15 / 67
真実 2
両親も兄も苦悶の表情を浮かべている。私に対して心から申し訳ないと思っているのだろう。
「今さら謝罪していただいても、失ったものは戻りませんわ……
ところで、なぜ私がヴィーに陥れられたと分かったのでしょう?
ヴィーはよく話していましたわ。自分がいかに義両親や義兄から可愛がられているかということを。
王太子妃教育も大変だけど頑張ると言ってましたし、明るくて華やかで美しいヴィーが私なんかを落とし入れる必要などないと思うのですが。」
「アリエル……、それは私が気付いてしまったからだ。」
「旦那様は何に気付いたのでしょう?」
私からの問いに旦那様の表情が一層険しくなる。
「あの女は、君と私の婚約が決まった時に私に接触してきた。
そしてこう言ったんだ……
〝お義姉様は体調が悪く食欲が落ちている。
本人は記憶喪失だから気づいていないようだが、もしかしたらあの男との子供を妊娠しているのかもしれない〟とな……」
「……は?」
こんな話を聞いてしまったら、ヴィーの私への今までの態度は悪意からきているものであったと認めるしかなかった。
「私は……、大切な人を亡くした君が今度は望まない妊娠でまた傷つくのではないかと思ったから、妊娠のことを内密にして急ぎで結婚ができるように陛下や義父上に頼んだ。
結婚して初夜さえ迎えてしまえば、君が妊娠していたとしても私の子供として育てることができると思ったからだ。」
「旦那様はどうしてそこまで……」
「理由なんてない。ただ私がそうしたいと思っただけだ。
そこで私は、初夜の後に君には急ぎで領地に行ってもらい、極秘に出産してもらって産月を誤魔化そうと考えた。
だが君は妊娠どころか純潔で、医者にも診てもらったら間違いないと……
それであの女の言うこと全てに疑問を感じ、クビになったアリエルの元専属のメイドや、あの女のメイド達に極秘で聞き取り調査をしたんだ。
君の元専属メイドは、死んだ男と君には男女関係などなかったことや、君が殿下のことを大切に思っていたことを話していた。
元メイドは、お義父上やお義母上にそのことを訴えたらしいが、あの女の言うことを信じきっていて聞いてもらえなかったことも言っていた。
私は、あの女はきっとシラを切るだろうと考えて、陛下に事情を話し自白剤を使用させてもらうことにした。」
「え……自白剤?」
「ああ。自白剤は国王陛下が許可しないと使用出来ない薬だが、陛下は私に使用許可を出して下さったのだ。
国王陛下との昼食会の席であの女はすべて白状したよ。何でも持っている君が憎かったと……。王太子殿下のことがずっと好きだったから、君に恋慕していた従者を唆して利用したこともな。」
愛のない結婚だと思っていたのに、旦那様が私のためにそこまで動いてくれていたことが意外だった。
それにヴィーは私のことが大嫌いだったのね……
家族に冷遇されている私に、唯一優しくする振りをして言葉で追い詰め、私が悲しむ姿を見て楽しんでいたのかもしれない。
アンナはそのことに気付いていたから、私にヴィーと関わらない方がいいと言ってくれた。
そんなことを言ったら自分の立場が悪くなるかもしれないのに……
アンナは、自分の立場よりも私のことを考えてくれていた。
「……そうでしたか。」
その後も旦那様と両親からの話は続く……
ヴィーは私が愛しているのは従者で、殿下との結婚に悩んでいると嘘をつき、純潔を奪ってしまえば殿下には嫁げないし、純潔を奪われた令嬢はまともな結婚が出来ないから、父も諦めて従者と私の結婚を認めるだろうと従者を唆したらしい。
しかし従者は、私の純潔を奪わずに毒を使って無理心中を図った。そのことでヴィーの計画全てが狂ったようだ。
従者を唆して侯爵令嬢だった私を陥れ、両親や兄だけでなく、国王陛下や王妃殿下、王太子殿下にまで虚偽の報告をしたヴィーは、貴族籍を剥奪されて修道院に送られたらしい。
今後、私がヴィーに会うことはないだろうとのことだった。
「今さら謝罪していただいても、失ったものは戻りませんわ……
ところで、なぜ私がヴィーに陥れられたと分かったのでしょう?
