170 / 501
第5章 新しい出会い
第33話ー② 仲間
しおりを挟む
翌日。午前中の授業を終えた生徒たちは食堂で昼食を摂っていた。
「今日は何の遊びをするつもりなんでしょうな」
結衣は隣に座るマリアに尋ねる。
「先生のことだから、きっと何か私たちのためになることを考えていると思う。だから期待して私たちは待っていればいい」
そう言いながら、マリアは結衣に微笑んだ。
「そうですな! 先生はいつだって、私達のために動いてくれる人でしたね!」
そんな二人の会話を不愉快そうに見つめる織姫。
「私たちはもう子供じゃありませんのに……。外で遊ぶなんて、バカバカしいことですわ」
そして織姫は一人で昼食を続けた。
昼食を終えた生徒たちは、動きやすい服に着替えてグラウンドに集合した。
「全員、揃ったか?」
暁がそう言って見渡すと、織姫の姿だけがないことに気が付く。
「誰か、織姫を知らないか……?」
「さっきまで食堂にはいたよ。でもそのあとは見ていないかな」
マリアは暁にそう答えた。続いて、凛子が左の人差し指を顎に添えながら、
「なんだか不機嫌そうでしたよ? こんな子供だましとか言っていましたしい」
笑ってそう答えた。
「そうか……」
本当は織姫との距離を縮めたいと思っていたから、今回の不参加は少し残念だな。でも授業の一環だから、不参加という選択肢はないはずなんだけど……まあ今回は大目に見よう。次は参加してくれるといいけどな。
そんなことを思ってから、暁は生徒たちの方を向いた。
「じゃあ時間がもったいないし、このままレクリエーションを始めるぞ。まずはルール説明だ!」
それから生徒たちは真剣な表情で暁の説明を聞く。
「今回のレクリエーションは、『ケイドロ』だ!」
「『ケイドロ』……?」
そう言って首をかしげるマリア。
「ああ。地域によって呼び名は変わるけれど、少しだけ呼び名の違う鬼ごっこだ」
「へえ。そうなのですね!」
結衣は感心しながら頷く。
「確か俺の地域では『ドロケイ』って呼んでいましたね」
「いろいろと呼び方があるんですなあ」
「さすが田舎者のギタリスト」
「はあああ?」
「こらこら! 喧嘩するんじゃない! じゃあルール説明するぞ」
それから暁は生徒たちにルールの説明を始めた。
「……とまあ基本ルールはそんな感じだ! それを踏まえて!」
「特別ルール、だね」
「特別ルール??」
マリアの一言に首をかしげる凛子。
「そうだ! さっき話したルールが一般的なものというわけだが、ここは通常の学校とは違うからな。だからここでのレクリエーションは特別ルールが設けられる。それは自分の持つ能力を自由に使用していいってことだ」
「能力を自由に……?」
しおんは驚いた表情をしてそう答えた。
「ああ。普通の学校ではこんなこと絶対にできない遊び方だ」
「確かに、そうっすね……」
自分の能力をあまり好いていない生徒もいることは知っている。でもあえて能力を思いっきり使用することで自分の能力と向き合うきっかけにもなることもある。だから俺は毎回このやり方でレクリエーションをするわけだ。
今回もきっと生徒たちにとって何かになると信じて――
「じゃあチーム分けをしよう!」
それから暁は生徒たちにチーム分けの為のくじ引きをするように促す。
「よっし。これでチーム分けも済んだな!」
警察チーム……真一、まゆお、結衣、凛子
泥棒チーム……暁、マリア、しおん、織姫(一応)
「この組み合わせ……」
まゆおは何かを思い出したようにそう言った。
「あはは。確かに……」
結衣も何かに気が付いたようで苦笑いでそう言った。
「あ、なるほど……」
そういえば、前にやったレクリエーションと似ている――と暁はそう思った。
それに気が付いてから、どこか不安そうな表情をしているまゆお。
しかしそんなまゆおとは反対に、真一はいつもと変わらずに涼しい顔をしていた。
この3人が今までのことを経て、あれからどう変わったのか楽しみだ――。
暁はそんなことをひそかに思いつつ、3人を見つめていた。
そして運命のレクリエーションが始まる。
「今日は何の遊びをするつもりなんでしょうな」
