白雪姫症候群-スノーホワイト・シンドロームー

しらす丼

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第5章 新しい出会い

第32話ー① 新学期

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 4月になると冬の寒さがなくなり、外はポカポカ陽気の日が増えた。

 そしてそんな頃、暁たちの暮らすS級クラスの保護施設に新しい仲間がやってきた。

「お、あれだな」

 暁がエントランスゲートに到着すると、3台の車が別方向からやってきた。車は順番にゲートの前で停車して、そこからそれぞれの荷物をもって現れる少年少女たち。

「お疲れ様! ここまで大変だっただろう? 俺は三谷暁だ。ここで教師をやっている。これからよろしくな!」

 暁がそう言って笑いかけると、茶髪のふんわり内巻きカールの少女が反応した。

「いきなり馴れ馴れしいわね。低能で野蛮な人間となんて仲良くできるはずがないわ! ふんっ!」

 そう言って、少女は荷物を持って建物の方へとずかずかと歩いて行ってしまった。

「おう……」

 暁はずかずかと歩いていく少女の言葉に呆然として、その背中を見つめた。

(出会ったばかりの頃のキリヤみたいな反応だったな……というか、俺のことをあからさまに敵視していないか?)

 そんなことを思いながら、暁はその少女とこれから仲良くなれるのか不安に思っていた。

(いや。でもキリヤとも仲良くなれたんだ。だから今回もきっと、大丈夫だ!)

 暁はそんなことを思いつつ、一人で頷いていた。

「あのぉ。大丈夫ですかあ……?」

 そう言ってもう一人の少女が、深緑色のツインテールの髪を揺らしながら、暁の顔を覗き込む。

「あ、ああ。問題ない」

 暁は面目ないと言った顔でそう答えた。

「あの、えっと……よろしくお願いします、三谷先生」

 そして少女の隣にいるギターケースを手に持った藍色の髪の少年が、状況に戸惑いつつ暁にそう言った。

 この2人はさっきの転入生より友好的みたいだな――暁はそんなことを思いながら、

「おう。よろしくな!」

 そう言って二人に微笑みかけた。

 それから暁は2人の転入生たちを連れて、建物の中へと向かっていった。



 ――保護施設内、廊下。

「そういえば、2人の名前を聞いてなかったな」

 暁は歩きながら、後ろにいる2人にそう尋ねた。

「そうっすね。俺は、鳴海なるみしおんって言います。高校2年生です。よろしくお願いします」

 しおんの自己紹介を聞いた暁は振り返り、

「しおんか、いい名前だな! これからよろしく!」

 そう告げてしおんに微笑んだ。

 そして2人のやり取りを見ていたもう一人の少女が、

「私は知立凛子ちりゅうりんこって言いますぅ! 中学2年生でアイドルやってまぁす☆ 暁先生、これからよろしくお願いしますぅ!」

 そう言って暁にウインクをした。

「凛子はアイドルなのか! すごいな! 俺、芸能人に会うのは初めてなんだよ! なんだか嬉しいなあ」

 暁が興奮気味にそう言って感激をしていると、

「まあ売れてないアイドルだけどな! それにあんた、昔は天才子役だったんだろ? なんで今はアイドルなんかやってんだ?」

 しおんが意地悪く凛子にそう言った。

「天才子役……?」

 暁がそう呟くと、凛子の眉がピクリと動いた。

(今、凛子の顔が……気のせいか?)

 自分の言葉に凛子の表情が曇ったように感じた暁は首をかしげた。

 しかし凛子はついさっきの反応が嘘のように、飛び切りの笑顔でしおんに答える。

「演技に飽き飽きしていたんですよね、私。だからアイドルやってみようかなって思って、アイドルに転身したんですよぉ。今はアイドル活動が楽しくて、大好きなんです!」
「へえ。そうか」

 凛子の言葉に興味がなさそうなしおん。

 そしてそんなしおんを見た凛子が、今度はしおんに噛みつく。

「そういう君もギターなんて持っているみたいですけどぉ、ギタリスト気どりですかぁ?」

 そんな凛子の言葉にしおんはカッとなり、

「気取りじゃない! 俺はこれからビッグなギタリストになるんだよ!」

 凛子に向かってそう言った。

 そして熱いしおんの言葉に、

「へえ。そうなんですかぁ」とまったく興味のなさそうな反応をする凛子。

「お前なあ!!」

 そんな凛子に声を荒げるしおん。

「こらこら、初対面でいきなり喧嘩するんじゃない! 2人ともやりたいことがあるってだけで十分立派だし、それに素晴らしいことなんだからさ!」

 暁が2人をなだめるようにそう言うと、しおんと凛子はお互いにそっぽを向き、それ以上の言い合いはなくなった。

(初日からこんな調子で大丈夫なんだろうか……。これから先が思い知らされるよ)

 そんなことを思いつつ、暁は2人を食堂まで案内した。
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