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第4章 過去・今・未来
第27話ー⑤ 過去からの来訪者
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「間に合って、よかった」
「まゆお殿ー!!」
結衣は涙目になりながら、その場に座り込む。
「ふふふ。今度はお兄ちゃんが遊んでくれるんですかあ?」
そう言って楽しそうに笑うキキ。
「まゆお殿、気をつけてくだされ。この子はかなりの手練れです」
「……そう、みたいだね」
まゆおはキキの不敵な笑みを見て、彼女の危険さを肌で感じたようだった。
「じゃあ、お兄ちゃん。何をして遊びましょうかあ?」
そう言いながら、氷の刃を生成するキキ。
そして竹刀を構えるまゆお。
「その顔、素敵ですねえ。ふふふ……私からのお近づきの印です!」
キキはそう言い、まゆおに向かって氷の刃を放つ。
「気持ちだけで充分だよ!!」
そしてまゆおはキキから放たれた氷の刃を竹刀でたたき落としていった。
全ての刃を叩き落され、まゆおの足元に転がる氷のかけらを見ながらキキは少し残念そうな表情を浮かべた。
「あらら。全部落としちゃいましたか」
そして今度は万遍の笑みを浮かべながら
「……ふふふ。お兄ちゃん。面白いですねえ? じゃあ今度はこれでどうですかあ?」
そう言ってキキは右手を天に向ける。
すると急に空が暗くなった。
「何……?」
「そういえば、私の能力の説明をしてなかったですね! 私の能力は、『天気』。天気を操ったりできる能力なんですよお。ちなみにさっきの氷は雹の一種です。さて、お兄ちゃん。これは避けられるますかあ?」
そう言って、右手を振り下ろすキキ。
そして雷鳴と共に眩しい光がまゆおに落ちる。
「まゆお殿!!」
結衣の叫び声が響き渡る。
「ふふふ……さすがに死んじゃいましたあ?」
そう言いながら、まゆおの立っていた場所を見るキキ。
そしてそこには無傷のまゆおの姿があった。
キキはそんなまゆおの姿に不機嫌になる。
「ふーん。なかなかやるじゃないですか」
「い、いったい何が起こったのですか……!?」
結衣は目を丸くしながらまゆおに問う。
「自分の技を使って凌いだだけのことだよ。雷よりも早く技を出したから、僕に直撃しなかったのさ」
「あーなるほど。そうだとしても雷より早く技を出すなんて、さすがですな!!」
「え、あ、ありがとう!」
まゆおは結衣の言葉に照れながら、頬を掻いていた。
そしてそんなまゆおたちの話を聞き、キキは高らかに笑い出す。
「あははははは! お兄ちゃんはなかなか手ごわそうですね。でも……なんだか楽しくなってきました」
「それはどうも」
「じゃあ今度は、どうですかあ?」
そう言うと、キキはまゆおを目掛けて突っ込んでくる。
「私が使えるのは、能力だけじゃないんですからねっ!」
そう言いながらキキはまゆおに拳を振るう。
それを間一髪でよけるまゆお。
次々とキキから繰り出される拳をよけ続けるまゆお。
「へえ。体力もそれなりって感じみたいですね。ふふふ。なかなかやりますねえ、お兄ちゃん?」
「まあ、これでも鍛えているからね!」
「ふふっ。でももうおしまいにしましょうか!」
キキがそう言うと、まゆおの目の前は霧のようなもので真っ白になる。
「何、これ……。何も見えない……」
「私がいつ能力を使わないって言いましたあ? 戦いの場で油断は禁物ですよ?」
そしてキキは再び氷の刃を生成する。
「じゃあさようなら、お兄ちゃん?」
キキはまゆおに向かって刃を放った。
「まゆお!!」「まゆお殿!!」
屋上に結衣とマリアの声が響く。
「ああ。危なかったな、まゆお。間に合ってよかったよ」
マリアと結衣はその声に安堵した。