結衣は隣に座るマリアに尋ねる。
「先生のことだから、きっと何か私たちのためになることを考えていると思う。だから期待して私たちは待っていればいい」
そう言いながら、マリアは結衣に微笑んだ。
「そうですな! 先生はいつだって、私達のために動いてくれる人でしたね!」
そんな二人の会話を不愉快そうに見つめる織姫。
「私たちはもう子供じゃありませんのに……。外で遊ぶなんて、バカバカしいことですわ」
そして織姫は一人で昼食を続けた。
昼食を終えた生徒たちは、動きやすい服に着替えてグラウンドに集合した。
「全員、揃ったか?」
暁がそう言って見渡すと、織姫の姿だけがないことに気が付く。
「誰か、織姫を知らないか……?」
「さっきまで食堂にはいたよ。でもそのあとは見ていないかな」
マリアは暁にそう答えた。続いて、凛子が左の人差し指を顎に添えながら、
「なんだか不機嫌そうでしたよ? こんな子供だましとか言っていましたしい」
笑ってそう答えた。
「そうか……」
本当は織姫との距離を縮めたいと思っていたから、今回の不参加は少し残念だな。でも授業の一環だから、不参加という選択肢はないはずなんだけど……まあ今回は大目に見よう。次は参加してくれるといいけどな。
そんなことを思ってから、暁は生徒たちの方を向いた。
「じゃあ時間がもったいないし、このままレクリエーションを始めるぞ。まずはルール説明だ!」
それから生徒たちは真剣な表情で暁の説明を聞く。
「今回のレクリエーションは、『ケイドロ』だ!」
「『ケイドロ』……?」
そう言って首をかしげるマリア。
「ああ。地域によって呼び名は変わるけれど、少しだけ呼び名の違う鬼ごっこだ」
「へえ。そうなのですね!」
結衣は感心しながら頷く。
「確か俺の地域では『ドロケイ』って呼んでいましたね」
「いろいろと呼び方があるんですなあ」
「さすが田舎者のギタリスト」
「はあああ?」
「こらこら! 喧嘩するんじゃない! じゃあルール説明するぞ」
それから暁は生徒たちにルールの説明を始めた。
「……とまあ基本ルールはそんな感じだ! それを踏まえて!」
「特別ルール、だね」
「特別ルール??」
マリアの一言に首をかしげる凛子。
「そうだ! さっき話したルールが一般的なものというわけだが、ここは通常の学校とは違うからな。だからここでのレクリエーションは特別ルールが設けられる。それは自分の持つ能力を自由に使用していいってことだ」
「能力を自由に……?」
しおんは驚いた表情をしてそう答えた。
「ああ。普通の学校ではこんなこと絶対にできない遊び方だ」
「確かに、そうっすね……」
自分の能力をあまり好いていない生徒もいることは知っている。でもあえて能力を思いっきり使用することで自分の能力と向き合うきっかけにもなることもある。だから俺は毎回このやり方でレクリエーションをするわけだ。
今回もきっと生徒たちにとって何かになると信じて――
「じゃあチーム分けをしよう!」
それから暁は生徒たちにチーム分けの為のくじ引きをするように促す。
「よっし。これでチーム分けも済んだな!」
警察チーム……真一、まゆお、結衣、凛子
泥棒チーム……暁、マリア、しおん、織姫(一応)
「この組み合わせ……」
まゆおは何かを思い出したようにそう言った。
「あはは。確かに……」
結衣も何かに気が付いたようで苦笑いでそう言った。
「あ、なるほど……」
そういえば、前にやったレクリエーションと似ている――と暁はそう思った。
それに気が付いてから、どこか不安そうな表情をしているまゆお。
しかしそんなまゆおとは反対に、真一はいつもと変わらずに涼しい顔をしていた。
この3人が今までのことを経て、あれからどう変わったのか楽しみだ――。
暁はそんなことをひそかに思いつつ、3人を見つめていた。
そして運命のレクリエーションが始まる。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
38
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる