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南国へ国外逃亡できたよ
怒りのお兄様
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学園を卒業して、文官の試験に合格した私。長期休暇が終われば、王宮で文官の仕事が始まる予定だ。
しかし、ここで大きく揉めていることがある。それは、寮に入るつもりで、入寮を申し込もうとしていたら、家族から大反対されたことだ。特に煩いお兄様が反対している。
「早期で学園を卒業したことまでは嬉しかった。マリアが優秀なのが証明されたようで、我が伯爵家の誉れだと思ったからな。でも優秀だからと文官の試験まで受けて、合格したと聞いたら、家を出て寮に入るだと?そんなの許すわけないだろう。文官になるのも私は反対なのだからな。文官で働かなくても、うちは生活に困ってないし、働きたいなら、うちの伯爵家の領地経営でも父上から学べばいい。文官で働くということは、毎日登城するってことだぞ!あそこは令嬢が働くには危険過ぎる。マリアは世間知らずで何も知らないから、私は心配なんだ。今からでも働くのを辞退してもいいくらいだ!」
今日も口煩いお兄様は絶好調らしい。
「大体、父上も母上も、恐らく知っていたであろう殿下まで、何でマリアが文官の試験を受けることを、私に教えてくれなかったのです?こんな大事なことを私に言わないなんて、あまりにも不自然ですよね?」
怒りの矛先がお父様とお母様にも向かったらしい。
「エルはマリアの事になると、何でも煩いからでしょ?心配だって言って、何もさせないのも可哀想よ。せっかくここまで頑張って来たのに。それにこの前のお茶会でね…、王妃殿下からマリアに期待しているって言って頂けたのよ!令嬢で最年少の文官だって言ってくれたわ。もう、嬉しくなっちゃったわ。うちの娘を知っていてくれていたなんてね。でも、寮に入るのはお母様も反対よ。うちの可愛い娘を、あんな寮になんて入れられないわ。マリア、そこは分かってね。」
「お父様も寮は反対だな。働くのは許すけど、うちの娘なのだから、これからも邸で生活して欲しい。マリアはエルが口煩くてしつこいから、邸を出たくなったのかもしれないけど、余りに酷い時はエルを騎士団の寮に入れるから許して欲しい。エルはあまり口煩いと、マリアに嫌われるぞ!」
お兄様を騎士団の寮に入れるだって?跡取りなのに、お父様はお兄様の扱いが雑だよね。
「そうなのよねー!マリアに対してやたら煩いのよ!文官は殆どが令息ばかりで、心配なのは分かるけど、心配だからってマリアを仕舞っておく訳にはいかないんだから我慢しなさい。本当にシスコンねぇ。」
「誰がシスコンです?妹を心配しているだけのことではないですか!マリアも私が口煩いからと言わなかったのだな!」
はい、そうですと言いたいが、
「多忙で心配症なお兄様には、心が痛んで言えなかったのですわ。申し訳ありませんでした。お父様やお母様のおっしゃる通りにしますわ。寮はやめます。しかし、お兄様が婚約や結婚となった時は、寮に入りますわ。煩い小姑がいては、奥様になられるお方がかわいそうですから。それだけはお許しください。」
「…だそうよ?エル、分かった?」
「煩い小舅になりそうなのは、むしろエルの方だと思うが…。マリアはそんな事を心配しなくて大丈夫だ。もしそんな事があったら、お父様とお母様が、マリアに別邸を買ってあげるから。」
「そうねー。それがいいわね!マリアは何の心配もいらないわよ。むしろエルは、自分がいつ結婚できるのかの心配をしなさいね。」
「なぜ私の結婚の話なのです?もしそんな事があっても、マリアと一緒に住むことに了承してくれる人と結婚するので、大丈夫です。」
げっ!何言ってんのよ?新婚を邪魔するほど私は暇じゃないの。
「いえいえ!新婚を邪魔したくないので、私のことはお気になさらず。」
そんな家族会議?をして、残念だが寮は諦める事になった。
長期休暇中は、リーナ達とお茶に出掛けたり、お母様とお茶会に行ったりしていたら、あっという間に過ぎて行った。
そして今日から登城して文官として働く。文官の制服は、王家の紋章が入ったブローチの着いた、ネイビーの上品なロングワンピだ。うん、新鮮だわね。メイド達がかなり張り切ってくれたおかげで、髪はサラ艶、爪まで綺麗に磨かれていた。
お父様とお母様に見送らせて、馬車で出発する私。そして当たり前のように、隣にはお兄様がいる。お兄様は、勤務の時間が合う時と、お兄様が休みの日は、私の部署まで送り迎えをすると言う。
ははっ!学園時代より更に自由がなくなった?一応は、断ったんだよ。馬車は一緒なのはしょうがないとして、馬車からは1人で自分の部署まで行けるとね。でもお兄様は、折れなかった。
「馬車を降りて、歩いている時が1番危険なんだ!マリアは、何も分かってないから余計に危ない。だから、行きはマリアの部署まで送るし、帰りは私が行くまでそこで待ってろ!残業は入れないように殿下には言ってあるから大丈夫だ!」
安全なはずの王宮に魔物でも出るのかよ!
