笑うようになったな」
俺は楽しそうに笑う奏多を見て、そう言った。
それを聞いた奏多は、ニコッと笑って答える。
「そうでしょうか。もしそうなら、それは先生のおかげですわね。やりたいことをやれって、そういってもらえなかったら、今の私はなかったかもしれませんので。ふふふ」
「そうか」
そんな奏多の笑顔を見ると、俺も自然に笑顔になった。
生徒の成長がみられると教師になって本当によかったと思える。
そう言えば、さっきのまゆおやいろはも楽しそうに笑っていたな。
「そうだ。奏多、いつも手伝ってもらって悪いから、何かお礼がしたいのだが……何がいい?」
「あら! 私にほしいものを聞くなんて……先生のお財布の中身で買えるかしら……」
奏多は左頬に手を当てて、困った顔をして見せた。
微妙に口元が緩んでいるのは、きっと俺をからかっていることを楽しんでいる証拠なんだろう。
「い、いや。俺のポケットマネーで買えるものにしてくれるとありがたいが……」
「ふふふ。そうですか。でもせっかく先生からの贈り物ですし……うーん。そうだ! 先生の時間を1日私にくださいませんか?」
「え?」
時間をくれってどういうことだ? そもそも時間って、人に渡せるものなんだろうか。
俺はそんな疑問で頭の中が満たされる。
「まあ、先生は鈍いですね。デートです! 私とデートをしましょう!」
「で、デート!?」
「はい! 外に出かけて、街を歩いたり、食事をしたり……。」
いやいやいや……。俺、デートなんてしたことないぞ!?しかも……
「いや、奏多は俺の生徒だし……何か変な噂とかたったら、いやだろう?」
「変な噂って? なんです?」
「俺たちが怪しい関係に思われるかも……」
「ふふふ。私は構いませんよ? ……さて、片付けもひと段落しましたし、私は部屋に戻りますね。先生、素敵なお返事お待ちしています。では、おやすみなさい。」
そして奏多は言って、楽しそうに食堂を出て行った。
残された俺は、ただ茫然とその場に佇んでいた。
「デート……俺と、奏多が……!?」
犯罪じゃないのか、それって!!
それから俺はしばらく落ち着かず、食堂で一人過ごしたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』
放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。
「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」
身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。
冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。
「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」
得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。
これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。
恋は、母をやめてから始まる――正体を隠したまま、仮の婚約者になりました
あい
恋愛
両親を失ったあの日、
赤子の弟を抱いて家を出た少女がいた。
それが、アリア。
世間からは「若い母」と呼ばれながらも、
彼女は否定しなかった。
十六年間、弟を守るためだけに生きてきたから。
恋も未来も、すべて後回し。
けれど弟は成長し、ついに巣立つ。
「今度は、自分の人生を生きて」
その一言が、
止まっていた時間を動かした。
役目を終えた夜。
アリアは初めて、自分のために扉を開く。
向かった先は、婚姻仲介所。
愛を求めたわけではない。
ただ、このまま立ち止まりたくなかった。
――けれどその名前は、
結婚を急かされていた若き当主のもとへと届く。
これは、
十六年“母”だった女性が、
もう一度“ひとりの女”として歩き出す物語。
転生皇女セラフィナ
秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。
目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。
赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。
皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。
前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。
しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。
一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。
「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」
そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。
言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。
それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。
転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。
※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。
二度捨てられた白魔女王女は、もうのんびりワンコと暮らすことにしました ~え? ワンコが王子とか聞いてません~
吉高 花
恋愛
魔力があった、ただそれだけの理由で王女なのに捨て子として育ったマルガレーテは、隣国との政略結婚のためだけにある日突然王女として引っぱりだされ、そして追放同然に邪悪な国と恐れられるルトリアへと送られた。
そしてルトリアでの魔力判定により、初めて自分が白の魔力を持つ者と知る。しかし白の魔力を持つ者は、ルトリアではもれなく短命となる運命だった。
これでは妃なんぞには出来ぬとまたもや辺鄙な離宮に追放されてしまったマルガレーテ。
しかし彼女はその地で偶然に病床の王妃を救い、そして流れ着いたワンコにも慕われて、生まれて初めて自分が幸せでいられる居場所を得る。
もうこのまま幸せにここでのんびり余生を送りたい。そう思っていたマルガレーテは、しかし愛するワンコが実は自分の婚約者である王子だったと知ったとき、彼を救うために、命を賭けて自分の「レイテの魔女」としての希有な能力を使うことを決めたのだった。
不幸な生い立ちと境遇だった王女が追放先でひたすら周りに愛され、可愛がられ、大切な人たちを救ったり救われたりしながら幸せになるお話。
このお話は「独身主義の魔女ですが、ワンコな公爵様がなぜか離してくれません」のスピンオフとなりますが、この話だけでも読めるようになっています。
【完結保証】存在しないことにされていた管理ギフトの少女、王宮で真の家族に出会う 〜冷遇された日々は、王宮での溺愛で上書きします〜
小豆缶
恋愛
「願った結果を、ほんの少しだけ変えてしまう力」
私に与えられたギフトは、才能というにはあまりにも残酷な自分も人の運命も狂わせるギフトだった。
そのあまりの危うさと国からの管理を逃れるために、リリアーナは、生まれたことそのものが秘匿され、軟禁され、育てられる。
しかし、純粋な心が願うギフトは、ある出来事をきっかけに発動され、運命が動き出す。
二度とそのギフトを使わないと決めて生きてきたのよ
だが、自分にせまる命の危機ーー
逃げていた力と再び向き合わなければならない状況は、ある日、突然訪れる。
残酷なギフトは、リリアーナを取り巻く人たちの、過去、未来に影響し、更には王宮の過去の闇も暴いていく。
私の愛する人がどうか幸せになりますように...
そう、リリアーナが願ったギフトは、どう愛する人に届くのか?
孤独だったリリアーナのギフトが今、王宮で本当の幸せを見つけるために動き始める
転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~
志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。
けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。
そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。
‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。
「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。
婚約破棄? 私、この国の守護神ですが。
國樹田 樹
恋愛
王宮の舞踏会場にて婚約破棄を宣言された公爵令嬢・メリザンド=デラクロワ。
声高に断罪を叫ぶ王太子を前に、彼女は余裕の笑みを湛えていた。
愚かな男―――否、愚かな人間に、女神は鉄槌を下す。
古の盟約に縛られた一人の『女性』を巡る、悲恋と未来のお話。
よくある感じのざまぁ物語です。
ふんわり設定。ゆるーくお読みください。
悪女と呼ばれた死に戻り令嬢、二度目の人生は婚約破棄から始まる
冬野月子
恋愛
「私は確かに19歳で死んだの」
謎の声に導かれ馬車の事故から兄弟を守った10歳のヴェロニカは、その時に負った傷痕を理由に王太子から婚約破棄される。
けれど彼女には嫉妬から破滅し短い生涯を終えた前世の記憶があった。
なぜか死に戻ったヴェロニカは前世での過ちを繰り返さないことを望むが、婚約破棄したはずの王太子が積極的に親しくなろうとしてくる。
そして学校で再会した、馬車の事故で助けた少年は、前世で不幸な死に方をした青年だった。
恋や友情すら知らなかったヴェロニカが、前世では関わることのなかった人々との出会いや関わりの中で新たな道を進んでいく中、前世に嫉妬で殺そうとまでしたアリサが入学してきた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる