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第5章 新しい出会い
第34話ー④ それぞれの気づき
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――研究所のカフェ。
暁とマリアは、カフェでお茶をしてから施設に帰ることにした。
「研究所にこんなところがあるんだね」
そしてマリアは研究所にカフェがあることに驚いているようだった。
「まあな。ここは研究員さんの休憩所みたいなところなのさ。きっとキリヤも優香と一緒にここで休憩とかしているんじゃないか」
暁はコーヒーを飲みながら、そう言った。
「そうなんだ」
そして話題はマリアの進路のことになる。
「そういえば、マリアはカウンセラーになるんだろう? 最終的にここで働こうと考えているのか?」
「まだわからない。でも白銀さんのように、私も誰かの役に立てる存在になりたいと思ってる」
「そうか。マリアなら、きっとできるよ。シロを変えられたマリアならな」
「そうだといいな」
そしてマリアは微笑んだ。
「そういえば、シロは元気にしているかな。全然連絡もないから、ちょっと心配……」
「あー。たぶん……きっと大丈夫だよ! うん、大丈夫のような気がする!」
「先生……なんか適当なこと、言ってない?」
マリアは暁に怪訝な表情を向ける。
「そ、そんなことないさ! そんなことより、ほら! ココアが冷たくなるぞ!!」
暁はごまかしながらマリアにそう言った。
そしてマリアは暁の態度が不服ながらもココアをおいしそうに飲んでいた。
マリアはシロの本当の正体を知らない。別に隠しているつもりはないが、それは自分の口から告げることでもないだろうから、今はあえて言及はしないと暁は決めていた。
いつかマリアが気付くか、それともシロ本人が告白するのか。どっちにしろ、これからの二人の関係が楽しみだな――。
そんなことを思い、微笑みながら暁はコーヒーを口にした。
それから暁たちはカップの飲み物を飲み干してから、施設へと戻っていった。
帰りの車の中、俺は今回のことをキリヤには伝えなくてもいいのかとマリアに問うと、マリアは少し考えてから、
「今のキリヤはきっと大変な時だと思うから、キリヤが落ち着いて自分から連絡をくれた時に伝えようかなって思うの」
と笑いながら答えた。
マリア曰く、キリヤは不器用だからいろんなことを同時にこなせないタイプらしい。それを気遣っての判断だそうだ。
マリアは本当に兄思いの良い妹だな――とマリアの話を聞いた暁はそう思った。
「そういえば、あいつは元気かな……」
暁は兄キリヤを思うマリアを見て、ふと昔のことを思い出す。
暁の独り言に興味を持ったマリアが、覗き込むように暁へ問う。
「あいつって……?」
「俺の妹さ。俺の2つ下で、もう今年で24歳になるな」
暁は施設に来てから、自分がもうずっと家族の顔を見ていないことにふと気がついた。
父さんや母さんのことも心配だが、妹や弟たちが今どうなっているのかは気になる――。
「またいつか家族に会える日がくるかな」
暁が悲し気にそう言うと、
「大丈夫。きっと会えるよ。家族のことを思っていたら、きっと」
マリアはそう言って微笑んだ。
そんなマリアの顔を見た暁は笑顔で答える。
「そうだな。ありがとう、マリア」
そして暁たちは、施設に向かって行った。
――織姫の個室。
織姫は自室のベッドに寝転びながら、スマホの画面を見つめていた。
そして自分が贈ったメッセージに既読マークがつくことを心待ちにじっと眺めていた。
しかし織姫がどれだけ待っても、そのメッセージに返信どころか既読もつかない。
「……仕事かな」
そしてそっとスマホを置く織姫。
「やっぱり私なんて眼中にもないのですね……」
織姫はそう言って、ベッドに顔を伏せたのだった。
暁とマリアは、カフェでお茶をしてから施設に帰ることにした。
「研究所にこんなところがあるんだね」
そしてマリアは研究所にカフェがあることに驚いているようだった。
「まあな。ここは研究員さんの休憩所みたいなところなのさ。きっとキリヤも優香と一緒にここで休憩とかしているんじゃないか」
暁はコーヒーを飲みながら、そう言った。
「そうなんだ」
そして話題はマリアの進路のことになる。
「そういえば、マリアはカウンセラーになるんだろう? 最終的にここで働こうと考えているのか?」
「まだわからない。でも白銀さんのように、私も誰かの役に立てる存在になりたいと思ってる」
「そうか。マリアなら、きっとできるよ。シロを変えられたマリアならな」
「そうだといいな」
そしてマリアは微笑んだ。
「そういえば、シロは元気にしているかな。全然連絡もないから、ちょっと心配……」
「あー。たぶん……きっと大丈夫だよ! うん、大丈夫のような気がする!」
「先生……なんか適当なこと、言ってない?」
マリアは暁に怪訝な表情を向ける。
「そ、そんなことないさ! そんなことより、ほら! ココアが冷たくなるぞ!!」
暁はごまかしながらマリアにそう言った。
そしてマリアは暁の態度が不服ながらもココアをおいしそうに飲んでいた。
マリアはシロの本当の正体を知らない。別に隠しているつもりはないが、それは自分の口から告げることでもないだろうから、今はあえて言及はしないと暁は決めていた。
いつかマリアが気付くか、それともシロ本人が告白するのか。どっちにしろ、これからの二人の関係が楽しみだな――。
そんなことを思い、微笑みながら暁はコーヒーを口にした。
それから暁たちはカップの飲み物を飲み干してから、施設へと戻っていった。
帰りの車の中、俺は今回のことをキリヤには伝えなくてもいいのかとマリアに問うと、マリアは少し考えてから、
「今のキリヤはきっと大変な時だと思うから、キリヤが落ち着いて自分から連絡をくれた時に伝えようかなって思うの」
と笑いながら答えた。
マリア曰く、キリヤは不器用だからいろんなことを同時にこなせないタイプらしい。それを気遣っての判断だそうだ。
マリアは本当に兄思いの良い妹だな――とマリアの話を聞いた暁はそう思った。
「そういえば、あいつは元気かな……」
暁は兄キリヤを思うマリアを見て、ふと昔のことを思い出す。
暁の独り言に興味を持ったマリアが、覗き込むように暁へ問う。
「あいつって……?」
「俺の妹さ。俺の2つ下で、もう今年で24歳になるな」
暁は施設に来てから、自分がもうずっと家族の顔を見ていないことにふと気がついた。
父さんや母さんのことも心配だが、妹や弟たちが今どうなっているのかは気になる――。
「またいつか家族に会える日がくるかな」
暁が悲し気にそう言うと、
「大丈夫。きっと会えるよ。家族のことを思っていたら、きっと」
マリアはそう言って微笑んだ。
そんなマリアの顔を見た暁は笑顔で答える。
「そうだな。ありがとう、マリア」
そして暁たちは、施設に向かって行った。
――織姫の個室。
織姫は自室のベッドに寝転びながら、スマホの画面を見つめていた。
そして自分が贈ったメッセージに既読マークがつくことを心待ちにじっと眺めていた。
しかし織姫がどれだけ待っても、そのメッセージに返信どころか既読もつかない。
「……仕事かな」
そしてそっとスマホを置く織姫。
「やっぱり私なんて眼中にもないのですね……」
織姫はそう言って、ベッドに顔を伏せたのだった。
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