うーん?私って職場の中の託児所に預けられている子供みたいじゃん。託児所なんてこの世界にないけどさ。ぜひ、残業してきてよ。私だって1人で歩きたいこともあるんだから。
コリンズ卿は、殿下の護衛よりも、溺愛する妹の護衛の方が忙しいようだと、すぐに近衛騎士達の間で噂になるのであった。
しかし、ここで大きく揉めていることがある。それは、寮に入るつもりで、入寮を申し込もうとしていたら、家族から大反対されたことだ。特に煩いお兄様が反対している。
「早期で学園を卒業したことまでは嬉しかった。マリアが優秀なのが証明されたようで、我が伯爵家の誉れだと思ったからな。でも優秀だからと文官の試験まで受けて、合格したと聞いたら、家を出て寮に入るだと?そんなの許すわけないだろう。文官になるのも私は反対なのだからな。文官で働かなくても、うちは生活に困ってないし、働きたいなら、うちの伯爵家の領地経営でも父上から学べばいい。文官で働くということは、毎日登城するってことだぞ!あそこは令嬢が働くには危険過ぎる。マリアは世間知らずで何も知らないから、私は心配なんだ。今からでも働くのを辞退してもいいくらいだ!」
今日も口煩いお兄様は絶好調らしい。
「大体、父上も母上も、恐らく知っていたであろう殿下まで、何でマリアが文官の試験を受けることを、私に教えてくれなかったのです?こんな大事なことを私に言わないなんて、あまりにも不自然ですよね?」
怒りの矛先がお父様とお母様にも向かったらしい。
「エルはマリアの事になると、何でも煩いからでしょ?心配だって言って、何もさせないのも可哀想よ。せっかくここまで頑張って来たのに。それにこの前のお茶会でね…、王妃殿下からマリアに期待しているって言って頂けたのよ!令嬢で最年少の文官だって言ってくれたわ。もう、嬉しくなっちゃったわ。うちの娘を知っていてくれていたなんてね。でも、寮に入るのはお母様も反対よ。うちの可愛い娘を、あんな寮になんて入れられないわ。マリア、そこは分かってね。」
「お父様も寮は反対だな。働くのは許すけど、うちの娘なのだから、これからも邸で生活して欲しい。マリアはエルが口煩くてしつこいから、邸を出たくなったのかもしれないけど、余りに酷い時はエルを騎士団の寮に入れるから許して欲しい。エルはあまり口煩いと、マリアに嫌われるぞ!」
お兄様を騎士団の寮に入れるだって?跡取りなのに、お父様はお兄様の扱いが雑だよね。
「そうなのよねー!マリアに対してやたら煩いのよ!文官は殆どが令息ばかりで、心配なのは分かるけど、心配だからってマリアを仕舞っておく訳にはいかないんだから我慢しなさい。本当にシスコンねぇ。」
「誰がシスコンです?妹を心配しているだけのことではないですか!マリアも私が口煩いからと言わなかったのだな!」
はい、そうですと言いたいが、
「多忙で心配症なお兄様には、心が痛んで言えなかったのですわ。申し訳ありませんでした。お父様やお母様のおっしゃる通りにしますわ。寮はやめます。しかし、お兄様が婚約や結婚となった時は、寮に入りますわ。煩い小姑がいては、奥様になられるお方がかわいそうですから。それだけはお許しください。」
「…だそうよ?エル、分かった?」
「煩い小舅になりそうなのは、むしろエルの方だと思うが…。マリアはそんな事を心配しなくて大丈夫だ。もしそんな事があったら、お父様とお母様が、マリアに別邸を買ってあげるから。」
「そうねー。それがいいわね!マリアは何の心配もいらないわよ。むしろエルは、自分がいつ結婚できるのかの心配をしなさいね。」
「なぜ私の結婚の話なのです?もしそんな事があっても、マリアと一緒に住むことに了承してくれる人と結婚するので、大丈夫です。」
げっ!何言ってんのよ?新婚を邪魔するほど私は暇じゃないの。
「いえいえ!新婚を邪魔したくないので、私のことはお気になさらず。」
そんな家族会議?をして、残念だが寮は諦める事になった。
長期休暇中は、リーナ達とお茶に出掛けたり、お母様とお茶会に行ったりしていたら、あっという間に過ぎて行った。
そして今日から登城して文官として働く。文官の制服は、王家の紋章が入ったブローチの着いた、ネイビーの上品なロングワンピだ。うん、新鮮だわね。メイド達がかなり張り切ってくれたおかげで、髪はサラ艶、爪まで綺麗に磨かれていた。
お父様とお母様に見送らせて、馬車で出発する私。そして当たり前のように、隣にはお兄様がいる。お兄様は、勤務の時間が合う時と、お兄様が休みの日は、私の部署まで送り迎えをすると言う。
ははっ!学園時代より更に自由がなくなった?一応は、断ったんだよ。馬車は一緒なのはしょうがないとして、馬車からは1人で自分の部署まで行けるとね。でもお兄様は、折れなかった。
「馬車を降りて、歩いている時が1番危険なんだ!マリアは、何も分かってないから余計に危ない。だから、行きはマリアの部署まで送るし、帰りは私が行くまでそこで待ってろ!残業は入れないように殿下には言ってあるから大丈夫だ!」
安全なはずの王宮に魔物でも出るのかよ!
うーん?私って職場の中の託児所に預けられている子供みたいじゃん。託児所なんてこの世界にないけどさ。ぜひ、残業してきてよ。私だって1人で歩きたいこともあるんだから。
コリンズ卿は、殿下の護衛よりも、溺愛する妹の護衛の方が忙しいようだと、すぐに近衛騎士達の間で噂になるのであった。
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