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第7章 それぞれのサイカイ
第49話 小さな変化
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『悪魔の子だ!!』『この疫病神!』『もう家には置いておけないわ』
真一はそんな言葉を浴びせられて育った。そして自分が親戚中から嫌われていることを真一は幼ないながらに理解していた。
自分を引き取った親戚の家には不幸が起こる。だから自分は疫病神やら悪魔の子やらと言われるんだ――と。
当時はいろんな偶然が重なって、親戚の家の子供が急に大けがをしたり、その家族の誰かが病気になったりとそういう不幸が立て続けに起こっていた。
『また悪魔の子のせいよ』『なんでこんな子供が生き残ったんだ』
そして不幸が起こるたびに、真一はまたその言葉を浴びせられる。
そんな真一は叔父と叔父が好きだった音楽と出逢った。そしてその音楽は真一の心を癒していった。
「僕もいつか――」
その時、一つの夢が幼い真一の中に芽生える。
しかし運命は残酷で、真一の叔父は不慮の事故で帰らぬ人となった。
ああ、僕はまた親戚中をたらい回しにされる……そうなるくらいなら――
そして真一は叔父の死をきっかけに風谷家から距離を置くことになる。
その後の話は以前に話した通り――。
「ふう。今日の練習はこの辺にしようか」
真一はギターの音を確認しているしおんにそう言った。
「そうだな……あとは各々で練習ってことで!」
「しおんは特にね。Cメロのギターリフ、まだ不安なところあるでしょ」
真一がそう言うとしおんはびくっと肩を揺らし、
「ばれてたか……」
と落胆しながら答えた。
「そりゃね。ちゃんとしおんの音を聴いているから」
真一の言葉にしおんは照れた顔になり、頬を搔いていた。
「そう言われると照れるな。ありがとう! 俺の音を一番近くでしっかり聴いてくれる真一の想いに応えられるよう、俺も頑張るよ!」
「は、はあ!? 何言ってんの!? なんか僕が恥ずかしいことを言ったみたいじゃないか!!」
しおんの言葉を聞き、真一は変に意地を張ってそう答える。
「良いだろー! 本当にそう思ったんだからさ!」
「ふんっ。勝手にそう思ってたらいいじゃん」
そう言ってそっぽを向く真一。
「はいはい」
そして真一たちは解散した。
しおんと解散した真一はいつものお気に入りの場所、グラウンドに生えている大樹の下に向かった。
「~♪」
真一はしおんと作ったオリジナル曲を口ずさみながら、木の下で寝転んでいた。
少し前まで誰かと同じ時間を過ごすことなんてほとんどなかったのに、今ほとんどの時間をしおんと過ごしているんだな――と真一はふと自分の小さな変化に気が付く。
「……感謝なんて、しないからな」
口ではそう言いつつも、もっとしおんと同じ時を過ごせていけたらいいな――と真一は心の中で思っていた。
「自分一人でなんとかできるって思っていたけど、誰かがいてくれるだけで……いや。なんでもないや」
そして真一はまた歌を口ずさむ。
大切な相棒と共に初めて作った、自分たちだけの歌を――。
真一はそんな言葉を浴びせられて育った。そして自分が親戚中から嫌われていることを真一は幼ないながらに理解していた。
自分を引き取った親戚の家には不幸が起こる。だから自分は疫病神やら悪魔の子やらと言われるんだ――と。
当時はいろんな偶然が重なって、親戚の家の子供が急に大けがをしたり、その家族の誰かが病気になったりとそういう不幸が立て続けに起こっていた。
『また悪魔の子のせいよ』『なんでこんな子供が生き残ったんだ』
そして不幸が起こるたびに、真一はまたその言葉を浴びせられる。
そんな真一は叔父と叔父が好きだった音楽と出逢った。そしてその音楽は真一の心を癒していった。
「僕もいつか――」
その時、一つの夢が幼い真一の中に芽生える。
しかし運命は残酷で、真一の叔父は不慮の事故で帰らぬ人となった。
ああ、僕はまた親戚中をたらい回しにされる……そうなるくらいなら――
そして真一は叔父の死をきっかけに風谷家から距離を置くことになる。
その後の話は以前に話した通り――。
「ふう。今日の練習はこの辺にしようか」
真一はギターの音を確認しているしおんにそう言った。
「そうだな……あとは各々で練習ってことで!」
「しおんは特にね。Cメロのギターリフ、まだ不安なところあるでしょ」
真一がそう言うとしおんはびくっと肩を揺らし、
「ばれてたか……」
と落胆しながら答えた。
「そりゃね。ちゃんとしおんの音を聴いているから」
真一の言葉にしおんは照れた顔になり、頬を搔いていた。
「そう言われると照れるな。ありがとう! 俺の音を一番近くでしっかり聴いてくれる真一の想いに応えられるよう、俺も頑張るよ!」
「は、はあ!? 何言ってんの!? なんか僕が恥ずかしいことを言ったみたいじゃないか!!」
しおんの言葉を聞き、真一は変に意地を張ってそう答える。
「良いだろー! 本当にそう思ったんだからさ!」
「ふんっ。勝手にそう思ってたらいいじゃん」
そう言ってそっぽを向く真一。
「はいはい」
そして真一たちは解散した。
しおんと解散した真一はいつものお気に入りの場所、グラウンドに生えている大樹の下に向かった。
「~♪」
真一はしおんと作ったオリジナル曲を口ずさみながら、木の下で寝転んでいた。
少し前まで誰かと同じ時間を過ごすことなんてほとんどなかったのに、今ほとんどの時間をしおんと過ごしているんだな――と真一はふと自分の小さな変化に気が付く。
「……感謝なんて、しないからな」
口ではそう言いつつも、もっとしおんと同じ時を過ごせていけたらいいな――と真一は心の中で思っていた。
「自分一人でなんとかできるって思っていたけど、誰かがいてくれるだけで……いや。なんでもないや」
そして真一はまた歌を口ずさむ。
大切な相棒と共に初めて作った、自分たちだけの歌を――。
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