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閑話 シールズ公爵
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陛下は目配せをし、取り乱すヴィオラ・バトラーを近衛騎士に拘束させる。
バトラー侯爵と夫人は、義娘のその姿を力なく見ることしか出来なかった。
「オーウェンからこの罪人に聞きたいことはあるか?
自白剤の効果の切れる前に何でも聞くがよい」
「陛下、ありがとうございます。
ヴィオラ・バトラー、お前はなぜこんなことをした?
お前の考えを全て話せ」
「大嫌いだからよ! 美しくて教養もあって、何でも完璧で、誰にでも優しくて……
何でも持っているお義姉様が憎かったわ。政略結婚相手の王太子殿下からも愛されているし……
私はずっと殿下が好きだったから、許せなかったの!」
自分の罪を告白するヴィオラ・バトラーは、悪魔のような形相になっていた。これがこの女の本性だと思うとゾッとする。
社交界で、アリエルと共に美人義姉妹といわれていたヴィオラ・バトラーはそこにはもういなかった。
「お前は私に話していたよな? アリエルが使用人と情を交わすほど愛し合っていたとか、あの男を忘れられないでいるとか、私と離縁したがっているとか……
あれは全て嘘だな?」
「嘘に決まっているでしょ。
あの真面目なお義姉様にそんなことがあるはずないじゃない。
本当にお義姉様は可哀想だわ……。ずっと真面目に頑張ってきて、家族思いの優しい方だったのに、無理心中に巻き込まれたことを誰にも気付いてもらえないなんて。
愛する殿下のために、厳しい王太子妃教育も頑張って、他の令嬢からの僻みや嫌がらせも耐えていたのに、殿下はお義姉様が自分を裏切ったって思い込んで落ち込んでいるし……
殿下は本当にお義姉様を見ていたの? 愛していたのかしら?
お義姉様の友人の令嬢方ですら、お義姉様が何かの事件に巻き込まれたのではと、私を疑いの目で見ていたのに。ハァ、ハァ……」
自分の意思に反して、喋りすぎてしまうので呼吸が乱れてしまうようだ。
「お義父様やお義母様、お義兄様だって、お義姉様がバトラー侯爵家のために殿下との縁談を受けて努力していたのを知っていたはずよ?
それなのに、ヘクターと恋仲だったという私の嘘に簡単に騙されて、誰もお義姉様を信じてあげないんですもの。
毒から目覚めたお義姉様をメイドに押しつけ、顔すら見に行かないで冷遇して……、お義姉様が気の毒だったわ。ハァ、ハァ……
ははは……。生きている自分を責めて、死んだようになっていたお義姉様を見るのはなかなか楽しかったわよ!
もうお義姉様は誰にも心を開かないわー」
怒りを抑えることがここまでつらいだなんて、初めて知った瞬間だった。
バトラー侯爵はワナワナと震え、夫人はふらつきそうになって顔面蒼白のエリックに支えられている。
殿下は無言のまま、憤怒の形相でヴィオラ・バトラーを睨みつけていた。
「陛下、ありがとうございました。
妻の身の潔白を証明することが出来ましたことに感謝しております」
「オーウェン、良くやった。
アリエルをこれからも頼んだぞ」
「仰せのままに」
ヴィオラ・バトラーはその後、地下牢に連行されて詳しく取り調べを受けた後に貴族籍を剥奪され、離島の修道院に送られることが決まった。
しかし……、私はそのことをアリエルにどう話すべきなのだろう?
バトラー侯爵家や殿下だけを責められない。私もアリエルを信じることが出来ず、あの女の話を間に受けて、彼女を冷遇した中の一人なのだ。
悩む日々を送っていた私は、エリックから呼び出される。
「オーウェン、両親がアリーに会いたがっている。
会わせてもらえないか? 謝りたいんだ。」
あのエリックが血色を悪くしている。相当落ち込んでいるようだ。
「アリエルは体調を崩していて、私ですらあまり顔を合わせることが出来ないんだ」
「具合が悪いのか? 幼いころからアリーを診ていた侯爵家の侍医を派遣しよう。
アリーも自分をよく知る医者に診てもらった方が安心出来るはずだ」
「アリエルはバトラー侯爵家のことに無関心で心を閉ざしている。
彼女を昔から知る医者が来たとしても、今のアリエルは何も覚えていないのだから無駄だ。
アリエルの体調を見ながら何があったのかを打ち明けて、一緒に謝罪しよう」
「オーウェン、感謝する。両親も喜ぶはずだ」
そしてバトラー侯爵たちが公爵家にやって来る日を迎える。
私たちはヴィオラ・バトラーの話をし、冷遇したことを謝罪したのだが、アリエルは気分が悪くなってしまい、話の途中で退出してしまった。
アリエルに謝罪して以前のように仲のいい家族に戻りたいと期待していた侯爵たちは、彼女の心の傷が思った以上に深いことを知り、落ち込んで帰っていく。
その後、バトラー侯爵家からアリエルに何度も手紙が届いていたが、彼女は返事すら書かなかったようだ。
バトラー侯爵と夫人は、義娘のその姿を力なく見ることしか出来なかった。
「オーウェンからこの罪人に聞きたいことはあるか?
