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第5章 新しい出会い
第33話ー① 仲間
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3人の転入生が来て、数日後。新学期が始まった。
「わからないことがあったら、何でも聞いてくれよ!」
暁は3人にそれぞれのタブレットを渡しながらそう言った。
「へえ。今どきはこんなので勉強してんのか。すごいな……」
しおんはタブレットを受け取り、その中身を見ながら胸を弾ませているようだった。
「鳴海くんが住んでいらした地域では、まだ普及していなかったのですね」
「ああ。俺がいたところは一応関東地方だけど、端っこの方だからな」
「そうなんですね。ちなみに都内の学校はほとんどがこのシステムを取り入れて授業を行っていますよ。今は個人に合わせた学習を推薦していますから」
「へえ。そういうもんなんだな……」
しおんは織姫の話を真剣に聞いていた。
「ちなみにこの学習システムの開発は本星崎グループが主軸で行っているのですよ。システムの提案も開発もすべて私の両親が関わっているんです!」
そう言って誇らしげに話す織姫。
自分の子供にそんなことを言ってもらえたら、きっと両親も嬉しいよな。俺も父の働く姿をまじかで見ていたら、同じことを言えたのだろうか……。
まあそんなことを今考えても仕方のないことなのかもしれないけど――。
暁はそんなことをふと思ったのだった。
「ちょっと、ちょっと! 2人だけで盛り上がらないでくださいよお。私のこと、忘れていませんか?」
楽しそうにタブレットの歴史について話し合う織姫としおんを見て、凛子は疎外感を抱いているようだった。
「悪いな。あんまり影が薄いアイドルだったから、気が付かなかったよ」
しおんは嫌味を込めて、凛子にそう告げた。
そしてそんなしおんの言葉に、怒りを覚えたのか凛子も反撃をする。
「まあ田舎から出てきたギタリスト君は、タブレットで授業をするなんてことが珍しく思って当然ですよね!」
「はあ!?」
「田舎者はほんとに大変ですねえ。覚えなくちゃいけないことがたくさんありますから。そもそもタブレットってなんだかわかっています?」
「おい! 俺の実家はそんなに田舎じゃねえぞ! タブレットぐらい知ってるに決まってんだろう!」
そう言っていがみ合う2人。
そしてそんな2人を横目に、他の生徒たちは黙々と学習を進めていた。
こんな時に黙々と勉強できる生徒たちの肝の据わり方がすごいな――。
そう思ったのちに、暁はしおんと凛子の喧嘩を仲裁する。
「こらこら! もうその辺にしておけよ! それに、早く勉強を始めないと今日のノルマが終わらないぞ。意外と量が多いんだから!!」
「ちっ」「ふん」
それからしおんはタブレットに目を落とし、凛子もそれ以上はしおんに噛みつくことはなかった。
「はあ」
暁は2人の一連のやり取りに疲労感を覚えて、ため息がこぼれていた。
なんだかしおんはやたらと凛子に噛みつくな。それに凛子も……。初日の印象がお互いに良くなかったんだろうな。
このままじゃ、毎日顔を合わせるたびに喧嘩が勃発する恐れがある。そして運が悪いと、それがストレスになって、暴走なんてことになるかもしれない――。
暁は勉強する生徒たちを見ながら、そんなことを思っていた。
「それだけは何とかしないとな……でもどうしたら」
そしてこの状況をどうにかできないかと、暁は頭をひねらせる。
みんなの距離を縮める方法か……。そういえば、俺が初めてここへ来た日もレクリエーションをやって、少しだけクラスの雰囲気が和んだことがあったな。思いっきり遊ぶことで、生徒同士や俺との距離が縮まるかもしれない――。
そうと決めた暁は、
「よし、レクリエーションをやるぞ!」
と大きな独り言をこぼした。
そんな暁の大きな独り言を聞いた生徒たちは、驚いた表情ややれやれと言った顔をしていた。
