巻き戻り令嬢は長生きしたい。二度目の人生はあなた達を愛しません

せいめ

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一度目の話

異例の早さでの結婚

 ブレア公爵令息との婚約は、王命での婚約なだけあって、とんとん拍子に話が進んでいく。
 私達の婚約が発表されると、一ヶ月後には婚約式も行うことになった。

 殿下と婚約解消したばかりであったので、私は身内だけのささやかな式を望んでいたのだが、ブレア公爵令息や国王陛下・王妃殿下達は、盛大にやるべきだと言われ、急であるにも関わらず、国内一の教会に予約を入れて、ドレスは王妃殿下のデザイナーが急ぎで製作してくれることになった。
 この婚約は、国王陛下と王妃殿下が祝福しているものなのだから、他の貴族は口を挟むなという牽制が込められているのだと思う。

 その結果、王太子殿下との婚約が解消された気の毒な傷物令嬢というような扱いをされることはなかったのだが、話が進むのが早すぎて、私自身がついていくのがやっとだった。



「シア。婚約式が終わったら、君にはなるべく早く公爵家に引っ越して来て欲しいと思っている。
 うちの両親が、婚姻前に公爵家のことを色々と教えたいと張り切っているし、私も早くシアと一緒に生活して、君と仲を深めたいと思っているんだ。」

 公爵夫人になるには、覚えなければならないことが沢山あるのは知っているけど、まだ婚約したばかりなのに…。

 きっと、再来年に結婚予定である王太子殿下のために、元婚約者の私を早く片付けておきたいのだろう。
 輿入れしてくる隣国の王女殿下だって、元婚約者の私が相手がいない状態でいたら、きっと気になるだろうから。

 そう考えると惨めね…

「分かりました。両親と相談してみます。」


 婚約式には、お互いの親族や友人、この国の伯爵家以上の家門を招待し、国王陛下と王妃殿下まで来てくれて、盛大に行われた。

 婚約式の数日後、私はブレア公爵家に引っ越しをすることになる。

 この縁談に前向きだった両親は、笑顔で私を送り出してくれたが、義兄だけは何を考えているのか、最後まで無表情のままであった。

 公爵家では、義理の両親になるブレア公爵と夫人が温かく迎えてくれる。ずっと婚約者を決めようとはせず、結婚する意思もなかった息子がやっと婚約出来たことが嬉しいと言っていた。
 公爵夫人としての勉強は、今まで厳しい王妃教育をしてきたこともあって、特に何の問題もなかったと思う。


「アナ、さすが王妃殿下が太鼓判を押すだけあって、貴女は優秀ね。こんなに可愛くて素晴らしい御令嬢がうちに嫁いでくれるなんて、アルは幸せよ!」

「そうだな。さすが名門コールマン家の御令嬢だ。
 私達は婚姻が済んだら、すぐにアルに爵位を継がせて、別邸に引っ越す予定だから、2人で新婚生活を楽しむのだよ。」

「父上、母上。そろそろ私はシアと二人の時間を過ごしたいので失礼させて頂きますね。
 シア、うちの両親は話が長いから疲れただろう?そろそろ行こう!」

「まあ!アルはアナを独り占めしたいからって、見苦しいわね。」

「仲がいいのだから、いいじゃないか。
 アナ、あまりアルがしつこい時は、私が妻に知らせるのだよ。」

「シア、二人は放って行こう!」

「お義父様・お義母様、ありがとうございました。
 失礼致します。」

 ブレア公爵令息は、公爵家の中で一緒にいる時は常に私の手を繋いでくる。
 王命での婚約だったけど、嫌われてはないと思うし、仲良くしてくれるってことよね?
 いつも優しくしてくれるし、二人の時間を大切にしてくれているのが伝わってくる。
 この人なら、きっと素晴らしい夫になってくれるだろう。


 公爵家に引っ越して、三か月後には結婚を迎える。
 国王陛下と王妃殿下、ブレア公爵家まで早く婚姻した方がいいと強く望まれ、私の両親も同意したからだ。
 普通なら婚約期間はどんなに短くても一年くらいはとるはずはのに、異例の早さでの結婚だった。


 盛大な結婚式を挙げて、初夜を迎える。
 

「シア…、優しくしたいとは思っているのだが、我慢出来そうにない。
 君の全てを貰うことを許してくれ…。」

「…はい。」

 閨については本で勉強はしてきたが、細かいことは男性に任せるようにと習ってきた。

 とても緊張したが……

 旦那様は一晩中、眠らせてはくれなかった。



 

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