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第8章 猫と娘と生徒たち
第62.5話ー① 幼馴染
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しおんが帰省する少し前のこと。
真一の自室にて――
いつものように真一はしおんと共に歌の練習をしていた。
「今日はこの辺にしようか」
「おう」
それから床に座る真一としおん。
「……そういえば、明後日だっけ」
真一ははちみつジンジャードリンクを飲みながら、しおんにそう言った。
「ああ、そうだ。お土産、買って来るからな! 千葉は落花生が――」
「別にいらないからっ!!」
「そうか?」
少し残念そうな顔をするしおん。
「気なんて遣ってくれなくていい。その代わり、社長への挨拶は頼んだからね」
「おう。まま、任せとけって!!」
少しどもりながらそう言うしおん。
「……なんか、不安だな」
「はあ!? そんなことねーし!!」
「あ! そうだ」
「ん?」
「あやめにはお礼を言っておいてくれない? また会った時にちゃんと伝えるけど、まず先に所属のことはあやめのおかげでもあるわけだから……」
真一は恥ずかしそうにそう言った。
「ああ、わかった! 真一の熱い思いは、俺がしっかり……もう本っ当にしっかりと伝えておくからな!!」
「べ、別にそこまでしっかり伝えなくてもいいから! お礼を言ってくれたら、それでいいから!!」
「あー、はいはい」
しおんはそう言いながら、うんうんと頷く。
「ちょっと、ちゃんと聞いてる――?」
「あ、父さんから電話が! じゃあこの続きはまた今度な!」
そう言って真一の部屋を出るしおん。
「まったく……」
真一はそう言いながらも笑顔でしおんの出て行った扉を見ていた。
「しおんのいない2日間はどうしようか……歌練もいいけど、作詞でもしようかな。たまには歌詞先行の曲もありだよね」
それから真一は机に向かう。
思えば、今日まで本当にいろんなことがあったな――真一はそんなことを考えながら、頬杖をついていた。
親戚たちにたらい回しにされて、慕っていたおじさんがなくなって……養護施設ではルールに縛られて、それから『白雪姫症候群』の能力が覚醒した。
そして今のこの保護施設にやってきて、たくさんのクラスメ……いや。友人と出逢った。その中でもしおんは自分にとってとても大きな存在になっている――。
「一人で生きていけるなんて思っていたけど、しおんと出逢って考えが変わったな……仲間と一緒に何かを目指すことって、こんなに楽しくて、ワクワクするんだなって」
これから先、自分たちにはどんな未来が待っているのだろう。どんな素敵な出会いがあるのだろう――そう考えるたびに、真一は楽しみでニヤニヤとしていた。
「新曲は『仲間』とか『友情』をテーマにしたものを書こう」
こんなことをキリヤに聞かれたら、きっとあの時みたいに驚くんだろうな――真一はそう思ってクスっと笑った。
「そういえば、キリヤは元気にしているのかな。一度顔を見せに来たっきりだったけど」
卒業前にもう一度、会いたかったな。だってキリヤも僕にとっては大事な友人の一人なんだから――
真一はそんなことを考えて、さみし気な笑顔をする。
「でも便りがないのは、元気な証拠だよね。……きっといつかまた会えるはず。だって僕とキリヤは友達なんだからさ」
そう言って真一はノートを開いて作詞を始めた。
――夕食時、食堂。
作詞を終えた真一は夕食を摂るために食堂に来ていた。
「おーい、真一! こっちで一緒に食べようぜ!」
食堂に姿を見せた真一を見つけたしおんは、そう言って手招きをする。
しかし真一はそんなしおんを無視して、食べ物を取りにカウンターへ向かった。
「っておい!? 無視は悲しいだろう!!」
「あー、はいはい。しおんは寂しがりだなー。本当に手がかかる」
そう言いながら真一は食べ物をトレーに乗せる。
「さっきのこと、根に持ってんのか?」
「さあね」
それから食べ物を取り終えた真一はしおんの正面に座った。
「結局、俺のところに来てんじゃん」
「それはしおんが可哀そうだったから」
澄ました顔でそう言う真一。
「なんだよ、それ!!」
「ふふっ」
真一はしおんの言葉に軽く笑っていた。
「……真一、柔らかくなったよな」
「そんなことはない。僕は僕のままだよ」
「そうかー? 今、笑ってたろ? 前の真一は、そう簡単に笑うなんてことはなかったのにさ!」
しおんは真一の顔を覗き込むようにそう言った。
すると真一は無表情になり、
「……笑ってない。しおんの気のせい」
淡々とそう言った。
「ふーん。そうかー」
「早く食べなよ。冷めるよ」
