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二度目の話
閑話 義兄 ルーク
私は12歳の時に名門のコールマン侯爵家に養子として迎えられた。
コールマン侯爵家で家族を紹介された時、そこには小さな妖精のような女の子がいた。
私の瞳の色によく似たブルーダイヤのような目…、いや、あの透き通るような綺麗な青い瞳はブルートパーズの色か?クリクリの大きな目に、美しいハニーブロンドの髪、色白の綺麗な肌にピンクの小さな唇。
とっても愛らしくて、大きくなったら、私の義母のような美女になるのだろうと思わせるような容姿の義妹だった。
私は初めて顔を合わせた義妹が可愛すぎて、緊張してしまったことを覚えている。
そんな可愛い義妹と仲良くなりたいと思った私だったが、今まで小さな令嬢と関わったことのない私は、どうやって仲良くしていいのかが分からなかった。
勉強も剣術も、マナーにダンスも、貴族令息として必要なことは何の苦労もなく簡単に出来ていた私が、まさか義妹と仲良くなる術が分からずに、こんなに苦労することになるとは考えたこともなかった。
気がつくと、義妹とは仲良くなることが出来ないまま、時間だけが過ぎていく。
仲良くなるきっかけもなく、アナからは壁のようなものを感じていた13歳のある日のことだった。
風邪をひきやすいアナは、数日間、熱を出して寝込んでいたのだが、そのアナが、突然私の部屋に駆け込んで来たのだ。
寝起きで、そのまま私の部屋にやって来たのだろうと思われるアナは、私の顔を見ると、涙をボロボロ流す。
何があったのだ…?
アナが私の部屋に来ることも、こんな風に取り乱している姿を見ることも初めてのことだと思う。
そんなアナは、泣きながら私に謝るのであった。
「お、お義兄様!優しいお義兄様に、今まで冷たくしてごめんなさい。
本当はお義兄様と仲良くしたかったのです。
……っ、こ、こんな私ですが、これからもよろしくお願いします。」
その後すぐに、アナの専属メイドがやって来て、アナが熱でうなされて怖い夢を見て、パニックを起こしてしまったことを教えてくれた。
そこまで風邪をこじらせていたのか。こんな小さな体で可哀想に…。
アナは自分が死ぬ夢をみて、夢の中で私と別れることが悲しかったと話す。
そして、これからは私と仲良しの義兄妹になりたいと言ってくれたのだ。
私もずっとアナと仲良くしたいと思っていた。
だから、アナから言われた言葉は私にとって、とても嬉しいものであった…
そんな私は迷わずにアナに伝えた。
〝私達は二人だけの義兄妹なのだから、これからは仲良くしよう〟と。
アナと仲良くなってから、毎日が楽しくなった。
明かりのない暗くて寒い部屋から、太陽の光が差し込む暖かい部屋にやって来たかのような日々。
まだまだ先の話だが、私はこの可愛い義妹が嫁ぐ日に、正気を保っていられるのだろうか…。
アナはあの日から、性格が少し変わったような気がする。
まだ10歳の令嬢にしては、大人びた現実的なことを口にするし、基本はおっちょこちょいだが、実年齢より落ち着いた雰囲気になったような…
勉強だってそこまでやっていないし、自分から好き好んで学習するような子ではないのに、難しい外国語を流暢に話すことが出来たりと、とても不思議だった。
そして時に、何かを思い詰めたような表情をするのだ。
まだ10歳の少女が何を悩むと言うのか?それとなく探りを入れようとするが、アナは話したがらない。
話したくないことを無理には聞けないが、いつかアナが話してくれる日が来るのを待つことにしよう。
そして、その頃から私は、夢を見ることが多くなった。
死にそうになるアナを私が看病している夢だったり、アナが望まない結婚でこの邸を離れる夢。
また違う日には、アナの葬儀をする夢や、義両親が泣き崩れている夢も見た。
こんな不吉な夢を見ているなんて、誰にも言えなかった。
そう言えば、アナも自分が死ぬ夢を見たとか言っていた。
これは、この先に起こる未来を見ているのか?しかし、こんな夢なんかを信じていいものか…
だが…、アナは私の最愛の義妹だ。
私はこの小さな可愛い義妹を、守っていくと強く心に決めたのであった。
コールマン侯爵家で家族を紹介された時、そこには小さな妖精のような女の子がいた。
私の瞳の色によく似たブルーダイヤのような目…、いや、あの透き通るような綺麗な青い瞳はブルートパーズの色か?クリクリの大きな目に、美しいハニーブロンドの髪、色白の綺麗な肌にピンクの小さな唇。
とっても愛らしくて、大きくなったら、私の義母のような美女になるのだろうと思わせるような容姿の義妹だった。
私は初めて顔を合わせた義妹が可愛すぎて、緊張してしまったことを覚えている。
そんな可愛い義妹と仲良くなりたいと思った私だったが、今まで小さな令嬢と関わったことのない私は、どうやって仲良くしていいのかが分からなかった。
勉強も剣術も、マナーにダンスも、貴族令息として必要なことは何の苦労もなく簡単に出来ていた私が、まさか義妹と仲良くなる術が分からずに、こんなに苦労することになるとは考えたこともなかった。
気がつくと、義妹とは仲良くなることが出来ないまま、時間だけが過ぎていく。
仲良くなるきっかけもなく、アナからは壁のようなものを感じていた13歳のある日のことだった。
風邪をひきやすいアナは、数日間、熱を出して寝込んでいたのだが、そのアナが、突然私の部屋に駆け込んで来たのだ。
寝起きで、そのまま私の部屋にやって来たのだろうと思われるアナは、私の顔を見ると、涙をボロボロ流す。
何があったのだ…?
アナが私の部屋に来ることも、こんな風に取り乱している姿を見ることも初めてのことだと思う。
そんなアナは、泣きながら私に謝るのであった。
「お、お義兄様!優しいお義兄様に、今まで冷たくしてごめんなさい。
本当はお義兄様と仲良くしたかったのです。
……っ、こ、こんな私ですが、これからもよろしくお願いします。」
その後すぐに、アナの専属メイドがやって来て、アナが熱でうなされて怖い夢を見て、パニックを起こしてしまったことを教えてくれた。
そこまで風邪をこじらせていたのか。こんな小さな体で可哀想に…。
アナは自分が死ぬ夢をみて、夢の中で私と別れることが悲しかったと話す。
そして、これからは私と仲良しの義兄妹になりたいと言ってくれたのだ。
私もずっとアナと仲良くしたいと思っていた。
だから、アナから言われた言葉は私にとって、とても嬉しいものであった…
そんな私は迷わずにアナに伝えた。
〝私達は二人だけの義兄妹なのだから、これからは仲良くしよう〟と。
アナと仲良くなってから、毎日が楽しくなった。
明かりのない暗くて寒い部屋から、太陽の光が差し込む暖かい部屋にやって来たかのような日々。
まだまだ先の話だが、私はこの可愛い義妹が嫁ぐ日に、正気を保っていられるのだろうか…。
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勉強だってそこまでやっていないし、自分から好き好んで学習するような子ではないのに、難しい外国語を流暢に話すことが出来たりと、とても不思議だった。
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話したくないことを無理には聞けないが、いつかアナが話してくれる日が来るのを待つことにしよう。
そして、その頃から私は、夢を見ることが多くなった。
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