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ディナーのお誘い
体調が良くなり、公爵家での生活にも慣れてきた頃、旦那様からディナーのお誘いがある。
初夜の後に体調を崩していた私は、ずっと自分の部屋で食事をしていたので、公爵家に嫁いできてから旦那様と食事をご一緒するのは今日が初めてのことだ。
まさか旦那様と食事を一緒にする日が来るとは思っていなかった。私に大切な話でもあるのかもしれない。
それとも、食事の席で愛人でも紹介されるのかしら……
そんな私の心の内を察したのか、アンナは私に魔法を掛けるように美しくヘアメイクしてくれた。
ドレスやアクセサリー類は両親が沢山持たせてくれたので、その中から私の瞳の色と同じ、水色の可憐なデザインのドレスを選ぶ。
「奥様は公爵夫人なのですから、この邸の使用人たちに侮られないように、バッチリ準備させていただきましたわ。
奥様。とても美しいです!」
「ありがとう。アンナの苦労が無駄にならないように頑張ってくるわ。」
約束の時間になると旦那様が私の部屋まで迎えに来て、ダイニングまでエスコートしてくれると言う。
そこまでしてくれるとは思っていなかった私は、驚きが顔に出てしまっていたかもしれない。
愛のない結婚でも、夫として最低限の義務は果たそうとしてくれているのかしら?
未だにこの人のことはよく分からないけど、根は真面目な方のようだ。
記憶喪失になる前の私は、この旦那様とどのような付き合いをしていたのかしら……
ダイニングに入ると、大きなテーブルには二人分のカトラリーが準備してある。
「……どうかしたか?」
「食事は私達二人だけですか?」
「私達二人で住んでいるのだから、食事は二人きりになるが……、嫌だったか?」
「いえ。大丈夫です。」
愛人でも紹介されるのかと思っていたけど、今日は二人きりで食事するようだ。
しかし、二人きりでまともに話なんてしてこなかった旦那様と私に会話が成り立つはずはなく、居心地が悪く感じてしまう。
そんな雰囲気の中で食べる食事は、ご馳走であったにも関わらず、あまり美味しくは感じられなかった。
「アリエル、もう食べないのか?」
「どの料理もとても素晴らしいのですが、お腹いっぱいになってしまいました。」
「まだ体調が戻らないのか?
たくさん食べないと、いつまでも元気になれないぞ。」
旦那様は私に無関心だと思っていたから、そんなことをいわれるとは思わなかった。
「元々、食は細い方でしたの。体調はもう大丈夫です。ご心配をおかけしました。
ところで旦那様……、元気になりましたのでそろそろ領地の方に向かってもよろしいでしょうか?」
「…………」
どうして無言になるのかしら?
結婚初夜に領地で自由にしていいって言っていたのは旦那様のはず……
言われた時は少し傷付いたけど、領地に行くということは社交をする必要はないということだから、それはそれでいいかと思っていたのに。
「あの……、旦那様?」
「実は領地の邸は建物が古くて、今はリフォーム中なんだ。もうしばらくかかるらしい。
申し訳ないが、しばらくはこの邸で我慢してくれないか?
勿論、君が不便な思いをしないように細心の注意を払うようにする。
欲しいものや必要なものは何でも買ってもいい。
君が行きたい所があるなら、希望に沿うようにしたい。」
まだこの邸で生活しなければならないのね。
でもリフォーム中なら仕方がないし、旦那様がそこまで言ってくれているのに、嫌とは言えない。
愛はなくても気を遣ってくれているのは伝わってくる。
「分かりました。では、リフォームが終わったら教えて下さい。」
私のその言葉を聞いて、ホッとした顔をする旦那様。
「……良かった。
せっかく体調が良くなって来たなら、二人でどこかに出掛けないか?
どこか行きたいところがあるなら連れて行く。」
夫と二人で出掛けるですって?
私はそんなことは望んでいないし、旦那様の大切な人に悪いから、必要以上に親しくするつもりもない。
「旦那様はお忙しいと聞いています。お気持ちだけいただきますわ。
もし外出をお許し頂けるなら、教会に行かせてもらってもよろしいでしょうか?
メイドと護衛を連れて一人で行ってきますから。」
「教会……? 何をしに行く?
うちからは教会にたくさん寄付をしているから、君がわざわざ行く必要はないが。」
「ただお祈りに行きたいだけですが、お許し頂けませんか?
