私も貴方を愛さない〜今更愛していたと言われても困ります

せいめ

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公爵家の親族

 旦那様と一緒のベッドで眠れなかったらどうしようかと思って不安だったが、思いの外、ぐっすり眠れてしまった。
 寝る前にアンナが入れてくれた、安眠効果のあるハーブティーが効いたのかもしれない。
 それにベッドがとても大きいので、意図的に近付いたり、寝相が悪くない限りは離れて眠ることが可能だった。
 大きくて豪華なベッドを用意してくれたのが旦那様なのか使用人たちなのかは分からないけど有り難いと思う。これなら一緒に寝るのは平気そうだ。
 寝起きが少しだけ気まずいけど、我慢していればそのうち慣れるはず。

 朝食は部屋まで運んで来てくれたので、今日は部屋で二人きりで食べることになる、

「アリエル。体は大丈夫か?
 もし元気なら、この邸の使用人たちを紹介したいと思っている。その後に邸の中を案内したいのだがどうだろうか?」

「ゆっくり休めたので元気になりました。
 使用人たちにきちんと挨拶をしたいですし、邸の中も案内して欲しいですわ」

「分かった。きっと使用人たちは喜ぶだろう。
 それと、この領地の近くに住んでいる親戚たちがアリエルに挨拶をしたいようだ。王都にタウンハウスを持たない男爵家や子爵家ばかりで、なかなか顔を合わせる機会がないから、この機会に挨拶をしたいらしい。
 近々その者たちとの食事会をしたいのだが、大丈夫だろうか? アリエルが嫌ならやらなくてもいいと思っている。私は君の体調を最優先したい」

 いつか親族との顔合わせはあるだろうと思っていた。
 筆頭公爵家だから親戚は沢山いそうだし、私達の結婚式に招待していないから、挨拶する機会もなかったのだし当然のことだと思う。
 王都で社交をしていなかったのだから、親族にはきちんと挨拶をしておくべきよね。いつか領地にこもる時に、近くに住んでいる親戚と揉めたくないもの。

「大丈夫ですわ。ずっと社交をお休みさせて頂いたのですから、それくらいは平気です」

「ありがとう。君を親族に紹介したいと思っていたから嬉しい。
 体調が悪くなったら、無理しないで途中で退席しても構わないからな。
 癖のある人物も中にはいるが、君に無礼を働くようなことがあれば、公爵夫人として厳しく対応して構わない。狸どもは私の目の前では静かだが、裏ではどうだか分からないからな」

 そんな人物もいるということなのね……
 でも、商人と駆け引きをしたり護衛騎士と嫌味の応酬をするアンナを近くで見てきたから、そういうやり取りは割と平気かもしれない。
 何より、ビィーに陥れられた経験は良くも悪くも私を強くさせてくれた気がする。
 人の悪意のようなものには敏感になっているから、狸だろうと狐だろうと負けないわ!

「旦那様の親族にお会いすることを楽しみにしておりますわ」

「それは良かったよ」

 朝食の後、旦那様はこの邸の使用人をホールに集合させて私を紹介してくれた後、広い邸を案内してくれたのだった。
 広いだけでなく、とても豪華で手入れが行き届いている。図書室も沢山の本が置いてあって、引きこもるには良さそうだ。

「旦那様。中はどこも綺麗ですが、リフォームしたのはどこのお部屋だったのでしょうか?」

 そのことを聞いた瞬間、さっきまで笑顔だった旦那様の表情が曇っていた。

「……アリエル、すまない。リフォームは嘘だ。
 君を一人で領地に行かせたくなくて、苦し紛れに嘘をついてしまった。
 決して君を騙そうと考えた訳ではないんだ」

 結婚前、私に対して無口で無表情で冷たくて、感情を全く出さなかったあの旦那様が、今は別人のような顔をして必死に謝っている。
 この人は少しだけ変わったのかもしれない……

「それくらいの嘘は気にしませんわ。
 ただ、次に何かあったら正直に話してくれたら嬉しく思います。
 一応、今はまだ夫婦なので……」

「……本当に悪かった。
 君に嘘はつかないようにする」

「ふふっ……。分かりました」

 旦那様と一緒にいる時間が長くなると、自然に慣れてきたようで、嫁いで来た時はほとんど会話はなかったのに、今では普通に話が出来るようになっている。
 愛はなくても、何とかやっていけるかもしれない。

 旦那様と一緒に領地を見て回ったり、読書をしたり、お茶をしたりして過ごしていると、あっという間に親族との食事会の日を迎える。

 食事会には領地の周辺に住んでいる親族や付き合いの深い貴族たちを招待したらしく、伯爵家や子爵家、男爵家の当主と夫人だけでなく、年頃の令息や令嬢も招待したようだ。
 当主や夫人よりも令息と令嬢の方が私達夫婦と年齢が近いので、話をしやすいだろうと旦那様は判断したようだ。
 旦那様が招待客を一人ひとり紹介してくれて、和やかな雰囲気の中で食事会が始まるのだが、食事の後、男女分かれてお茶をしている時にそれは起きるのであった。

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