私も貴方を愛さない〜今更愛していたと言われても困ります

せいめ

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真実 2

 両親も兄も苦悶の表情を浮かべている。私に対して心から申し訳ないと思っているのだろう。

「今さら謝罪していただいても、失ったものは戻りませんわ……
 ところで、なぜ私がヴィーに陥れられたと分かったのでしょう?
 ヴィーはよく話していましたわ。自分がいかに義両親や義兄から可愛がられているかということを。
 王太子妃教育も大変だけど頑張ると言ってましたし、明るくて華やかで美しいヴィーが私なんかを落とし入れる必要などないと思うのですが。」

「アリエル……、それは私が気付いてしまったからだ。」

「旦那様は何に気付いたのでしょう?」

 私からの問いに旦那様の表情が一層険しくなる。

「あの女は、君と私の婚約が決まった時に私に接触してきた。
 そしてこう言ったんだ……
〝お義姉様は体調が悪く食欲が落ちている。
 本人は記憶喪失だから気づいていないようだが、もしかしたらあの男との子供を妊娠しているのかもしれない〟とな……」

「……は?」

 こんな話を聞いてしまったら、ヴィーの私への今までの態度は悪意からきているものであったと認めるしかなかった。

「私は……、大切な人を亡くした君が今度は望まない妊娠でまた傷つくのではないかと思ったから、妊娠のことを内密にして急ぎで結婚ができるように陛下や義父上に頼んだ。
 結婚して初夜さえ迎えてしまえば、君が妊娠していたとしても私の子供として育てることができると思ったからだ。」

「旦那様はどうしてそこまで……」

「理由なんてない。ただ私がそうしたいと思っただけだ。
 そこで私は、初夜の後に君には急ぎで領地に行ってもらい、極秘に出産してもらって産月を誤魔化そうと考えた。
 だが君は妊娠どころか純潔で、医者にも診てもらったら間違いないと……
 それであの女の言うこと全てに疑問を感じ、クビになったアリエルの元専属のメイドや、あの女のメイド達に極秘で聞き取り調査をしたんだ。
 君の元専属メイドは、死んだ男と君には男女関係などなかったことや、君が殿下のことを大切に思っていたことを話していた。
 元メイドは、お義父上やお義母上にそのことを訴えたらしいが、あの女の言うことを信じきっていて聞いてもらえなかったことも言っていた。
 私は、あの女はきっとシラを切るだろうと考えて、陛下に事情を話し自白剤を使用させてもらうことにした。」

「え……自白剤?」

「ああ。自白剤は国王陛下が許可しないと使用出来ない薬だが、陛下は私に使用許可を出して下さったのだ。
 国王陛下との昼食会の席であの女はすべて白状したよ。何でも持っている君が憎かったと……。王太子殿下のことがずっと好きだったから、君に恋慕していた従者を唆して利用したこともな。」
 
 愛のない結婚だと思っていたのに、旦那様が私のためにそこまで動いてくれていたことが意外だった。

 それにヴィーは私のことが大嫌いだったのね……
 家族に冷遇されている私に、唯一優しくする振りをして言葉で追い詰め、私が悲しむ姿を見て楽しんでいたのかもしれない。

 アンナはそのことに気付いていたから、私にヴィーと関わらない方がいいと言ってくれた。
 そんなことを言ったら自分の立場が悪くなるかもしれないのに……
 アンナは、自分の立場よりも私のことを考えてくれていた。

「……そうでしたか。」

 その後も旦那様と両親からの話は続く……

 ヴィーは私が愛しているのは従者で、殿下との結婚に悩んでいると嘘をつき、純潔を奪ってしまえば殿下には嫁げないし、純潔を奪われた令嬢はまともな結婚が出来ないから、父も諦めて従者と私の結婚を認めるだろうと従者を唆したらしい。
 しかし従者は、私の純潔を奪わずに毒を使って無理心中を図った。そのことでヴィーの計画全てが狂ったようだ。

 従者を唆して侯爵令嬢だった私を陥れ、両親や兄だけでなく、国王陛下や王妃殿下、王太子殿下にまで虚偽の報告をしたヴィーは、貴族籍を剥奪されて修道院に送られたらしい。
 今後、私がヴィーに会うことはないだろうとのことだった。



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