ヴィーはよく話していましたわ。自分がいかに義両親や義兄から可愛がられているかということを。
王太子妃教育も大変だけど頑張ると言ってましたし、明るくて華やかで美しいヴィーが私なんかを落とし入れる必要などないと思うのですが。」
「アリエル……、それは私が気付いてしまったからだ。」
「旦那様は何に気付いたのでしょう?」
私からの問いに旦那様の表情が一層険しくなる。
「あの女は、君と私の婚約が決まった時に私に接触してきた。
そしてこう言ったんだ……
〝お義姉様は体調が悪く食欲が落ちている。
本人は記憶喪失だから気づいていないようだが、もしかしたらあの男との子供を妊娠しているのかもしれない〟とな……」
「……は?」
こんな話を聞いてしまったら、ヴィーの私への今までの態度は悪意からきているものであったと認めるしかなかった。
「私は……、大切な人を亡くした君が今度は望まない妊娠でまた傷つくのではないかと思ったから、妊娠のことを内密にして急ぎで結婚ができるように陛下や義父上に頼んだ。
結婚して初夜さえ迎えてしまえば、君が妊娠していたとしても私の子供として育てることができると思ったからだ。」
「旦那様はどうしてそこまで……」
「理由なんてない。ただ私がそうしたいと思っただけだ。
そこで私は、初夜の後に君には急ぎで領地に行ってもらい、極秘に出産してもらって産月を誤魔化そうと考えた。
だが君は妊娠どころか純潔で、医者にも診てもらったら間違いないと……
それであの女の言うこと全てに疑問を感じ、クビになったアリエルの元専属のメイドや、あの女のメイド達に極秘で聞き取り調査をしたんだ。
君の元専属メイドは、死んだ男と君には男女関係などなかったことや、君が殿下のことを大切に思っていたことを話していた。
元メイドは、お義父上やお義母上にそのことを訴えたらしいが、あの女の言うことを信じきっていて聞いてもらえなかったことも言っていた。
私は、あの女はきっとシラを切るだろうと考えて、陛下に事情を話し自白剤を使用させてもらうことにした。」
「え……自白剤?」
「ああ。自白剤は国王陛下が許可しないと使用出来ない薬だが、陛下は私に使用許可を出して下さったのだ。
国王陛下との昼食会の席であの女はすべて白状したよ。何でも持っている君が憎かったと……。王太子殿下のことがずっと好きだったから、君に恋慕していた従者を唆して利用したこともな。」
愛のない結婚だと思っていたのに、旦那様が私のためにそこまで動いてくれていたことが意外だった。
それにヴィーは私のことが大嫌いだったのね……
家族に冷遇されている私に、唯一優しくする振りをして言葉で追い詰め、私が悲しむ姿を見て楽しんでいたのかもしれない。
アンナはそのことに気付いていたから、私にヴィーと関わらない方がいいと言ってくれた。
そんなことを言ったら自分の立場が悪くなるかもしれないのに……
アンナは、自分の立場よりも私のことを考えてくれていた。
「……そうでしたか。」
その後も旦那様と両親からの話は続く……
ヴィーは私が愛しているのは従者で、殿下との結婚に悩んでいると嘘をつき、純潔を奪ってしまえば殿下には嫁げないし、純潔を奪われた令嬢はまともな結婚が出来ないから、父も諦めて従者と私の結婚を認めるだろうと従者を唆したらしい。
しかし従者は、私の純潔を奪わずに毒を使って無理心中を図った。そのことでヴィーの計画全てが狂ったようだ。
従者を唆して侯爵令嬢だった私を陥れ、両親や兄だけでなく、国王陛下や王妃殿下、王太子殿下にまで虚偽の報告をしたヴィーは、貴族籍を剥奪されて修道院に送られたらしい。
今後、私がヴィーに会うことはないだろうとのことだった。
あなたにおすすめの小説
五度目の人生でも「君を愛することはない」と言われたので、私も愛を捨てました
たると
恋愛
「ルチア、私は君を愛することはない。この婚約は単なる義務だ」
冷徹な公爵、アルベルトの声が夜会会場の片隅で響く。
これで、五度目だ。
私は深く、そして軽やかに一礼した。
「承知いたしました。では、今後はそのように」
これまでは泣いて縋り、彼を振り向かせようと必死に尽くしてきた。
だが、死に戻りを五回も繰り返せば、流石に飽きる。
私は彼を愛することを、きっぱりと辞めた。
「私に愛まで望むとは、強欲な女め」と罵られたレオノール妃の白い結婚
きぬがやあきら
恋愛
「私に愛まで望むな。褒賞に王子を求めておいて、強欲が過ぎると言っている」
新婚初夜に訪れた寝室で、レオノールはクラウディオ王子に白い結婚を宣言される。
それもそのはず。
2人の間に愛はないーーどころか、この結婚はレオノールが魔王討伐の褒美にと国王に要求したものだった。
でも、王子を望んだレオノールにもそれなりの理由がある。
美しく気高いクラウディオ王子を欲しいと願った気持ちは本物だ。
だからいくら冷遇されようが、嫌がらせを受けようが心は揺るがない。
どこまでも逞しく、軽薄そうでいて賢い。どこか憎めない魅力を持ったレオノールに、やがてクラウディオの心は……。
すれ違い、拗れる2人に愛は生まれるのか?
