元アラサー転生令嬢と拗らせた貴公子たち

せいめ

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マリーベル編〜楽しく長生きしたい私

悪役令嬢にならないぞ

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 いきなりお父様の執務室に突撃したのに、怒るどころか、嬉しそうにニコニコしているイケメン父。
 機嫌も悪くなさそうだし、今聞いてみよう。

「お父様、私は婚約者っているのでしょうか?」

「マリーには婚約者はいないよ。まだ必要ないでしょ。」

「本当ですか?良かったー!」

「急にどうしたのかな?」

 やっぱりそれは聞きますよねー。

「お父様が大好きなので、お父様みたいな人と結婚したいのです。なので婚約者は要らないと思いまして。」

 上目遣いでお父様に訴えてみた!アラサーだけど、許して!

「マリー!!」

 イケメン父は破顔して、私を抱きしめたのだった。そして、心配性のアラサーは念を押す。

「お父様、この先も私に黙って婚約者を決めることはしないで欲しいのです。大好きなお父様にそんなことをされたら、マリーは悲しいので。」

「もちろんだ。約束しよう。マリーが素敵な御令嬢になるまでは、勝手に話は進めないよ。」

 よし!しばらく大丈夫そうね。

「お父様とお母様みたいな夫婦になりたいので、お父様みたいな素敵な紳士が現れるまで待ってくださいね。」

 イケメン父は更に破顔して、私を抱きしめたのだった。

 婚約者の件はとりあえず、オッケーね。後は、悪役令嬢にならない為に、みんなと仲良くすることね。まずは使用人の人達を困らせず、大切にしよう。そうすれば、何かあって家を追い出されそうになった時に、助けてくれるかも!

 私はさっそく、邸の使用人達に毎日の挨拶とお礼を忘れずに伝えることにし、一人ひとりの名前と、その人の仕事内容を覚えるようにした。すると、割とみんな友好的に接してくれるようになってきた気がする。前は、病弱な可哀想な御令嬢に遠慮して、一歩引いている感じだったので、嬉しいな。

 あっ!いざと言う時に、一人でも生きていけるように色々と手に職をつけないと。ああっ!体が強くないと何もできないから、やっぱり健康的な生活習慣にしないとね。
 とりあえず学がないとね。毎日、図書室で勉強ね。それと、魔法が使えないとダメね。よし、魔法関連の本を読み漁ってみるか!

 やる事が沢山あるけど、今から準備しておけば、何とかなるでしょ。

 朝晩の散歩を本格的なウォーキングにして、徐々に体力がついて来た頃に、ジョギングに変更し、健康ボディーを目指す私。ストレッチもしないとね。あっ、腹筋とスクワットもしとくか!そして、健康と美容の為に野菜たっぷりの食事ね。まさに婚活アラサーばりの生活を心がけた。

 そして、図書室で自主学習と読書!いずれは学園に入学するから、首席を目指してがんばろう!って思い、お母様が学園時代に使用していた教科書を見つけたので、それを使って勉強するが…。あれっ?何で内容を知っているのかな?うーむ。これって、前世で言うと高校生レベルだよね?何で頭に入ってるんだろう?もしかして、転生者チートとか!ラッキーじゃない!だったら、その他に将来のことを考えて、外国語を勉強しようか?もし、乙女ゲームの世界で国外追放されたら大変だし、それが無くても、食材探しの旅にも行きたいしね。

 外国語の本を読むが、やっぱり発音は直接聞いてて覚えたいなぁ。
 魔法も、生活の火をつけたり、飲み水を出すのは簡単だけど、どうせなら戦える位になりたい。断罪されて、殺されたくないから、ある程度は強くないとね。剣術も必要?あっ!乗馬も出来ないと、いざと言う時に逃げれないよね?今から訓練すれば、多少は使えるようにならないかな?覚えることが沢山あり過ぎて、自分の努力だけでは困難だわ。
 本格的にやるなら、独学よりも先生に教えて貰った方がいいよね?お父様に頼んでみる?
 
 この前のように急に突撃するのは、侯爵令嬢としてよろしくないので、まずは家令のセバスチャンに、お願いしたいことがあるので、お父様にお会いしたいと伝えた。すると数分後にすぐに時間をつくってくれたのだ。

 お父様の執務室に行くと、ニコニコして待ってくれていた。相変わらず、愛情表現が豊かなイケメン父ね。よし!交渉してみるか!

「お父様、お忙しいところ、お時間ありがとうございます。実はお父様に、お願いしたい事があるのです。」

 前回同様に上目遣いで訴えてみる。あざといけど、一応、6歳の美少女なんだからいいよね。

「マリーがお願いなんて、珍しいね。何か欲しい物でもあるのかな?言ってごらん。」

「あの、色々と学びたい事がありまして、家庭教師をつけて欲しいのです。」

 お父様とセバスチャンが嬉しそうだ。

「マリー、自ら学ぼうとするなんて、素晴らしい事だよ!ダンスかな?刺繍かな?音楽かな?」

 やっぱりそう思うよねー。

「それが、その…この国の周辺の外国語と、魔法と、馬術と、あっ、剣術もとりあえず学びたいのです。」

 お父様とセバスチャンが沈黙する。

「駄目でしょうか?どうしても覚えてみたくて。ダンスも刺繍も音楽も頑張りますから。」

「マリーがそこまで言うなら、お父様が優秀な先生を探してあげよう。そのかわり、しっかり頑張りなさい。」

「いいのですか?ありがとうございます。私、精一杯頑張って、強くなって、お父様とお母様を守れるようになりますね。」

 私は嬉しくなり、ルンルンしてお父様の執務室を出て行くのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

マリーベルが退出した後の執務室にて


「マリーは将来、冒険者とか女騎士にでもなりたいのだろうか?元気なのは嬉しいけどね。」

「以前と比べて、明るくて元気になったので喜ばしい事であると思います。」
「そう言えば、お嬢様付きのメイドが言っていたのですが、図書室に置いてあった、奥様の貴族学園の教科書を読んで理解していたようだと報告がありましたが。」

「…えっ?それは本当かい?だってマリーはまだ6歳だよ!」

「詳しくはメイドを呼んで、聞いてみた方がよいかと。」

「すぐに呼んでくれるか?もし本当なら、講師の先生もそのレベルの人材を揃えないといけないだろう。」

「畏まりました。」




 
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