自白剤の効果の切れる前に何でも聞くがよい」
「陛下、ありがとうございます。
ヴィオラ・バトラー、お前はなぜこんなことをした?
お前の考えを全て話せ」
「大嫌いだからよ! 美しくて教養もあって、何でも完璧で、誰にでも優しくて……
何でも持っているお義姉様が憎かったわ。政略結婚相手の王太子殿下からも愛されているし……
私はずっと殿下が好きだったから、許せなかったの!」
自分の罪を告白するヴィオラ・バトラーは、悪魔のような形相になっていた。これがこの女の本性だと思うとゾッとする。
社交界で、アリエルと共に美人義姉妹といわれていたヴィオラ・バトラーはそこにはもういなかった。
「お前は私に話していたよな? アリエルが使用人と情を交わすほど愛し合っていたとか、あの男を忘れられないでいるとか、私と離縁したがっているとか……
あれは全て嘘だな?」
「嘘に決まっているでしょ。
あの真面目なお義姉様にそんなことがあるはずないじゃない。
本当にお義姉様は可哀想だわ……。ずっと真面目に頑張ってきて、家族思いの優しい方だったのに、無理心中に巻き込まれたことを誰にも気付いてもらえないなんて。
愛する殿下のために、厳しい王太子妃教育も頑張って、他の令嬢からの僻みや嫌がらせも耐えていたのに、殿下はお義姉様が自分を裏切ったって思い込んで落ち込んでいるし……
殿下は本当にお義姉様を見ていたの? 愛していたのかしら?
お義姉様の友人の令嬢方ですら、お義姉様が何かの事件に巻き込まれたのではと、私を疑いの目で見ていたのに。ハァ、ハァ……」
自分の意思に反して、喋りすぎてしまうので呼吸が乱れてしまうようだ。
「お義父様やお義母様、お義兄様だって、お義姉様がバトラー侯爵家のために殿下との縁談を受けて努力していたのを知っていたはずよ?
それなのに、ヘクターと恋仲だったという私の嘘に簡単に騙されて、誰もお義姉様を信じてあげないんですもの。
毒から目覚めたお義姉様をメイドに押しつけ、顔すら見に行かないで冷遇して……、お義姉様が気の毒だったわ。ハァ、ハァ……
ははは……。生きている自分を責めて、死んだようになっていたお義姉様を見るのはなかなか楽しかったわよ!
もうお義姉様は誰にも心を開かないわー」
怒りを抑えることがここまでつらいだなんて、初めて知った瞬間だった。
バトラー侯爵はワナワナと震え、夫人はふらつきそうになって顔面蒼白のエリックに支えられている。
殿下は無言のまま、憤怒の形相でヴィオラ・バトラーを睨みつけていた。
「陛下、ありがとうございました。
妻の身の潔白を証明することが出来ましたことに感謝しております」
「オーウェン、良くやった。
アリエルをこれからも頼んだぞ」
「仰せのままに」
ヴィオラ・バトラーはその後、地下牢に連行されて詳しく取り調べを受けた後に貴族籍を剥奪され、離島の修道院に送られることが決まった。
しかし……、私はそのことをアリエルにどう話すべきなのだろう?
バトラー侯爵家や殿下だけを責められない。私もアリエルを信じることが出来ず、あの女の話を間に受けて、彼女を冷遇した中の一人なのだ。
悩む日々を送っていた私は、エリックから呼び出される。
「オーウェン、両親がアリーに会いたがっている。
会わせてもらえないか? 謝りたいんだ。」
あのエリックが血色を悪くしている。相当落ち込んでいるようだ。
「アリエルは体調を崩していて、私ですらあまり顔を合わせることが出来ないんだ」
「具合が悪いのか? 幼いころからアリーを診ていた侯爵家の侍医を派遣しよう。
アリーも自分をよく知る医者に診てもらった方が安心出来るはずだ」
「アリエルはバトラー侯爵家のことに無関心で心を閉ざしている。
彼女を昔から知る医者が来たとしても、今のアリエルは何も覚えていないのだから無駄だ。
アリエルの体調を見ながら何があったのかを打ち明けて、一緒に謝罪しよう」
「オーウェン、感謝する。両親も喜ぶはずだ」
そしてバトラー侯爵たちが公爵家にやって来る日を迎える。
私たちはヴィオラ・バトラーの話をし、冷遇したことを謝罪したのだが、アリエルは気分が悪くなってしまい、話の途中で退出してしまった。
アリエルに謝罪して以前のように仲のいい家族に戻りたいと期待していた侯爵たちは、彼女の心の傷が思った以上に深いことを知り、落ち込んで帰っていく。
その後、バトラー侯爵家からアリエルに何度も手紙が届いていたが、彼女は返事すら書かなかったようだ。
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