焦ったい恋と陰謀+バトルのラブファンタジー。
奪われる人生とはお別れします 婚約破棄の後は幸せな日々が待っていました
水空 葵
恋愛
婚約者だった王太子殿下は、最近聖女様にかかりっきりで私には見向きもしない。
それなのに妃教育と称して仕事を押し付けてくる。
しまいには建国パーティーの時に婚約解消を突き付けられてしまった。
王太子殿下、それから私の両親。今まで尽くしてきたのに、裏切るなんて許せません。
でも、これ以上奪われるのは嫌なので、さっさとお別れしましょう。
◇2024/2/5 HOTランキング1位に掲載されました。
◇第17回 恋愛小説大賞で6位&奨励賞を頂きました。
◇レジーナブックスより書籍発売中です!
本当にありがとうございます!
愛人を連れて帰ってきた翌朝、名前すら呼ばれなかった私のもとに王太子殿下が迎えに来ました 〜三年間冷遇された妻、今は毎日名前を呼ばれています〜
まさき
恋愛
侯爵家に嫁いで三年。
夫に名前を呼ばれたことは、一度もなかった。
社交の場ではただ隣に立つだけ。
屋敷では「妻」としてすら扱われない。
それでも、いつかは振り向いてもらえると信じていた。
――けれど、その期待はあっさりと壊れる。
夫が愛人を伴って帰宅した、その翌朝。
私は離縁状を残し、静かに屋敷を出た。
引き止める者は、誰もいない。
これで、すべて終わったはずだった――
けれどその日、私のもとに現れたのは王太子殿下。
「やっと手放してくれたか。三年も待たされました」
幼い頃から、ただ一人。
私の名前を呼び続けてくれた人。
「――アリシア」
その一言で、凍りついていた心がほどけていく。
一方、私を軽んじ続けた元夫は、
“失ってはいけないもの”を手放したことに、まだ気づいていない。
これは、三年間名前を呼ばれなかった私――アリシアが、
本当の居場所と愛を取り戻す物語。
王太子妃は離婚したい
凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。
だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。
※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。
綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。
これまで応援いただき、本当にありがとうございました。
レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。
https://www.regina-books.com/extra/login
忘れて幸せになってください。〜冷酷な妻として追い出せれましたが、貴方の呪いは私が肩代わりしていました〜
しょくぱん
恋愛
「君のような冷酷な女は知らない」――英雄と称えられる公爵夫人のエルゼは、魔王の呪いを受けた夫・アルフレートに離縁を突きつけられる。
しかし、夫が正気を保っているのは、エルゼが『代償魔導』で彼の呪いと苦痛をすべて肩代わりしていたからだった。
ボロボロの体で城を追われるエルゼ。記憶を失い、偽りの聖女と愛を囁く夫。
だが、彼女が離れた瞬間、夫に「真実の代償」が襲いかかる。
【完結】愛とは呼ばせない
野村にれ
恋愛
リール王太子殿下とサリー・ペルガメント侯爵令嬢は六歳の時からの婚約者である。
二人はお互いを励まし、未来に向かっていた。
しかし、王太子殿下は最近ある子爵令嬢に御執心で、サリーを蔑ろにしていた。
サリーは幾度となく、王太子殿下に問うも、答えは得られなかった。
二人は身分差はあるものの、子爵令嬢は男装をしても似合いそうな顔立ちで、長身で美しく、
まるで対の様だと言われるようになっていた。二人を見つめるファンもいるほどである。
サリーは婚約解消なのだろうと受け止め、承知するつもりであった。
しかし、そうはならなかった。
婚約者から婚約破棄をされて喜んだのに、どうも様子がおかしい
棗
恋愛
婚約者には初恋の人がいる。
王太子リエトの婚約者ベルティーナ=アンナローロ公爵令嬢は、呼び出された先で婚約破棄を告げられた。婚約者の隣には、家族や婚約者が常に可愛いと口にする従妹がいて。次の婚約者は従妹になると。
待ちに待った婚約破棄を喜んでいると思われる訳にもいかず、冷静に、でも笑顔は忘れずに二人の幸せを願ってあっさりと従者と部屋を出た。
婚約破棄をされた件で父に勘当されるか、何処かの貴族の後妻にされるか待っていても一向に婚約破棄の話をされない。また、婚約破棄をしたのに何故か王太子から呼び出しの声が掛かる。
従者を連れてさっさと家を出たいべルティーナと従者のせいで拗らせまくったリエトの話。
※なろうさんにも公開しています。
※短編→長編に変更しました(2023.7.19)