そう言って箸を動かす真一。
「はいはい」
そんな真一に笑顔でそう答え、しおんは夕食を再開したのだった。
真一の自室にて――
いつものように真一はしおんと共に歌の練習をしていた。
「今日はこの辺にしようか」
「おう」
それから床に座る真一としおん。
「……そういえば、明後日だっけ」
真一ははちみつジンジャードリンクを飲みながら、しおんにそう言った。
「ああ、そうだ。お土産、買って来るからな! 千葉は落花生が――」
「別にいらないからっ!!」
「そうか?」
少し残念そうな顔をするしおん。
「気なんて遣ってくれなくていい。その代わり、社長への挨拶は頼んだからね」
「おう。まま、任せとけって!!」
少しどもりながらそう言うしおん。
「……なんか、不安だな」
「はあ!? そんなことねーし!!」
「あ! そうだ」
「ん?」
「あやめにはお礼を言っておいてくれない? また会った時にちゃんと伝えるけど、まず先に所属のことはあやめのおかげでもあるわけだから……」
真一は恥ずかしそうにそう言った。
「ああ、わかった! 真一の熱い思いは、俺がしっかり……もう本っ当にしっかりと伝えておくからな!!」
「べ、別にそこまでしっかり伝えなくてもいいから! お礼を言ってくれたら、それでいいから!!」
「あー、はいはい」
しおんはそう言いながら、うんうんと頷く。
「ちょっと、ちゃんと聞いてる――?」
「あ、父さんから電話が! じゃあこの続きはまた今度な!」
そう言って真一の部屋を出るしおん。
「まったく……」
真一はそう言いながらも笑顔でしおんの出て行った扉を見ていた。
「しおんのいない2日間はどうしようか……歌練もいいけど、作詞でもしようかな。たまには歌詞先行の曲もありだよね」
それから真一は机に向かう。
思えば、今日まで本当にいろんなことがあったな――真一はそんなことを考えながら、頬杖をついていた。
親戚たちにたらい回しにされて、慕っていたおじさんがなくなって……養護施設ではルールに縛られて、それから『白雪姫症候群』の能力が覚醒した。
そして今のこの保護施設にやってきて、たくさんのクラスメ……いや。友人と出逢った。その中でもしおんは自分にとってとても大きな存在になっている――。
「一人で生きていけるなんて思っていたけど、しおんと出逢って考えが変わったな……仲間と一緒に何かを目指すことって、こんなに楽しくて、ワクワクするんだなって」
これから先、自分たちにはどんな未来が待っているのだろう。どんな素敵な出会いがあるのだろう――そう考えるたびに、真一は楽しみでニヤニヤとしていた。
「新曲は『仲間』とか『友情』をテーマにしたものを書こう」
こんなことをキリヤに聞かれたら、きっとあの時みたいに驚くんだろうな――真一はそう思ってクスっと笑った。
「そういえば、キリヤは元気にしているのかな。一度顔を見せに来たっきりだったけど」
卒業前にもう一度、会いたかったな。だってキリヤも僕にとっては大事な友人の一人なんだから――
真一はそんなことを考えて、さみし気な笑顔をする。
「でも便りがないのは、元気な証拠だよね。……きっといつかまた会えるはず。だって僕とキリヤは友達なんだからさ」
そう言って真一はノートを開いて作詞を始めた。
――夕食時、食堂。
作詞を終えた真一は夕食を摂るために食堂に来ていた。
「おーい、真一! こっちで一緒に食べようぜ!」
食堂に姿を見せた真一を見つけたしおんは、そう言って手招きをする。
しかし真一はそんなしおんを無視して、食べ物を取りにカウンターへ向かった。
「っておい!? 無視は悲しいだろう!!」
「あー、はいはい。しおんは寂しがりだなー。本当に手がかかる」
そう言いながら真一は食べ物をトレーに乗せる。
「さっきのこと、根に持ってんのか?」
「さあね」
それから食べ物を取り終えた真一はしおんの正面に座った。
「結局、俺のところに来てんじゃん」
「それはしおんが可哀そうだったから」
澄ました顔でそう言う真一。
「なんだよ、それ!!」
「ふふっ」
真一はしおんの言葉に軽く笑っていた。
「……真一、柔らかくなったよな」
「そんなことはない。僕は僕のままだよ」
「そうかー? 今、笑ってたろ? 前の真一は、そう簡単に笑うなんてことはなかったのにさ!」
しおんは真一の顔を覗き込むようにそう言った。
すると真一は無表情になり、
「……笑ってない。しおんの気のせい」
淡々とそう言った。
「ふーん。そうかー」
「早く食べなよ。冷めるよ」
そう言って箸を動かす真一。
「はいはい」
そんな真一に笑顔でそう答え、しおんは夕食を再開したのだった。
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