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30 再会
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「フローラ、ずっと会いたかったのよ!
少し痩せた? お祖母様、フローラに食事はあげているの?」
「フローラさんとは、いつも夕食を一緒に食べているわ。
仕事と勉強で多忙な毎日を過ごしているの。とても頑張っているのよ」
「フローラの仕事は激務なのかしら?
ちょっと、ルイス! フローラが痩せるほど大変な仕事をさせているの?」
久しぶりに来た王都で、私はテレサ様の所有する別邸に来ている。
そこにはセシリアとマクラーレン様が会いに来てくれて、とても賑やかになっていた。
数日後に結婚するセシリアは、忙しい中、わざわざ時間を作ってくれたようだ。独身のセシリアに会うのは今日が最後になる。
「学校には彼女に無理をさせないようにと伝えておいたはずだが……
仕事は慣れたか? 仕事がキツいなら、別の仕事を探すが?」
久しぶりに会ったセシリアとマクラーレン様は変わらず元気そうで、二人の遠慮のないやり取りを見て楽しく感じてしまった。
「マクラーレン様。仕事は忙しいですが、毎日楽しいですわ。
あのような素晴らしい仕事を紹介して下さって、心から感謝しております。
セシリア、心配してくれてありがとう。私は今の生活がとても幸せなのよ。
テレサ様は親切にして下さるし、学校の仕事は忙しいけど、毎日が充実しているの」
「それならいいけど……、何だか複雑だわ。
私はフローラと離れて寂しいのに、フローラはマクラーレンの領地が楽しいだなんて。親友としては領地の生活に飽きたから、王都に戻りたいって言って欲しかったわよ」
その後も、セシリアとマクラーレン様と話が盛り上がる。やはりこの二人といると心が落ち着く。
しかし私達の話がひと段落した時に、セシリアが気まずそうに口にした言葉を聞いて、私は頭の中が真っ白になってしまうのであった。
「フローラ。最近、小耳に挟んだのだけど……
貴女のお祖母様が体調を崩しているって噂があるの」
「……お祖母様が?」
私は母方の祖父母や叔母が大好きだった。お母様が亡くなって寂しかった時、祖父母や叔母がいてくれたから立ち直れたと思っている。
お父様が私やお兄様に興味がなくても孤独を感じなかったのは、祖父母や叔母のおかげだ。それくらい私にとっては大切な人達。
「ただの噂話で、本当かは分からないの。
フローラはお祖母様が大好きだって言っていたから、今調べてもらっているわ。だから、落ち着いてちょうだい」
「セシリア、ありがとう。
本当は今すぐにでもお祖母様に会いに行きたいけど、それは我慢するわ。
私を探すお父様が流したデマかもしれないもの。気を付けないといけないわよね」
その日、沢山話をした後にセシリアは帰って行った。結婚式直前なので準備が大変らしい。
殿下に望まれて結婚するセシリアは、前よりも更に美しくなっていたように思う。
愛されるとあんなにも美しく輝けるのね……
私は無理だったけど、セシリアには幸せになってもらいたい。
◇◇
「ララ嬢……。今更だが、ここでもこう呼んでいいか?」
「ええ。勿論ですわ。その偽名は気に入っていますので、ぜひ〝ララ〟とお呼び下さい」
セシリアが帰った後、私はマクラーレン様と二人でお茶をしている。
マクラーレン様は今日と明日は仕事がお休みらしく、この別邸に泊まるらしい。
「ララ嬢も、私のことは〝ルイス〟と名前で呼んでくれないか?」
「……私がですか?」
突然、名前で呼んで欲しいと言われた私は、驚きのあまり拍子抜けしたような表情になっていたと思う。
「ああ。ずっと家名で呼ばれていたが、君と一緒に暮らしている祖母もマクラーレンだし、ややこしいと思うんだ。
……ダメだろうか?」
「今の私は平民です。公爵令息であるマクラーレン様を名前で呼ぶのは恐れ多いですわ」
「身分は関係ない。私達は友達だろう?
