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第5章 新しい出会い
第33話ー④ 仲間
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警察陣地内。暁たちはしおんの助けを待っていた。
「しおんはどこにいるんだろうな。そもそも俺たちが捕まったことに気が付いているのか」
「どうだろう。でも今は待つしかない。私達は何もできないから」
「そうだな」
すると、前方からしおんが全力で駆け抜けてくる。
「しおん、こっちだ!」
暁は陣地の外へと手を伸ばす。そしてその手に触れるしおん。
「サンキュ! マリアも手を!」
しかしマリアは手を伸ばしていない。
そうか、マリアは自分の能力のことを気にしているのか――。
「早く、手を!」
しおんはマリアにそう告げるが、マリアは渋って手を引っ込めたままだった。
「しおん、マリアは俺が!」
そう言って暁が手を伸ばそうとした時、目の前に小さなうさぎが現れる。
「これは!」
「ふふふ。そう簡単に、お姫様は渡せませんぞ!」
そして結衣が暁たちの前に姿を現した。
「先生、桑島はどうするんですか?」
「俺がここを食い止める。だからしおんだけでも逃げてくれ。俺はマリアを助けてから、ここを離脱する」
「でも増援が来たら……」
「そうしたらまた、しおんが助けてくれればいいだろう?」
暁はそう言ってしおんに笑いかける。
「おい! 桑島!! 早く手を! このままじゃ、先生がまた捕まっちまう!」
しおんは必死にマリアに訴えかけた。しかしマリアはいまだに躊躇している。
「ああ、もうめんどくせえ!」
そう言って、しおんは強引にマリアの手を掴むとそのまま走り出した。
「しおん!?」
暁はそんなしおんの行動に驚きと危機感を覚える。
マリアの能力が発動してしまう……そうしたら、マリアはまた自分を責めるかもしれない――。
「結衣、今は休戦だ! マリアたちを追うぞ!」
「え、は、はい!!」
そして暁と結衣はマリアとしおんを追った。
しおんは、マリアの腕を掴んだまま走っていた。
「しおん、痛い!」
マリアのその声に、しおんは自分の掴む力の強さに気が付く。
「悪い……」
そしてしおんはマリアを掴む手の力を緩めた。
「何ともないの?」
走りながら、マリアはしおんに尋ねた。
「何ともないけど、なんでだ?」
しおんは不思議そうに、マリアの問いに答える。
そして二人はある程度まで逃げたところで足を止めた。
「はあ。ここまで来たら、きっと大丈夫だろうな」
「……」
マリアは自分の腕をつかむ、しおんの手を見ていた。
「どうしかしたのか?」
「本当に何ともない? 何にも思わないの??」
マリアはしおんに詰め寄りながら、そう言った。
「え、だから何にもないって! 何なんだよ!!」
「もしかして……私」
そんな2人の後ろから息を切らしながら暁が駆けてくる。
「はあ、はあ。やっと追いついた……」
「せ、先生? 大丈夫?」
マリアは心配そうに暁の顔を覗き込んだ。
「あ、ああ。そんなことよりも2人とも大丈夫か……」
「あ、はい。俺は大丈夫です」
きょとんとして答えるしおん。
そんなしおんを見て、ほっとする暁。
「そうか、よかった……」
「先生、私の能力が」
マリアは真面目な顔で暁を見つめる。
「あの……そろそろ休戦は終了ってことでよいですかな?」
暁の後ろをついてきた結衣はそう言いながら、キャラクターを具現化する。
「よし、マリア。その話はあとだ! まずは逃げるぞ!」
そして暁たちは再び別方向へ逃げた。
しおんとマリアと別れた暁は、建物の裏に逃げ込む。
「この場所なら、真一の風も避けられるはずだ。このままここで様子見といこう」
暁はその場に座り込み、先ほどの一連の出来事について考えていた。
さっきのマリアを見る限り、マリアの能力は消失した可能性が高い。そりゃ、マリアも驚くよな。この間まで、この力のせいで異性に対して不安を抱えていたのに、その力が急になくなっていたことに気が付いたんだからさ――。
「これでマリアは卒業後、好きなところに行けるんだな」
マリアはキリヤとは違う人生を歩んでいくのかな――。
暁はふとそんなことを思った。
能力のなくならないキリヤと能力がなくなったマリア。マリアが卒業したら2人は、このままもう会えなくなってしまうのだろうか。
