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第2章 変動
第11.5話ー② 変化
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検査を終えた僕は、なぜか所長に呼ばれて所長室にいた。
「あの……所長、話って」
僕は恐る恐る所長に尋ねた。
「実は、君には言っておかなくちゃと思ってね。君の能力のことなんだが……」
「僕の能力……? 何かあったんですか?」
そして所長は深刻そうな顔をして、ゆっくりと口を開いた。
「薄々気が付いているとは思うが、君も暁君と同様に、能力は永遠に消失しない身体になった。そうなると、君はこれからどうなるかわかっているだろう」
「……僕には自由な未来がない、と?」
「そうだ」
僕は暴走後に心を取り戻した時点で、そうなる覚悟はできていた。
「だったら、僕は僕にしかできないことをして、未来を切り開くだけですよ。先生がそうしたように」
僕はそう言いながら、所長に微笑んだ。
きっと僕一人だったら、こんな未来に絶望していたかもしれない。でも僕には先生がいる。
先生はどんな過酷な未来も自分で切り開いた、僕の尊敬すべき人。
だからそんな先生がいてくれれば、僕はきっと大丈夫だって思うんだ。
「……そうか。暁君がいれば、君のことは心配なさそうだな!」
そう言って、所長は笑っていた。
「そういえば! 昔、同じ話を暁君にしたときはね……」
それから所長は僕の知らない先生の話をしてくれた。
ここで過ごしていた先生は、過酷な運命に振り回されながらも、自分の未来を信じて日々を過ごしていたそうだ。
「暁君は友達との楽しい思い出をそんなに作れなかったから、一緒にたくさん楽しい思い出をつくってやってほしい。君とは長い付き合いになるだろうからね」
「もちろんです!」
僕は所長の言葉に笑顔で答えた。
「それから、もう一つ。君に言っておきたいことがある……」
そして再び深刻な表情になる所長。
僕を所長のその言葉に息を飲む。
「もう一つの言っておきたいこと……?」
そして所長はその内容をキリヤに告げたのだった。
施設に戻る車の中で、キリヤは所長に言われたことについて考えていた。
「この力の意味を考えなくちゃね……」
太陽が沈み始める空を見ながら、僕はそう思った。
なぜこの世界に『白雪姫症候群』という能力が生まれたのだろう……。
そして僕たち能力者が得たこの能力は、何のために存在するんだ……。
そんなことを延々と考えていると、僕を乗せた車は施設に到着していた。
「じゃあ、キリヤ君。お疲れ様」
運転手のお兄さんは笑顔で僕にそう告げる。
「ありがとうございます」
キリヤは深々と頭を下げてから、エントランスゲートを潜る。
その後、ちょうど夕食時間で食堂にいるみんなに会うため、僕は食堂へ向かった。
食堂に入ると、みんなは楽しそうに食事をしていた。
「あ! キリヤ、おかえり!!」
キリヤに気づいたマリアが声を掛ける。
「ただいま」
僕は微笑みながら、マリアに答える。
「検査はどうだった?」
先生が心配そうに僕に問う。
「問題なかったよ! 数値も安定しているって、所長も言っていたよ。それにそろそろ能力をセーブしなくても大丈夫って!」
「そうか。それは良かった! でも、無理はするなよ!!」
「うん。ありがと、先生!」
先生は剛の件があってから、生徒たちのことをより心配するようになった。
先生は先生なりに自分のできることをしようって思っているんだろうな。
「剛のところには行ってきたのか?」
「うん。顔色は良かったよ! 今にも目を覚ましそうだった」
「そうか。それならよかった」
先生はそう言って、悲しそうに笑っていた。
悲しそうな先生の顔を察した僕は、話を変えるためにおどけてみせる。
「あーあ。今日はいろんな検査をされて、お昼ご飯を食べ損ねちゃったんだよね! お腹空いたから僕もご飯食べよっと!」
それを聞いた先生はくすっと笑ってくれた。
そんな先生を見て、僕はほっとした。
僕は奏多に先生のことを任されている。だから先生が一人で悩まないように、僕は先生を支えたい。
確かにいろいろ気になることはあるけれど、僕は今ここにあるものを大事にしながら、毎日を過ごしていくことの方が大切だと思った。
それから僕は、みんなと夕食を楽しんだのだった。
――そして時間は流れ4月となり、また新たな出会いがこの施設に訪れる。
「あの……所長、話って」
僕は恐る恐る所長に尋ねた。
「実は、君には言っておかなくちゃと思ってね。君の能力のことなんだが……」
「僕の能力……? 何かあったんですか?」
そして所長は深刻そうな顔をして、ゆっくりと口を開いた。
「薄々気が付いているとは思うが、君も暁君と同様に、能力は永遠に消失しない身体になった。そうなると、君はこれからどうなるかわかっているだろう」
「……僕には自由な未来がない、と?」
「そうだ」
僕は暴走後に心を取り戻した時点で、そうなる覚悟はできていた。
「だったら、僕は僕にしかできないことをして、未来を切り開くだけですよ。先生がそうしたように」
僕はそう言いながら、所長に微笑んだ。
きっと僕一人だったら、こんな未来に絶望していたかもしれない。でも僕には先生がいる。
先生はどんな過酷な未来も自分で切り開いた、僕の尊敬すべき人。
だからそんな先生がいてくれれば、僕はきっと大丈夫だって思うんだ。
「……そうか。暁君がいれば、君のことは心配なさそうだな!」
そう言って、所長は笑っていた。
「そういえば! 昔、同じ話を暁君にしたときはね……」
それから所長は僕の知らない先生の話をしてくれた。
ここで過ごしていた先生は、過酷な運命に振り回されながらも、自分の未来を信じて日々を過ごしていたそうだ。
「暁君は友達との楽しい思い出をそんなに作れなかったから、一緒にたくさん楽しい思い出をつくってやってほしい。君とは長い付き合いになるだろうからね」
「もちろんです!」
僕は所長の言葉に笑顔で答えた。
「それから、もう一つ。君に言っておきたいことがある……」
そして再び深刻な表情になる所長。
僕を所長のその言葉に息を飲む。
「もう一つの言っておきたいこと……?」
そして所長はその内容をキリヤに告げたのだった。
施設に戻る車の中で、キリヤは所長に言われたことについて考えていた。
「この力の意味を考えなくちゃね……」
太陽が沈み始める空を見ながら、僕はそう思った。
なぜこの世界に『白雪姫症候群』という能力が生まれたのだろう……。
そして僕たち能力者が得たこの能力は、何のために存在するんだ……。
そんなことを延々と考えていると、僕を乗せた車は施設に到着していた。
「じゃあ、キリヤ君。お疲れ様」
運転手のお兄さんは笑顔で僕にそう告げる。
「ありがとうございます」
キリヤは深々と頭を下げてから、エントランスゲートを潜る。
その後、ちょうど夕食時間で食堂にいるみんなに会うため、僕は食堂へ向かった。
食堂に入ると、みんなは楽しそうに食事をしていた。
「あ! キリヤ、おかえり!!」
キリヤに気づいたマリアが声を掛ける。
「ただいま」
僕は微笑みながら、マリアに答える。
「検査はどうだった?」
先生が心配そうに僕に問う。
「問題なかったよ! 数値も安定しているって、所長も言っていたよ。それにそろそろ能力をセーブしなくても大丈夫って!」
「そうか。それは良かった! でも、無理はするなよ!!」
「うん。ありがと、先生!」
先生は剛の件があってから、生徒たちのことをより心配するようになった。
先生は先生なりに自分のできることをしようって思っているんだろうな。
「剛のところには行ってきたのか?」
「うん。顔色は良かったよ! 今にも目を覚ましそうだった」
「そうか。それならよかった」
先生はそう言って、悲しそうに笑っていた。
悲しそうな先生の顔を察した僕は、話を変えるためにおどけてみせる。
「あーあ。今日はいろんな検査をされて、お昼ご飯を食べ損ねちゃったんだよね! お腹空いたから僕もご飯食べよっと!」
それを聞いた先生はくすっと笑ってくれた。
そんな先生を見て、僕はほっとした。
僕は奏多に先生のことを任されている。だから先生が一人で悩まないように、僕は先生を支えたい。
確かにいろいろ気になることはあるけれど、僕は今ここにあるものを大事にしながら、毎日を過ごしていくことの方が大切だと思った。
それから僕は、みんなと夕食を楽しんだのだった。
――そして時間は流れ4月となり、また新たな出会いがこの施設に訪れる。
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