私は君に名前で呼んで欲しい。家名呼びは、何だか距離を置かれているようで嫌なんだ」
美形のマクラーレン様が、真っ直ぐな瞳で見つめてくる。
私は思った以上に美形に弱いらしい……
「では……、二人でいる時だけ名前で呼ばせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「いいのか? ありがとう」
少し痩せた? お祖母様、フローラに食事はあげているの?」
「フローラさんとは、いつも夕食を一緒に食べているわ。
仕事と勉強で多忙な毎日を過ごしているの。とても頑張っているのよ」
「フローラの仕事は激務なのかしら?
ちょっと、ルイス! フローラが痩せるほど大変な仕事をさせているの?」
久しぶりに来た王都で、私はテレサ様の所有する別邸に来ている。
そこにはセシリアとマクラーレン様が会いに来てくれて、とても賑やかになっていた。
数日後に結婚するセシリアは、忙しい中、わざわざ時間を作ってくれたようだ。独身のセシリアに会うのは今日が最後になる。
「学校には彼女に無理をさせないようにと伝えておいたはずだが……
仕事は慣れたか? 仕事がキツいなら、別の仕事を探すが?」
久しぶりに会ったセシリアとマクラーレン様は変わらず元気そうで、二人の遠慮のないやり取りを見て楽しく感じてしまった。
「マクラーレン様。仕事は忙しいですが、毎日楽しいですわ。
あのような素晴らしい仕事を紹介して下さって、心から感謝しております。
セシリア、心配してくれてありがとう。私は今の生活がとても幸せなのよ。
テレサ様は親切にして下さるし、学校の仕事は忙しいけど、毎日が充実しているの」
「それならいいけど……、何だか複雑だわ。
私はフローラと離れて寂しいのに、フローラはマクラーレンの領地が楽しいだなんて。親友としては領地の生活に飽きたから、王都に戻りたいって言って欲しかったわよ」
その後も、セシリアとマクラーレン様と話が盛り上がる。やはりこの二人といると心が落ち着く。
しかし私達の話がひと段落した時に、セシリアが気まずそうに口にした言葉を聞いて、私は頭の中が真っ白になってしまうのであった。
「フローラ。最近、小耳に挟んだのだけど……
貴女のお祖母様が体調を崩しているって噂があるの」
「……お祖母様が?」
私は母方の祖父母や叔母が大好きだった。お母様が亡くなって寂しかった時、祖父母や叔母がいてくれたから立ち直れたと思っている。
お父様が私やお兄様に興味がなくても孤独を感じなかったのは、祖父母や叔母のおかげだ。それくらい私にとっては大切な人達。
「ただの噂話で、本当かは分からないの。
フローラはお祖母様が大好きだって言っていたから、今調べてもらっているわ。だから、落ち着いてちょうだい」
「セシリア、ありがとう。
本当は今すぐにでもお祖母様に会いに行きたいけど、それは我慢するわ。
私を探すお父様が流したデマかもしれないもの。気を付けないといけないわよね」
その日、沢山話をした後にセシリアは帰って行った。結婚式直前なので準備が大変らしい。
殿下に望まれて結婚するセシリアは、前よりも更に美しくなっていたように思う。
愛されるとあんなにも美しく輝けるのね……
私は無理だったけど、セシリアには幸せになってもらいたい。
◇◇
「ララ嬢……。今更だが、ここでもこう呼んでいいか?」
「ええ。勿論ですわ。その偽名は気に入っていますので、ぜひ〝ララ〟とお呼び下さい」
セシリアが帰った後、私はマクラーレン様と二人でお茶をしている。
マクラーレン様は今日と明日は仕事がお休みらしく、この別邸に泊まるらしい。
「ララ嬢も、私のことは〝ルイス〟と名前で呼んでくれないか?」
「……私がですか?」
突然、名前で呼んで欲しいと言われた私は、驚きのあまり拍子抜けしたような表情になっていたと思う。
「ああ。ずっと家名で呼ばれていたが、君と一緒に暮らしている祖母もマクラーレンだし、ややこしいと思うんだ。
……ダメだろうか?」
「今の私は平民です。公爵令息であるマクラーレン様を名前で呼ぶのは恐れ多いですわ」
「身分は関係ない。私達は友達だろう?
私は君に名前で呼んで欲しい。家名呼びは、何だか距離を置かれているようで嫌なんだ」
美形のマクラーレン様が、真っ直ぐな瞳で見つめてくる。
私は思った以上に美形に弱いらしい……
「では……、二人でいる時だけ名前で呼ばせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「いいのか? ありがとう」
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