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第9章 新たな希望と変わる世界

エピローグ ー第2部ー

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 地元から帰省した暁はいつも通りの日常へと戻っていた。そしてしばらくすると、凛子の卒業と織姫たちの進級の時期となったのだった。


 食堂にて――

「凛子、頑張れよ! ハリウッドで活躍する日を楽しみにしているからな!」

 暁は凛子に笑顔でそう言うと、

「ありがとうございます☆ まあでも、そう遠くない未来の話ですけどね!」

 そう言ってウインクをする凛子。

「凛子さん……おめでとうございます! ううう、私も頑張ります。そしてここから出て、またその時に……」

 涙をボロボロとこぼしながら、織姫はそう言った。

「あー、はいはい。泣かないでくださいよお? きっとすぐにまた会えますから! ね?」
「は、はい……」

 この2人がこんなに仲良くなるなんてな――

 そんなことを思いながら、凛子と織姫を見つめる暁。

「これもまた、心の成長なのかな……」
「なんだ先生! やけに詩人だな!!」

 剛はそう言いながら、暁の隣に立っていた。

「そうか? でもここにいるといつも思うんだよな。みんな、ちゃんと成長しているんだなってさ。もちろん剛も」
「先生……ありがとな! 俺も春からオンラインだけど、大学での勉強頑張るから!」
「ああ。俺は待ってるよ。剛が剛らしい立派な教師になる日をさ!」
「おう!」

 そしてその日のお別れ会は静かに幕を閉じたのだった。



 翌日。凛子は急遽仕事が入ったため、早い時間に施設を去ったようだった。

「織姫、凛子はどんな感じだった?」

 織姫だけが凛子の旅立ちに立ち会っており、その時の様子を暁は織姫に尋ねる。

「相変わらず……でしたね。名女優ここにありという感じでした。少しくらいは悲しい顔をしてくれたっていいのに」

 そう言って寂しそうな顔をする織姫。

「凛子は女優でもあるけど、その前にアイドルだからな。きっと笑顔でありたかったんだよ」
「そう、ですか。……かっこいいですよね、そういうの」
「織姫もそうなれるさ。きっとな」

 そう言って微笑む暁。

「……浮気ですか」
「は!!?」
「そうやって他の女の子も……最低ですね! 奏多ちゃんにさっそく報告します」

 織姫はそう言ってスマホを取り出す。

「ちょ!? やめてくれ~!」


 * * *


白雪姫症候群スノーホワイト・シンドローム』の能力が発現して、約20年。その謎は少しずつ解明され始めていた。

 しかしその力の影響で、未だに多くの子供たちが様々な悩みを抱えているというのが現状だった。

 三谷暁はそんな子供たちの未来を守るため、新たな夢に向かっていくことを決意する。

 彼と出会い、関わっていく子供たちは心の成長と共に、新たな未来を創っていくのだろう。


 そう。世界は少しずつ、変わり始めていたのだった――
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