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領地
馬車酔いした私は、領地に着く頃にはぐったりしていた。
「アリエル、もうすぐ邸に到着するが、君は具合が悪そうだから私が部屋まで運ぶ。少し我慢してくれるか?」
旦那様が私を運ぶ? それって抱きかかえられるってこと?
馬車酔いはしたけど自分で歩けるのに……
領地の邸の使用人たちが出迎えてくれているのだから、自分の足で歩かせて欲しい。
「旦那様、少し馬車酔いしただけなので平気です。
自分で歩けますし、使用人たちが出迎えている前で旦那様にそんなことをさせられません」
「具合の悪いアリエルを歩かせるわけにはいかない。
使用人たちの目が気になるなら、私のジャケットをかぶって顔を隠せばいい」
旦那様は真顔で言っているけど、そんなこと絶対に無理よ。顔を隠したとしても、領地の使用人たちに何と思われることか……
「本当に大丈夫です。領地の使用人たちと初めて顔を合わせるのに、そんなことは出来ませんわ」
「アリエル。大丈夫と言いながら、顔色がすごく悪い。
使用人たちは後で私が紹介する場を設けるし、私の大切な妻である君に使用人たちは何も言えないのだから、気にしなくていい。
君は部屋まで私が抱きかかえていくからな」
今日、初めて二人で長い時間を過ごしてみて気付いたことは、過保護な旦那様は言い出したら聞かないと言うことだった。
仕方がない……
「分かりました。ご迷惑をお掛けいたします」
「私がしたくてするのだから大丈夫だ」
邸に到着し、馬車のドアがノックされると旦那様がドアを開け、家令らしき人物に私の具合が悪いから抱きかかえて運ぶことを伝えている。
そして旦那様は私の頭にジャケットをかけて顔を隠すと、抱き上げて運んでくれたのだった。
「アリエル。もうすぐ部屋に着くから、あと少し我慢してくれ」
「私は大丈夫です。それよりも、重くて申し訳ありません」
「大丈夫だ。アリエルが軽くて驚いたくらいだ」
「……申し訳ありません」
旦那様が使用人に部屋のドアを開けて欲しいと声を掛けているのが聞こえた後、ベッドらしきところに寝かされ、かぶっていたジャケットを取ってくれる。
「旦那様、ありがとうございました」
「気にするな。それよりもすぐ医者に診てもらおう」
「旦那様、ただの馬車酔いですから……」
「アリエル、念の為に診てもらおうな」
旦那様は圧のある笑顔を向けてくる。
「はい……」
王都から同行してくれた女性医師はすぐに来てくれた。
「奥様。馬車酔いでしょうから、安静にしていればすぐに元気になれますわ。食事は消化に良いものを食べて下さい」
「ありがとうございました」
医師の言う通りに部屋で休んでいたら、すぐに体調は良くなった。しかし旦那様は、私がベッドから出ることを許してくれなかった。それどころか、ずっと側にいて世話を焼こうとする。
アンナや他のメイドたちは、旦那様と私が一緒に過ごしている時は部屋に入ってこないので、ずっと二人きりだった。
今までこんなに長い時間を旦那様と一緒に過ごしたことがなかった私は、精神的に疲れてしまった。
「旦那様。私はもう大丈夫ですから、旦那様は部屋に戻られては?
旦那様もお疲れでしょうから、少し休まれてはいかがでしょう?」
「アリエル。私達は……夫婦だから……、この部屋を夫婦で使うようにと、ここの使用人たちは準備してくれたようだ……」
旦那様が気まずそうにしている……
王都のタウンハウスは、夫婦別に寝るのが当たり前になっていたから全く考えていなかった。
新婚の夫婦が別の部屋で寝るなんて、普通は思わないわ……
それに夫婦別々に過ごしていたら、ここの使用人たちに夫婦仲を疑われてしまう。旦那様なりに気を遣って、側にいてくれたのかもしれない。
王命で結婚した妻を冷遇しているだなんて領民に思われたくないだろうし。
「アリエルが嫌なら、私は違う部屋を使うようにするが……」
「旦那様、私は大丈夫です。せっかくこの邸の使用人たちがこの部屋を準備してくれたのですし、新婚で別々に過ごしていたら、周りからどう思われるか分かりません。
旦那様が許してくださるなら、私は一緒の部屋で大丈夫です」
「許すも何も、私はアリエルさえ嫌でなければ一緒の部屋で過ごしたいと思っている。今まで仕事が忙しくて君と一緒に過ごせなかったからな……
寝る時は、私はソファーで寝るから大丈夫だ」
流石にそれは申し訳なかった。
すでに初夜を済ませているのだから、同じベッドで寝るくらいは我慢しなければならない。
私には、旦那様と一緒のベッドで寝ても何もないという自信があった。
「旦那様、ベッドは広いですから二人一緒で大丈夫ですわ。私はそこまで寝相は悪くないと思いますし。
私のことを色々気遣って下さってありがとうございます」
「アリエル、君こそ私に合わせてくれているんだよな? ありがとう……
私も寝相はそこまで悪くないと思うから大丈夫だと思うんだ」
旦那様が優しく微笑んでいる。美形な旦那様が微笑んでくれたら、世の中の女性たちはみんな喜ぶのかもしれないけど、精神的に疲れていた私は引き攣った笑顔を返すことしか出来なかった。
「アリエル、もうすぐ邸に到着するが、君は具合が悪そうだから私が部屋まで運ぶ。少し我慢してくれるか?」
旦那様が私を運ぶ? それって抱きかかえられるってこと?