「でもマリアの人生だ。決めるのは、マリアしかいない」
そして暁は、そのまま木陰で身を潜めていた。
「しおんはどこにいるんだろうな。そもそも俺たちが捕まったことに気が付いているのか」
「どうだろう。でも今は待つしかない。私達は何もできないから」
「そうだな」
すると、前方からしおんが全力で駆け抜けてくる。
「しおん、こっちだ!」
暁は陣地の外へと手を伸ばす。そしてその手に触れるしおん。
「サンキュ! マリアも手を!」
しかしマリアは手を伸ばしていない。
そうか、マリアは自分の能力のことを気にしているのか――。
「早く、手を!」
しおんはマリアにそう告げるが、マリアは渋って手を引っ込めたままだった。
「しおん、マリアは俺が!」
そう言って暁が手を伸ばそうとした時、目の前に小さなうさぎが現れる。
「これは!」
「ふふふ。そう簡単に、お姫様は渡せませんぞ!」
そして結衣が暁たちの前に姿を現した。
「先生、桑島はどうするんですか?」
「俺がここを食い止める。だからしおんだけでも逃げてくれ。俺はマリアを助けてから、ここを離脱する」
「でも増援が来たら……」
「そうしたらまた、しおんが助けてくれればいいだろう?」
暁はそう言ってしおんに笑いかける。
「おい! 桑島!! 早く手を! このままじゃ、先生がまた捕まっちまう!」
しおんは必死にマリアに訴えかけた。しかしマリアはいまだに躊躇している。
「ああ、もうめんどくせえ!」
そう言って、しおんは強引にマリアの手を掴むとそのまま走り出した。
「しおん!?」
暁はそんなしおんの行動に驚きと危機感を覚える。
マリアの能力が発動してしまう……そうしたら、マリアはまた自分を責めるかもしれない――。
「結衣、今は休戦だ! マリアたちを追うぞ!」
「え、は、はい!!」
そして暁と結衣はマリアとしおんを追った。
しおんは、マリアの腕を掴んだまま走っていた。
「しおん、痛い!」
マリアのその声に、しおんは自分の掴む力の強さに気が付く。
「悪い……」
そしてしおんはマリアを掴む手の力を緩めた。
「何ともないの?」
走りながら、マリアはしおんに尋ねた。
「何ともないけど、なんでだ?」
しおんは不思議そうに、マリアの問いに答える。
そして二人はある程度まで逃げたところで足を止めた。
「はあ。ここまで来たら、きっと大丈夫だろうな」
「……」
マリアは自分の腕をつかむ、しおんの手を見ていた。
「どうしかしたのか?」
「本当に何ともない? 何にも思わないの??」
マリアはしおんに詰め寄りながら、そう言った。
「え、だから何にもないって! 何なんだよ!!」
「もしかして……私」
そんな2人の後ろから息を切らしながら暁が駆けてくる。
「はあ、はあ。やっと追いついた……」
「せ、先生? 大丈夫?」
マリアは心配そうに暁の顔を覗き込んだ。
「あ、ああ。そんなことよりも2人とも大丈夫か……」
「あ、はい。俺は大丈夫です」
きょとんとして答えるしおん。
そんなしおんを見て、ほっとする暁。
「そうか、よかった……」
「先生、私の能力が」
マリアは真面目な顔で暁を見つめる。
「あの……そろそろ休戦は終了ってことでよいですかな?」
暁の後ろをついてきた結衣はそう言いながら、キャラクターを具現化する。
「よし、マリア。その話はあとだ! まずは逃げるぞ!」
そして暁たちは再び別方向へ逃げた。
しおんとマリアと別れた暁は、建物の裏に逃げ込む。
「この場所なら、真一の風も避けられるはずだ。このままここで様子見といこう」
暁はその場に座り込み、先ほどの一連の出来事について考えていた。
さっきのマリアを見る限り、マリアの能力は消失した可能性が高い。そりゃ、マリアも驚くよな。この間まで、この力のせいで異性に対して不安を抱えていたのに、その力が急になくなっていたことに気が付いたんだからさ――。
「これでマリアは卒業後、好きなところに行けるんだな」
マリアはキリヤとは違う人生を歩んでいくのかな――。
暁はふとそんなことを思った。
能力のなくならないキリヤと能力がなくなったマリア。マリアが卒業したら2人は、このままもう会えなくなってしまうのだろうか。
「でもマリアの人生だ。決めるのは、マリアしかいない」
そして暁は、そのまま木陰で身を潜めていた。
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