「せ、先生!?」
視界が晴れたまゆおの前には暁の姿があった。
「俺の生徒をだいぶいたぶってくれたみたいだな」
俺は、まゆおの前に立つ少女にそう告げる。
その少女は、自分の攻撃が防がれたことでだいぶ不機嫌になっているようだった。
「あと少しだったのに……タイミング最悪です」
「今度は俺が相手になるよ」
俺が身構えると戦意喪失をしたのか、少女は雲のようなものを生成してそれに飛び乗る。
「さすがに無効化ビーストの能力者を相手にするほど、私も馬鹿じゃないですからね。今日はこの辺にしておいてあげます。……じゃあ剣道のお兄ちゃん、またいつか遊びましょう? ふふふ」
そう言いながら、飛んでいく少女。
「先生! 追わなくてもいいんですか!?」
まゆおは少女の姿を目で追いながら、俺にそう告げる。
「ああ。いいんだよ。それは俺たちの役目じゃないからな」
そして少女は空の彼方へと消えていった。
「ふう。これで難は去ったみたいだな……みんな無事か?」
俺は振り向いて、生徒たちに声を掛ける。
「先生ー!!」
そう言いながら、結衣は抱き着いてきた。
「よしよし、怖かったなあ。ごめんな、すぐに戻ってこられなくて……」
そして俺は結衣の頭をなでる。
「先生。キリヤは?」
マリアは心配そうに俺に問う。
「キリヤはまだ研究所だ。そのうち戻ってくるだろう。それよりも優香は無事か!? 捕まったって聞いたけど!!」
「え……糸原さんが!?」
俺の言葉に驚くまゆお。
優香のことは誰も知らなかったのか……もしかしたら優香にも危険が迫っているかもしれない。早く探さないと!!
「俺は今から優香を探しに行く。お前たちは危ないから、ここにいるんだ」
俺は目の前にいる4人にそう告げた。
そして頷くマリアと結衣。
「僕は真一君のところに行きます。彼を一人で残してきてしまったから……」
「そうか。わかった。じゃあ、まゆおは一緒に中へ行こう」
「はい!」
そして俺とまゆおは建物の中へ向かった。
「まゆお殿ー!!」
結衣は涙目になりながら、その場に座り込む。
「ふふふ。今度はお兄ちゃんが遊んでくれるんですかあ?」
そう言って楽しそうに笑うキキ。
「まゆお殿、気をつけてくだされ。この子はかなりの手練れです」
「……そう、みたいだね」
まゆおはキキの不敵な笑みを見て、彼女の危険さを肌で感じたようだった。
「じゃあ、お兄ちゃん。何をして遊びましょうかあ?」
そう言いながら、氷の刃を生成するキキ。
そして竹刀を構えるまゆお。
「その顔、素敵ですねえ。ふふふ……私からのお近づきの印です!」
キキはそう言い、まゆおに向かって氷の刃を放つ。
「気持ちだけで充分だよ!!」
そしてまゆおはキキから放たれた氷の刃を竹刀でたたき落としていった。
全ての刃を叩き落され、まゆおの足元に転がる氷のかけらを見ながらキキは少し残念そうな表情を浮かべた。
「あらら。全部落としちゃいましたか」
そして今度は万遍の笑みを浮かべながら
「……ふふふ。お兄ちゃん。面白いですねえ? じゃあ今度はこれでどうですかあ?」
そう言ってキキは右手を天に向ける。
すると急に空が暗くなった。
「何……?」
「そういえば、私の能力の説明をしてなかったですね! 私の能力は、『天気』。天気を操ったりできる能力なんですよお。ちなみにさっきの氷は雹の一種です。さて、お兄ちゃん。これは避けられるますかあ?」
そう言って、右手を振り下ろすキキ。
そして雷鳴と共に眩しい光がまゆおに落ちる。
「まゆお殿!!」
結衣の叫び声が響き渡る。
「ふふふ……さすがに死んじゃいましたあ?」
そう言いながら、まゆおの立っていた場所を見るキキ。
そしてそこには無傷のまゆおの姿があった。
キキはそんなまゆおの姿に不機嫌になる。