そして翌日の午後、レクリエーションを行うことになった。
「わからないことがあったら、何でも聞いてくれよ!」
暁は3人にそれぞれのタブレットを渡しながらそう言った。
「へえ。今どきはこんなので勉強してんのか。すごいな……」
しおんはタブレットを受け取り、その中身を見ながら胸を弾ませているようだった。
「鳴海くんが住んでいらした地域では、まだ普及していなかったのですね」
「ああ。俺がいたところは一応関東地方だけど、端っこの方だからな」
「そうなんですね。ちなみに都内の学校はほとんどがこのシステムを取り入れて授業を行っていますよ。今は個人に合わせた学習を推薦していますから」
「へえ。そういうもんなんだな……」
しおんは織姫の話を真剣に聞いていた。
「ちなみにこの学習システムの開発は本星崎グループが主軸で行っているのですよ。システムの提案も開発もすべて私の両親が関わっているんです!」
そう言って誇らしげに話す織姫。
自分の子供にそんなことを言ってもらえたら、きっと両親も嬉しいよな。俺も父の働く姿をまじかで見ていたら、同じことを言えたのだろうか……。
まあそんなことを今考えても仕方のないことなのかもしれないけど――。
暁はそんなことをふと思ったのだった。
「ちょっと、ちょっと! 2人だけで盛り上がらないでくださいよお。私のこと、忘れていませんか?」
楽しそうにタブレットの歴史について話し合う織姫としおんを見て、凛子は疎外感を抱いているようだった。
「悪いな。あんまり影が薄いアイドルだったから、気が付かなかったよ」
しおんは嫌味を込めて、凛子にそう告げた。
そしてそんなしおんの言葉に、怒りを覚えたのか凛子も反撃をする。
「まあ田舎から出てきたギタリスト君は、タブレットで授業をするなんてことが珍しく思って当然ですよね!」
「はあ!?」
「田舎者はほんとに大変ですねえ。覚えなくちゃいけないことがたくさんありますから。そもそもタブレットってなんだかわかっています?」
「おい! 俺の実家はそんなに田舎じゃねえぞ! タブレットぐらい知ってるに決まってんだろう!」
そう言っていがみ合う2人。
そしてそんな2人を横目に、他の生徒たちは黙々と学習を進めていた。
こんな時に黙々と勉強できる生徒たちの肝の据わり方がすごいな――。
そう思ったのちに、暁はしおんと凛子の喧嘩を仲裁する。
「こらこら! もうその辺にしておけよ! それに、早く勉強を始めないと今日のノルマが終わらないぞ。意外と量が多いんだから!!」
「ちっ」「ふん」
それからしおんはタブレットに目を落とし、凛子もそれ以上はしおんに噛みつくことはなかった。
「はあ」
暁は2人の一連のやり取りに疲労感を覚えて、ため息がこぼれていた。
なんだかしおんはやたらと凛子に噛みつくな。それに凛子も……。初日の印象がお互いに良くなかったんだろうな。
このままじゃ、毎日顔を合わせるたびに喧嘩が勃発する恐れがある。そして運が悪いと、それがストレスになって、暴走なんてことになるかもしれない――。
暁は勉強する生徒たちを見ながら、そんなことを思っていた。
「それだけは何とかしないとな……でもどうしたら」
そしてこの状況をどうにかできないかと、暁は頭をひねらせる。
みんなの距離を縮める方法か……。そういえば、俺が初めてここへ来た日もレクリエーションをやって、少しだけクラスの雰囲気が和んだことがあったな。思いっきり遊ぶことで、生徒同士や俺との距離が縮まるかもしれない――。
そうと決めた暁は、
「よし、レクリエーションをやるぞ!」
と大きな独り言をこぼした。
そんな暁の大きな独り言を聞いた生徒たちは、驚いた表情ややれやれと言った顔をしていた。
そして翌日の午後、レクリエーションを行うことになった。
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