馬車酔いはしたけど自分で歩けるのに……
領地の邸の使用人たちが出迎えてくれているのだから、自分の足で歩かせて欲しい。
「旦那様、少し馬車酔いしただけなので平気です。
自分で歩けますし、使用人たちが出迎えている前で旦那様にそんなことをさせられません」
「具合の悪いアリエルを歩かせるわけにはいかない。
使用人たちの目が気になるなら、私のジャケットをかぶって顔を隠せばいい」
旦那様は真顔で言っているけど、そんなこと絶対に無理よ。顔を隠したとしても、領地の使用人たちに何と思われることか……
「本当に大丈夫です。領地の使用人たちと初めて顔を合わせるのに、そんなことは出来ませんわ」
「アリエル。大丈夫と言いながら、顔色がすごく悪い。
使用人たちは後で私が紹介する場を設けるし、私の大切な妻である君に使用人たちは何も言えないのだから、気にしなくていい。
君は部屋まで私が抱きかかえていくからな」
今日、初めて二人で長い時間を過ごしてみて気付いたことは、過保護な旦那様は言い出したら聞かないと言うことだった。
仕方がない……
「分かりました。ご迷惑をお掛けいたします」
「私がしたくてするのだから大丈夫だ」
邸に到着し、馬車のドアがノックされると旦那様がドアを開け、家令らしき人物に私の具合が悪いから抱きかかえて運ぶことを伝えている。
そして旦那様は私の頭にジャケットをかけて顔を隠すと、抱き上げて運んでくれたのだった。
「アリエル。もうすぐ部屋に着くから、あと少し我慢してくれ」
「私は大丈夫です。それよりも、重くて申し訳ありません」
「大丈夫だ。アリエルが軽くて驚いたくらいだ」
「……申し訳ありません」
旦那様が使用人に部屋のドアを開けて欲しいと声を掛けているのが聞こえた後、ベッドらしきところに寝かされ、かぶっていたジャケットを取ってくれる。
「旦那様、ありがとうございました」
「気にするな。それよりもすぐ医者に診てもらおう」
「旦那様、ただの馬車酔いですから……」
「アリエル、念の為に診てもらおうな」
旦那様は圧のある笑顔を向けてくる。
「はい……」
王都から同行してくれた女性医師はすぐに来てくれた。
「奥様。馬車酔いでしょうから、安静にしていればすぐに元気になれますわ。食事は消化に良いものを食べて下さい」
「ありがとうございました」
医師の言う通りに部屋で休んでいたら、すぐに体調は良くなった。しかし旦那様は、私がベッドから出ることを許してくれなかった。それどころか、ずっと側にいて世話を焼こうとする。
アンナや他のメイドたちは、旦那様と私が一緒に過ごしている時は部屋に入ってこないので、ずっと二人きりだった。
今までこんなに長い時間を旦那様と一緒に過ごしたことがなかった私は、精神的に疲れてしまった。
「旦那様。私はもう大丈夫ですから、旦那様は部屋に戻られては?
旦那様もお疲れでしょうから、少し休まれてはいかがでしょう?」
「アリエル。私達は……夫婦だから……、この部屋を夫婦で使うようにと、ここの使用人たちは準備してくれたようだ……」
旦那様が気まずそうにしている……
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それに夫婦別々に過ごしていたら、ここの使用人たちに夫婦仲を疑われてしまう。旦那様なりに気を遣って、側にいてくれたのかもしれない。
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「アリエルが嫌なら、私は違う部屋を使うようにするが……」
「旦那様、私は大丈夫です。せっかくこの邸の使用人たちがこの部屋を準備してくれたのですし、新婚で別々に過ごしていたら、周りからどう思われるか分かりません。
旦那様が許してくださるなら、私は一緒の部屋で大丈夫です」
「許すも何も、私はアリエルさえ嫌でなければ一緒の部屋で過ごしたいと思っている。今まで仕事が忙しくて君と一緒に過ごせなかったからな……
寝る時は、私はソファーで寝るから大丈夫だ」
流石にそれは申し訳なかった。
すでに初夜を済ませているのだから、同じベッドで寝るくらいは我慢しなければならない。
私には、旦那様と一緒のベッドで寝ても何もないという自信があった。
「旦那様、ベッドは広いですから二人一緒で大丈夫ですわ。私はそこまで寝相は悪くないと思いますし。
私のことを色々気遣って下さってありがとうございます」
「アリエル、君こそ私に合わせてくれているんだよな? ありがとう……
私も寝相はそこまで悪くないと思うから大丈夫だと思うんだ」
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