「ふーん。なかなかやるじゃないですか」
「い、いったい何が起こったのですか……!?」
結衣は目を丸くしながらまゆおに問う。
「自分の技を使って凌いだだけのことだよ。雷よりも早く技を出したから、僕に直撃しなかったのさ」
「あーなるほど。そうだとしても雷より早く技を出すなんて、さすがですな!!」
「え、あ、ありがとう!」
まゆおは結衣の言葉に照れながら、頬を掻いていた。
そしてそんなまゆおたちの話を聞き、キキは高らかに笑い出す。
「あははははは! お兄ちゃんはなかなか手ごわそうですね。でも……なんだか楽しくなってきました」
「それはどうも」
「じゃあ今度は、どうですかあ?」
そう言うと、キキはまゆおを目掛けて突っ込んでくる。
「私が使えるのは、能力だけじゃないんですからねっ!」
そう言いながらキキはまゆおに拳を振るう。
それを間一髪でよけるまゆお。
次々とキキから繰り出される拳をよけ続けるまゆお。
「へえ。体力もそれなりって感じみたいですね。ふふふ。なかなかやりますねえ、お兄ちゃん?」
「まあ、これでも鍛えているからね!」
「ふふっ。でももうおしまいにしましょうか!」
キキがそう言うと、まゆおの目の前は霧のようなもので真っ白になる。
「何、これ……。何も見えない……」
「私がいつ能力を使わないって言いましたあ? 戦いの場で油断は禁物ですよ?」
そしてキキは再び氷の刃を生成する。
「じゃあさようなら、お兄ちゃん?」
キキはまゆおに向かって刃を放った。
「まゆお!!」「まゆお殿!!」
屋上に結衣とマリアの声が響く。
「ああ。危なかったな、まゆお。間に合ってよかったよ」
マリアと結衣はその声に安堵した。
「せ、先生!?」
視界が晴れたまゆおの前には暁の姿があった。
「俺の生徒をだいぶいたぶってくれたみたいだな」
俺は、まゆおの前に立つ少女にそう告げる。
その少女は、自分の攻撃が防がれたことでだいぶ不機嫌になっているようだった。
「あと少しだったのに……タイミング最悪です」
「今度は俺が相手になるよ」
俺が身構えると戦意喪失をしたのか、少女は雲のようなものを生成してそれに飛び乗る。
「さすがに無効化ビーストの能力者を相手にするほど、私も馬鹿じゃないですからね。今日はこの辺にしておいてあげます。……じゃあ剣道のお兄ちゃん、またいつか遊びましょう? ふふふ」
そう言いながら、飛んでいく少女。
「先生! 追わなくてもいいんですか!?」
まゆおは少女の姿を目で追いながら、俺にそう告げる。
「ああ。いいんだよ。それは俺たちの役目じゃないからな」
そして少女は空の彼方へと消えていった。
「ふう。これで難は去ったみたいだな……みんな無事か?」
俺は振り向いて、生徒たちに声を掛ける。
「先生ー!!」
そう言いながら、結衣は抱き着いてきた。
「よしよし、怖かったなあ。ごめんな、すぐに戻ってこられなくて……」
そして俺は結衣の頭をなでる。
「先生。キリヤは?」
マリアは心配そうに俺に問う。
「キリヤはまだ研究所だ。そのうち戻ってくるだろう。それよりも優香は無事か!? 捕まったって聞いたけど!!」
「え……糸原さんが!?」
俺の言葉に驚くまゆお。
優香のことは誰も知らなかったのか……もしかしたら優香にも危険が迫っているかもしれない。早く探さないと!!
「俺は今から優香を探しに行く。お前たちは危ないから、ここにいるんだ」
俺は目の前にいる4人にそう告げた。
そして頷くマリアと結衣。
「僕は真一君のところに行きます。彼を一人で残してきてしまったから……」
「そうか。わかった。じゃあ、まゆおは一緒に中へ行こう」
「はい!」
そして俺とまゆおは建物の中へ向かった。
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