すぐに帰って来ますから。」
「……祈りに行きたいだって?」
教会に祈りに行くことは、誰でもする普通のことだと思っていた。それなのに旦那様の表情は苦痛に歪んでいる。
「やはりダメでしょうか?」
「……分かった。そのかわり護衛は沢山付けさせてもらう。君は公爵夫人なのだからな。」
護衛という見張りをたくさん付けると言うことなのね……
「ありがとうございます。
早速、明日行かせていただきます。」
「気をつけていくように。」
「はい。」
初夜の後に体調を崩していた私は、ずっと自分の部屋で食事をしていたので、公爵家に嫁いできてから旦那様と食事をご一緒するのは今日が初めてのことだ。
まさか旦那様と食事を一緒にする日が来るとは思っていなかった。私に大切な話でもあるのかもしれない。
それとも、食事の席で愛人でも紹介されるのかしら……
そんな私の心の内を察したのか、アンナは私に魔法を掛けるように美しくヘアメイクしてくれた。
ドレスやアクセサリー類は両親が沢山持たせてくれたので、その中から私の瞳の色と同じ、水色の可憐なデザインのドレスを選ぶ。
「奥様は公爵夫人なのですから、この邸の使用人たちに侮られないように、バッチリ準備させていただきましたわ。
奥様。とても美しいです!」
「ありがとう。アンナの苦労が無駄にならないように頑張ってくるわ。」
約束の時間になると旦那様が私の部屋まで迎えに来て、ダイニングまでエスコートしてくれると言う。
そこまでしてくれるとは思っていなかった私は、驚きが顔に出てしまっていたかもしれない。
愛のない結婚でも、夫として最低限の義務は果たそうとしてくれているのかしら?
未だにこの人のことはよく分からないけど、根は真面目な方のようだ。
記憶喪失になる前の私は、この旦那様とどのような付き合いをしていたのかしら……
ダイニングに入ると、大きなテーブルには二人分のカトラリーが準備してある。
「……どうかしたか?」
「食事は私達二人だけですか?」
「私達二人で住んでいるのだから、食事は二人きりになるが……、嫌だったか?」
「いえ。大丈夫です。」
愛人でも紹介されるのかと思っていたけど、今日は二人きりで食事するようだ。
しかし、二人きりでまともに話なんてしてこなかった旦那様と私に会話が成り立つはずはなく、居心地が悪く感じてしまう。
そんな雰囲気の中で食べる食事は、ご馳走であったにも関わらず、あまり美味しくは感じられなかった。
「アリエル、もう食べないのか?」
「どの料理もとても素晴らしいのですが、お腹いっぱいになってしまいました。」
「まだ体調が戻らないのか?
たくさん食べないと、いつまでも元気になれないぞ。」
旦那様は私に無関心だと思っていたから、そんなことをいわれるとは思わなかった。
「元々、食は細い方でしたの。体調はもう大丈夫です。ご心配をおかけしました。
ところで旦那様……、元気になりましたのでそろそろ領地の方に向かってもよろしいでしょうか?」
「…………」
どうして無言になるのかしら?
結婚初夜に領地で自由にしていいって言っていたのは旦那様のはず……
言われた時は少し傷付いたけど、領地に行くということは社交をする必要はないということだから、それはそれでいいかと思っていたのに。
「あの……、旦那様?」
「実は領地の邸は建物が古くて、今はリフォーム中なんだ。もうしばらくかかるらしい。
申し訳ないが、しばらくはこの邸で我慢してくれないか?
勿論、君が不便な思いをしないように細心の注意を払うようにする。
欲しいものや必要なものは何でも買ってもいい。
君が行きたい所があるなら、希望に沿うようにしたい。」
まだこの邸で生活しなければならないのね。
でもリフォーム中なら仕方がないし、旦那様がそこまで言ってくれているのに、嫌とは言えない。
愛はなくても気を遣ってくれているのは伝わってくる。
「分かりました。では、リフォームが終わったら教えて下さい。」
私のその言葉を聞いて、ホッとした顔をする旦那様。
「……良かった。
せっかく体調が良くなって来たなら、二人でどこかに出掛けないか?
どこか行きたいところがあるなら連れて行く。」
夫と二人で出掛けるですって?
私はそんなことは望んでいないし、旦那様の大切な人に悪いから、必要以上に親しくするつもりもない。
「旦那様はお忙しいと聞いています。お気持ちだけいただきますわ。
もし外出をお許し頂けるなら、教会に行かせてもらってもよろしいでしょうか?
メイドと護衛を連れて一人で行ってきますから。」
「教会……? 何をしに行く?
うちからは教会にたくさん寄付をしているから、君がわざわざ行く必要はないが。」
「ただお祈りに行きたいだけですが、お許し頂けませんか?
すぐに帰って来ますから。」
「……祈りに行きたいだって?」
教会に祈りに行くことは、誰でもする普通のことだと思っていた。それなのに旦那様の表情は苦痛に歪んでいる。
「やはりダメでしょうか?」
「……分かった。そのかわり護衛は沢山付けさせてもらう。君は公爵夫人なのだからな。」
護衛という見張りをたくさん付けると言うことなのね……
「ありがとうございます。
早速、明日行かせていただきます。」
「気をつけていくように。」
「はい。」
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